銀球
集まった若者たちに、出資者の壮年で田鍋という男が、
この町で暮らしていくにあたっての手筈を話し始めた
「ここで暮らしている若者は別にして、出戻りや、他所から来たもので家賃が払えない者は、住民達のご配慮で、住まわせても良いと言う人がたくさんおる。いわゆる逆ホームステイだ」
「それから、それぞれに仕事を紹介する、だが最初は皆、農業、農業、農業の基礎仕事からだ! この町の家庭では、ほぼ、自給自足をしながら生活している、農業を知らないような奴では話にならんと言う事だ、しばらくして見て、この中で仕事にやる気のある者にはまた次の仕事を紹介してやる」
「町にショッピングセンターは一つ、ガソリンスタンドは数カ所、都心部まで車で約2時間、車がない者の移動手段は2時間に1本のバスのみだ
まぁ、すぐ慣れる」
タナベの話が終わった後、早速農作業がはじまった
仕方なくやる者が多かったがその中で、
「農業ってminecraftみたいにすぐ芽が出るわけじゃないんだ、すげぇー」
と、目を輝かせている若者が約一名いた
「こんな事やってられるかよ」
また、すぐに一人の若者が根を上げた、彼は借金返済のためこの町に集った
20歳前半の若者である、過去にナンハーズ詐欺集団に所属していた経歴がある
彼はその日、儲け話を創り出し、町人から金を借り取ると、真っ先に都心のパチンコ屋に向かった
今日は良く当たる――負けの日ばかりだが、たまに勝つのがたまらない
その日当たってしまった事が、若者の運の尽きだった
彼は、お金をパチンコに注ぎ込み、
数日も経たないうちに使い果たしてしまった
さらに、町にも帰らずパチンコしている事がバレ、
タナベにより遣いが送られ、彼は町に強制送還された
彼は、30年+町人にお金を返済するまで、この町から出る事を禁じられた
そして、タナベは彼に告げた、
「実は、この町にパチンコ屋を建設する計画予定がある、
真面目にこの町で働く気でいるなら、その計画の役員に採用してやってもいい」
「大好きなパチンコの事をプレイヤーとは違った面で良く知れる、新台も導入前に打てるかもしれない、ウハウハですよ?」
さらに、彼が町人から借り取ったお金は、タナベが町人に返済し、
彼はその金額を無利子でタナベに返済する事となった
彼はその後、
物づくり部門に配属され、木製のパチンコ機のようなものを作り出し、
玩具メーカーに注目され、ちょっとした有名になる
だが、何十年経ってもパチンコ施設が造られる事はなく、
彼は後に気付く事になる
私は、あの時内心ほくそ笑んでいただろう
『私は彼に嘘をついた』
『俺はあいつに騙された』
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続きます




