重い愛は重荷でしかない
真夜中までのんだこともあり、私達は泊っていくことになった。
そういえば、後半からジルの様子がおかしかったように思うのです。
私の推測ですが、メアリーさんとなにかあったのかも?
ジルがガイアさんのこと好きなのは誰の目にも明らかだし。
私も大変なんですよ。
ガイアさんがジルの気持ちに気付かないように配慮するのは。
「ここがレニー様にすごしていただくお部屋になります」
屋敷の使用人のアンマリーに通された部屋は中々におしゃれだった。
「ここにいるあいだは、このアンマリーになんでも申しつけてください」
「ありがとう。ええとアンマリーでしたっけ?」
「はい」
「じゃあ聞いてもいい?ききにくいことなんだけど、その…。
ガイアとメアリーさんの仲は円満なのかな?」
「はい、もちろんですよ」
「そっか…。ならいいの」
「・・・レニー様、くれぐれも主人の前でそのようなことはおっしゃらないでくださいね。後が怖いですから…」
「あら、どうして怖いの?」
アンマリーは神妙な顔をして語る。
「主人は、旦那様のこととなると人が変わるんです」
「それがどうして怖いわけ?」
「……これ以上は主人の蔭口になってしまいますので…」
「もうしあげられません、て?なんなりとっていったのに。
ね、少しだけでいいから」
上目づかいで懇願してみる。
「…お口が達者なようで。少しだけですよ?後、くれぐれも」
「口外しないように でしょ。わかった、約束する」
「絶対に口外しないこと。主人や旦那様にもです」
「わかったってば。……まず、2人の過去から教えてよ」
なぜこんなことをきいたかって?
勿論、ガイアにお熱なジルの為…といいたいところですが、違います。
ジルは私のこと、正直で嘘がつけない、だからライバルではないと思ってると思います。
それに、私の好きなのはナルガだって。
そんなわけないでしょう。
私ははじめて会った時からガイアさんに目をつけてました。
婚約者がいるというのをさしひいてもガイアさんはいい人だし、ガイアさんみたいな見た目も性格も育ちもいい人なんてそうそういないじゃない?
あの癖っ毛の黒髪も鋭い目つきもカッコイイ。
人生は金、知恵、そして顔の3つがなければ謳歌できませんよ。
あの人には、それがすべてそろっているんです。
優しくて細かいところまで気配りできるし、乙女心に鈍感なところもあるけど、きっちりしてるし…。
いつも7時前には「メアリーが心配するから」と帰る誠実さもgood。
メアリーさん愛されてる感じがして妬ましい…なんて感じたりして。
律儀だから浮気もしないんだろうな。
けれど、私は思うのです。
ガイアさんは午前中はたいていナルガの家やジルの家にいる。
つまりは、
「メアリーさんといるよりナルガ達といるほうが、ガイアさんは楽しいってことだよね」
「え?」
あ、やばい。
知らぬ間に声に出ていたみたい。
「ごめんなさい、今のは取り消して、ね?」
…しかもアンマリーの話ちゃんと聞いてなかった。
私のばかばか。…確か、主人は嫉妬深いとかウェネフィー公がどうのこうの。
メアリーさん、今日、1回関をたった以外はずっとガイア傍らにいたっけ。
私達のことよく思ってないんだろう。
でも、重い愛って、文字通り重荷だと思う。
巨万の富があるお嬢様で、親が小さい頃死んでしまったんだっけ。
ガイアさんにまで愛想つかされたらどうなるのか。
そんなことを考えて。
レニー視点でおおくりしました~。
レニー=グレイディ
ナルガの従妹でグレイディ一族。
家庭的・献身的でナルガの想い人でもある。
ジルやガイアいわく嘘がつけない純粋少女。