エピローグ
一枚の絵画が、あった。
紅い絵の具で描かれた、絵画が。
真白の雪にみたてたキャンバスに描かれたその絵画は、残酷で凄惨ながらもひどく美しく、みる者を総毛だたせた。
画家の名前はアンマリー=グレゴリー。
『呪われた屋敷』の侍従長。
絵画に描かれている、紅に染まった少女にはモデルがいる。
それこそがアンマリーの仕えていた、メアリー=ウェネフィーその人だった。
彼女の生涯は波乱に満ちていた。
幼い頃に実姉が原因不明の死をとげ、賊に不自由な体にされた実母に辛く当たられ、あげくは何者かによって両親が惨殺されたのを目にしてしまった。
その為か婚約者のガイア=アルカードに執着し依存しだすも、周囲の者が次々に行方不明になる事件がおき、その事件の犯人ではないかと疑われだす。
そして本人も、行方不明になった。
実は、一連の事件の犯人はメアリーだったとアンマリーは供述した。
メアリーは幼い頃実の父におそわれ、どこかでおかしくなってしまった。
両親を手にかけてしまい、婚約者のガイアだけが頼れる存在となった。
ガイアに対する病的な依存心から、彼の周囲の者を虐殺し中庭に埋めた。
アンマリーの描いた絵画は大きな反響を得た。
同時にウェネフィー邸は『呪われた屋敷』と呼ばれるようになった。
メアリーとガイアは行方不明になっている。
あの肉塊の正体は、もう1人の行方不明者、レニー=グレイディのものであることが判明した。
アンマリーいわく、行方不明になっている2人はもう死んでいるはず、とのことだ。
2人の居場所だけは、アンマリーは話すことはなかった。
だから、誰も知らない。
『開かずの地下室』で、一体と1人が、
手をとりあいながら朽ちていることを。
―――THE HAPPY END ?―――
これにて完結となります。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
あとがきといくつかの番外編を投稿しますので、暇さえあれば読んでくだされば幸いです。