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病的依存デスガール  作者: レーゼ
エピローグ
70/75

番外編¦ホワイトバレンタイン

2014年のバレンタインに投稿したものに色々と書き加えてみました。

2014年のバレンタインは、私の住むところは超大雪だったんですよ・・・。

 外は大雪。

屋敷の外では、使用人達がせっせと雪かきをしている。


室内は、甘い香りが充満していた。

勿論、チョコレートの香り。


私は今、アンマリーとでチョコレート作りに挑戦していた。


「うーん、形が悪いですね」

「やっぱり?」


アンマリーができあがったそれをひとつ口に入れる。


「うん、おいしいです。味は最初の頃に比べて格段によくなっていますよ!少し甘すぎる気もしますが」

「じゃあ、作り直そう」


アンマリーが苦笑した。


「ご主人・・・これで20回目ですよ?もういいのでは」

「駄目」


だって、ガイアには一番美味しいチョコレートを食べてもらいたいの。

お世辞じゃなくて、本当の笑顔でおいしいといって欲しいから。


「材料費・・・結構かかってますよ?たった一人分なのに」

「おいしいのを作る為なら、やむを得ないでしょ」

「パティシエに作らせては?」

「私が作らなきゃ意味ない!」


アンマリーがふふっと笑った。

妹を見るかのような眼差しだ。


「しょうがないですねぇ、まったく。こんなに想われている旦那様が羨ましいです。

 ・・・・毒をくらわば皿まで、といいますし、こうなったらとびっきりおいしいのを作りましょう!」

「うん、がんばろっ!!」


私とアンマリーはハイタッチをした。




















 大雪の中、領民達は雪かきをしている。

人手がたりないということで、俺やナルガ達もその手伝いをしていた。


「ふー、冷た・・・」


靴の中までぐしょぬれになっている。

雪かきをきりあげて、領民集会所で一休みをしていると、


「お疲れ様です、ガイアさん」


誰かががぽんっと俺の肩をたたいた。


ふりむくと、鼻の頭を赤くしたレニーが立っていた。

かじかんだ手をこすりながら、俺は笑顔をみせる。


「頑張ったガイアさんにご褒美です」


レニーがそういってさしだしたのは、赤の包装紙でラッピングされたもの。

あ、これって・・・。


「ガイアさんは絶対、一個は貰えるでしょうけど・・・しかもバリバリの本命チョコ。

 これ、チョコケーキです。貰うの多分甘いのだろうから、ビターにしてみました」

「あ・・・ありがとう」


レニーはメアリーが甘党だと俺が言ったのを覚えていたらしい。

にこっと微笑んで、俺に手渡してくれた。


「ガイアはモテるからいいよな。俺なんて毎年レニーにしか貰えないんだぜ?」

ナルガの兄、レウスが声をかけてきた。


「モテないよ。俺もレニーにしか貰ってないし。

 tk、レウスもレニーから貰ってるんだったらいいじゃないか」

「それは今のところ、だろうが。

 レニーは従兄妹だぜ?年の離れた従兄妹に貰ったって嬉しくねぇよ・・・完全な義理チョコだし。本命の貰っても困るけどよ」


それを聞いたレニーがむっとした顔になる。


「私のチョコは嬉しくないんだ・・・いいですよ、これからはレウスにはあげない!ナルガにだけあげることにします」

途端に焦り顔になるレウス。


「まてまて、それとこれとはわけが違う!」

「どれとどれが、どう違うんですか?」

「確かに、どれが違うんだ?」

「ちょ、ガイアまでそっちの味方なのかよ!?」


くそう、俺の味方はどこにもいねぇのかよ・・・と拳を握り締めながら言うレウス。

単に気になっただけで、レウスを追い詰める気は毛頭なかったんだが。


「レニーからもらえなかったら、俺もうバレンタインが苦痛なイベントでしかなくなっちまうよ・・・」

「どうぞ、これからは誰にもチョコをもらえない寂しいバレンタインをすごしてください」


いつになく辛辣なレニーの言葉に、崩れ落ちるレウス。

しかし、膝をついた場所が領民集会所の冷たい地面だった為、ひゃあ、と気色悪い声をあげていた。

女ならともかく、大の男がひゃあ、はないだろう。




「皆さん、ここにいたんですね!」


 そんな声がして、今度はジナが現れた。

ルビーの髪飾りをしているから、ジナなのは間違いない。


「ジナ、耳が真っ赤だぞ?帽子かぶってこればよかったのに・・・耳まですっぽりかぶれるやつ」

俺がそういうと、ジナははにかむ。


「帽子をかぶったら、髪飾りが付けられないですもん」

そう言って、手袋をはめた手でルビーの髪飾りに触れる。

「ガイアさんがくれた髪飾り、すっごく気に入ってるんですから」


ジナは嬉しそうに笑うと、もう片方の手でもっていた鞄から何かをとりだした。


「はい、これ。ガイアさんに」

ジナがさしだしたのは、ハート型の小さな箱だった。


「レニーさんにもどうぞ。所謂(いわゆる)、友チョコってやつです」

レニーにも、同じ箱をさしだす。

「わー、ありがとー♪」

レニーも笑顔で受け取る中、さすような視線が俺に向けられる。


「な、なんだ?レウス」


視線の主であるレウスに問うと、レウスはじとーっとこっちをみてきた。


「モテ男め。いたいけな少女を(たぶら)かしやがって」

「はぁ?」


 何を言ってるんだ、こいつは。

俺はいたいけな少女とやらを誑かした覚えもなければ、モテ男でもないぞ。

第一、俺がチョコを貰ったのはこれで2人目だ。


そういうとレウスはため息をついた。


「それはさ・・・お前に婚約者がいるから渡しにくいだけだろ」


そういうものなんだろうか?

レウスの方が体格もいいし頼りがいがありそうだけどな。








 屋敷に帰ると、メアリーが胸にとびこんできた。


「おかえりなさい!チョコ、作ってたの。さっきまで」


そういって、やたらと豪華なラッピングのチョコレートをさしだした。


「ね、食べて」


メアリーのやたらとキラキラした目に催促(さいそく)されながら包装を解く。

形はあまりよくないけれども、甘い香りのするそれを食べる。


「おいしいでしょ?」

メアリーは期待の眼差しを俺に向け、笑顔で言った。

同じ視線でも、筋肉男(レウス)美少女(メアリー)でこうも違うんだな。


「隠し味をいれたから、絶対においしいはずなの」

「隠し味?」

「そう。何だと思う?」

「え~、生クリームとか?」


ふふ、と笑うメアリー。

そして、背伸びをした。


俺の耳元で、甘い声で囁く。



「愛、だよ」

「愛・・・」



口を開いた瞬間、口の中にメアリーの舌がはいってきた。

ぎょっとする俺の口の中を、メアリーが蹂躙する。


そして、


「ガイアの口の中、すっごい甘い」



彼女はにやりと笑った。







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