表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

少女の過去

私の大好きな小説の世界を、皆様にも体感して頂けると光栄です。

楽しんで頂けると嬉しいです。



ー7年前ー

『ソレ』は何の前置きもなく、突如として現れた。


それは、私がまだ9歳の頃、いつもの帰り道、


「ねぇねぇ!アグリちゃん。今日もアレ見たいっ!!」

「また!?しょーがないなぁ・・・特別。」

『優良』 私のたった1人の友達。

上に高く結んだポニーテールが印象的な女の子。

周りとは違う、金髪に赤い目を持った私にも変わらず接してくれる唯一の女の子だった。

「やったぁ♪」

見惚れるようなまぶしい笑顔を見ると、つい笑みがこぼれてしまう。

「うえへへ・・・・♪」

「・・・アグリちゃん・・それ怪しいおじさんみたいだよ・・」

「むっ!?私怪しいおじさんじゃないもん!!」

( ̄▽ ̄;)

「なに!?なんなの!?そんな女子力なくないもん!!!」

ーカッー

アグリの目が淡く輝きをはなつ。

次の瞬間、アグリの手にあるはずのない巨大なピコピコハンマーが出現した。

「とおおおおおおりゃああああーーッ」

パフッ!

気の抜けるような・・・なんとも頼りない音が響く。

数秒の沈黙。

「い・・・・・ったぁぁぁぁぁいッ!!?」

ーバサバサバサバサバサ

周囲の鳥も一斉に飛び去る勢いだった。

「おわぁぁぁあ!?やり過ぎた・・・かも?」

「かも?じゃないでしょ!?たんこぶできたからね?ほらっ?ほらあっ???」

「うわっ!?頭押し付けて来ないで」

「こことか白くなってんじゃん!?」

「ただのフケじゃないの?」

「ーーーッ!?そ・・・そもそもピコピコハンマーで殴る意味なんてーーーーー

もはやただの水掛け論だった。

でも、そんな他愛もない時間がアグリには宝物だ。


アグリ・ミレイラースには、生まれつき異能があった。

ーそれも、チートレベルの異能ー

『想像したものを、現実に造りだす力』

1度触った物なら精密に、確実に造ることができる。


・・・異変を察知したのは、その時だった。・・・


後ろから異様な気配が迫る。足音は聞こえない。

ーー何かが ある。 黒い何かが

明確だったのは、優良の目の色が《変わった》こと。

淡い輝きをはなっている。ーー『私』と同じように。

「あっ・・・や・・っ・・!」

優良の目に同様が浮かぶ。まるで、見ないでと訴えているように。

「・・・ザザ・・・ザザザザ・・・」

「ーーーーーっ!?」

明らかにこの世のものではない ノイズ

「優良っ!?これ・・・?」

優良にまとわりこうとする得体の知れない何か。

ーー明らかに優良を狙っていた。

「・・ソノモノハ、コノヨナラザルモノ・・・ヨコセ・」

9歳の私の頭でも分かる。『コレ』は危険だ。

それでも 考えるより先に、口が動いていた。

「アグリちゃーー」

「やだ。」

得体の知れない恐怖が駆け抜ける。まるで体全体を舐め回されているような視線。恐怖に身がすくんで動かない。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い。

ーーーーーーでも

「絶対に・・・渡さないんだから!」


「・・・オマエ・・オモシロイチカラヲモッテイルナ・」

「っ!?」

その瞬間、得体の知れない何かが体に巻き付く。

「ーー・・・か・・はっ・・・」

苦しい。呼吸ができない。

「・・アグリ・・ちゃん・・いや・・嫌ぁぁあ!!」

ーーカッーー

「ーーッ!?」

まともに直視出来ないほどの光量。

「・・・・ゆら・・?」

「ガッ・・オマエ・・・ナニヲシタ・・・!?」

黒い何かは明らかに動揺している。

ーーが、

次の瞬間、優良の目が激しく点滅をはじめる。

「アグリちゃん・・・私、もう持たない・・・逃げて。」

優良がつくってくれた一瞬の隙。無駄には出来ない。

私だけでも逃げなくちゃ。

そう分かってる。分かってるけど・・・

「やっぱり出来ないよ・・・。」

友達を置いて逃げることなんて出来なかった。だってーー


『もう、何も失わない』って決めたから。


「それに、もう私、一歩も動けないや・・・。死ぬなら一緒に死なせてよ。」

得体の知れない何かにより、手や足にはところどころ巨大な針で刺されたような穴が空いていた。

ふいに、優良が

「やっぱり・・アグリちゃん・・・は・・変わらないね」

と、微笑みを漏らした。

ーーーそして

得体の知れない何かと共に虚空へ消えた。


その時私は確かに聞いた。

《あの場所で待っている》 という声を。

楽しんで頂けたでしょうか?

感想や、分かりにくい点などあれば、コメントお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ