表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病的依存デスガール  作者: レーゼ
番外編
71/75

番外編¦夢

カゲロウさんのリクエストで、「ガイアがヤンデレになったら」と後日談のセットです。

ジャラジャラ。


鎖が床にこすれる音がする。


「ガイア・・・これ外して・・・」


メアリーが、自分の足につけられた鎖を指差した。


「なんで?」

「ガイアが心配することなんて何もないよ?私はガイアを愛してる・・・世界中の何よりも、自分よりも」


笑いかけてやるとほっとした表情になって、俺のほうに手をのばしてくる。

外にでていないためか白く、細いその手を叩き落す。


「痛っ」


そのままメアリーを床に押し倒した。


鎖がぶつかり、音をたてる。


「俺を愛してるって言うなら俺に従って」


黙り込んだメアリーの首筋につよく歯をたてた。


「あっ」


ひとすじ流れ出した血をぺろりと舐める。

鉄の味、だけど愛しいメアリーのものだと思えば、不思議と甘く感じられる。


「俺以外のやつにあわせたくない・・・」


 俺よりも金があるやつだって、俺よりも外見がいいやつだって、外には沢山いるから。

その中の誰かにメアリーを奪われるかもしれない。 そう思うとどうしようもなく不安になる。


「俺だけのものでいてくれ・・・」


背に、手がまわされた。


「私は永遠に、ガイアだけのものだよ」


 そういって、安心させるように俺の頭をだきかかえる。

でもさ、メアリー。人の心は簡単に変わるから、安心なんてできないよ。俺はメアリーだけをずっとみてきたけど、メアリーがそうかなんてわからない。


「どこにもいかないで、俺だけを一生愛し続けて」



もっと俺に溺れて。


死が訪れても、互いを思い続けることを誓ってくれ。







「夢・・・か・・・」


目覚めるとそこは、うすぐらい地下室のベッドだった。


 夢の中の俺はメアリーを鎖で繋いで、くみしいていた。いくら相思相愛でも許されないことだ。

夢の中のメアリーの瞳の中にうつっていた俺は、醜い感情をむきだしにして、狂気的な表情をしていた。

夢ではメアリーは俺におびえていたけれど、現実では嬉々として束縛されそうだな、と思う。


「ガイア、起きたの・・・?おはよう」

「おはよう」


まぶたをこするメアリーはまだねむそうだ。


 地下室にとじこめられてから一週間・・・もう少したったか?

昼も夜もわからないから、何日すぎたかはわからない。

非常食も尽きた。多分俺の顔はやつれてるんじゃないだろうか。


・・・こんな状況じゃ、あんな夢をみるのも無理ないな。


「ガイア」

「ん?」


 メアリーがむくりと起き上がり、キスをしてくる。そのまま俺に覆いかぶさってきた。

それにしても、中々不健康な生活だな。メアリーの体をだきしめると、ふふ、と笑い声がした。


メアリーとキスをしながら、思った。


俺はあと何日生きるのだろうか、と。


 ひどくいたむ胸の傷が膿みだしてきているから、それがもとで死ぬかもしれない。あるいは、衰弱死か、餓死か。

すでに歩くことさえままならない。


「・・・ん、ねぇガイア」

「どうした?」

「もしも、私たちに子供ができたらどうする?」


 笑いながらたずねてくるメアリー。どうやって返せばいいのか、とまどった。

子供ができたって、産む前に死んでしまうだろうことは明確だったから。


「ガイアの血をついでるんだよ、絶対いい子が生まれるよね!愛の結晶だよ。

 でも、二人きりの時間が減っちゃうなぁ・・・」


俺に返事はもとめていないらしい。真剣な顔をして、悩んでいる。

生まれるとしたら男の子がいいなぁ、なんて呟いている。


「男の子ならガイアをとられる心配もないし、ガイアそっくりになってくれるかもしれないもんね!マザコンになってくれるといいなぁ」

「マザコンになってほしいのか?」

「うん、だってミニチュア版ガイアだよ!あ、いくらガイアにそっくりでも、さすがに実の子供をそんな目ではみないよ?私にはガイアだけだからね」


そういやメアリーの父親は少女嗜好だった、といやな思い出がよみがえった。


「もし子供ができたって、私の一番はガイアだからね。ガイアの一番も、かわらないでしょ?」

「え?ああ、そうだな」


何がおかしいのか、またも笑い出すメアリー。

二人きりになってから、ずっと笑っている気がする。


俺が誰かと関わらず、メアリーにだけ意識をむけていれば、メアリーはそれだけで幸せだという。

なら、そうしようと思う。

残された時間を、メアリーの為に使おう。誰もきずつかず、メアリーだって幸せになれる。これが、最善なんだ。


互いに依存して、最後の時間を生きていこう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ