声に導かれるままに
残酷な描写がありますので、閲覧にご注意ください。
―――――――――――っ――――――あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああああああぁあああああああああああぁああああああああああああああああああああぁあああああああああぁぁぁあああぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああぁあああああああああああああああああああああああぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああぁあああああああああぁあああああぁぁあああああああああああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああああああああああああああああああああぁああああああああああああああああああああぁ!!!!!!!
イトシイアノヒトガシズンデ逝ク。
カスカ二ワライゴエヲタテルノハアノオンナ。
ね・・・ぇ。どうしたらいいの!?ねぇどうすればいい!!?あの人がもしあのヒトを失ったら私はどうすればいいの!?私はどうなるの、私を置いていかないで、ねぇお願い!
なんで?どうしてなの!?あの女を切り刻む!?目の前のこいつヲキリキザンデ細切れにする!?殺す!殺す殺す殺す!!バラバラに!!ぐちゃぐちゃに!!ぎったんぎったんに、修復なんてもう金輪際できないように!!肉片も残らないように!!!そうしたら治る!?でもそれをして何かが変わるの?どうなるの、何かの役に立つの!?どうなるの、どうするのわかんない、わからないよ!!頭が追い付かないよ、混乱してる、混濁してる。誰かイトシイあのヒトを、治して。導いて、助けて。私にはどうしていいかワカンナイヨ。
ぐるぐるまわる思考。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。
雑音でめちゃくちゃで、考えがまとまらない。
<委ねろ、本能のままに>
雑音に混じって響く声。
<なりふり構うな>
<正しい選択を>
そうだ。
深呼吸。
落ち着いて。
動揺するな。
この声に従えば、私とガイアは必ず幸せになれるんだから。
ガイアは必ず、救われるんだから。
ああ、思い出したよ。
この声は、私自身の声だ。
もう1人の私の声。
・・・・・・・
とおい昔に、死んでしまったもう1人の私。
そう、私の声なんだ。
突然、レニーの笑い声がやんだ。
「ああ、ガイアさん。どうか死なないで」
ガイアにむけて言葉を放つ。
ねぇ、それって私の台詞じゃない?
「ガイアが私を愛してくれるから、ガイアが存在しているから。だから、・・・・・・この世界に意味があったの」
私がぼそっと呟いた言葉に、レニーが私の方をふりむいた。
私の生きる意味・・・・それはガイアに愛される為。
愛しいガイアとの時間は何にも変えられない。
どんな宝石も、沢山の金銀財宝も、ガイアとの時間に比べれば色褪せてしまう。
この命はガイアの為に。
ガイアの命は私の為に。
あの日ガイアに出会ってその瞳に見つめられた時から、運命は決まっていた。
運命は切りひらくものだ――――そう誰かが言った。
私はそうは思わない。
運命は最初から決まっている。
運命に抗おうとすることは神に逆らうこと。
即ち、己を否定することに等しい。
「私とガイアは、結ばれる運命にある」
そうでしょ?
運命を正すべく、愛しい人を護るべく、私は手を紅に染める。
血に触れるのは私だけでいい。
人を手にかけるのは私だけでいい。
・・・ガイアと同じ種族を名乗るのはおこがましいクズ共だけど。
ガイア。
私、あなたのためならなんでもできるんだよ。
あなたにまとわりつくゴミは、全部払ってあげる。
あなたに迷惑をかける雌共は皆、蹴散らしてあげる。
あなたに恐れ多くも恋してる馬鹿共は、1人残らず消してあげる。
だから心配なんていらないよ。
護ってあげる。
どこか安全な処に閉じ込めて、害虫から護るよ。
私を置いて死ぬなんて許さない。
ガイアと私は一緒に死ぬの。
お互いの手を握り合いながら朽ちていくの。
そういう運命のもとに生まれてきたの。
ガイアの命を握っているのはレニーじゃなくて、私なの!
レニーが嘲笑した。
歪な笑顔に吐き気がする。
「ね、メアリーさん。ガイアさんが大事なんでしょう?欲しいんでしょう?
でもね、あなたにはあげない。あなたにとられるくらいなら、壊してやる。
ガイアさんに好きになってもらう自信があるんですよ、私・・・あなたさえいなければ」
こうしている間にもガイアの血はながれだす。
どくどくと雪を染める。
私のいらだちをしらないレニーは、どうでもいい話をしている。
「響いてるの、誰かの声が。手に入らないなら全てを無にかえせ。
1からやり直せ・・・壊してしまえ。誰かの物になるくらいなら」
レニーの勝ち誇った笑みに顔がひきつる。
勿論恐怖とか怯えとかからくるものじゃなくて。
完膚ないまでに叩き潰したいという、怒りを通り越した負の感情。
大罪人に制裁を!
殺れ、殺せ、殺ってしまえ!
先に攻撃にでたのはどっちだったか。
ナイフを奪い合い、罵詈雑言がとびかった。
レニーは私の髪を鷲掴みにし、私はナイフでレニーの下腹部を浅く切り裂いた。
先手必勝、つきたてたナイフを一息に下へひきおとす。
クチュリと血がかきまぜられる。
レニーの絶叫に耳をかさず、ナイフを奪い取ろうとする腕に噛み付いた。
血が泡立ち、ナイフに付着していく。
ナイフにくすんだ銀色の部分はもうない。
全てが血塗られた色。
「もっとガイアは痛いんだ!もっと苦しんでるんだから!」
これ以上ない苦痛を与えてやる。
胸を刺されて痛かっただろう。 許さない、絶対に。
ナイフを強奪しようとするから顔をふみつける。
レニーの手が私の足首を掴んだ。
振り払おうとしても離れない。
ごぽごぽと血の流しながら足首を酷く強い力で握り締められる。
良くも悪くも細めの足首は、ぎりぎりと音をたてる。
骨がきしむ・・・こいつ、どこにそんな力が。
腹部は鮮やかな血が泡立っていて力は入らないはずなのに。
顔を更に踏みつける。
ますます力がこめられ、爪が肌にくいこんだ。
爪をはいでやろうか。
「私からこれ以上大事なものを奪わないで!」
金切り声をあげるレニー。
それはこっちの台詞だ、今日何度そう思ったか。
「私からガイアを奪おうとしてるくせに!」
「うるさい!」
ぐちゃぁ、とうい音と嫌な音がした。
レニーの泥と血にまみれた鼻が折れたんだ。
同時に私の足首の骨にもヒビがはいったようだけど。
私は自由な左足で腹部を抉るように踏んだ。
「・・・・・・あああ・・・!!!」
「あははははははははははははははははははは!!!」
こんな時なのに、私は笑っていた。
ぐりぐり。
ぐりぐり。
「ごっ・・・ふ・・・」
「まだ死んじゃダメだよ?もっともっと、苦しまなきゃ。死んだ方がマシだってくらいに苦しませてあげる」
ぐりぐり。
ぐりぐり。
爪もはいでしまおう・・・そう思って手をのばした。
レニーに跨り右手を掴んだ。
小指の爪を、べりべりとはいでいく。
「・・・がっ・・・ぁ」
腹部を切り裂いたせいかな?
声がでてない。
爪をはがし終えた小指をナイフで切り落とそうとした。
その瞬間だった。
がぶ。
「え?」
・・・ポキリ。
・・・ぶちり。
「あああああああああああああああ!!!」
痛い!痛い!痛い痛いイタイ痛いイタイイタイ痛いぃぃぃ!!!
こいつ、私の指を噛み千切った!!
ぷしゃっ
つい落としたナイフがレニーの左耳に突き刺さった。
「ぁぁぁ・・・イタイ・・・まっかっか・・・」
ガイアは胸を刺されたんだから、もっと痛かったんだな。
そう思ったら。
目から透明の水がとまらなくなってしまった。
嗚呼。
私、やっぱりこの女が大嫌い。
しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね、クズ野郎。
・・・・・ぐちゃっ・・・・・・・・・ぬちゃっ・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・ぐちゃぁ・・・・「ぎゃぁ・・・・・ぁ」・・・・
「ぁくっ」・・・・・・ざく・・・・・ずる・・・・
ぐちゃ・・・・・・・・・ぁ。




