赤の思慕 中編
私は富と地位が目的で、ガイアさんに近づいた。
嘘なんてつけない純粋で正直者な女の子を演じていたから、ガイアさんはすぐに私を信頼してくれた。
人を騙すだなんて最低な奴だって思う人もいるかもしれないけど、社交界でそれは当たり前のことだ。
婚約者は箱入り娘で束縛が激しいということは、ガイアさんが律儀に同じ時間に帰宅することでわかった。時々愚痴もこぼしていたし。
その点私なら自由にさせてあげるし過剰な嫉妬もしない。
地位だって公爵家には及ばないけどそこそこだし、見た目も、自分で言うのもなんだけど悪くはないはずだ。
私に取り入る隙はある。そう思った。
ガイアさんと知り合って少し経った後、私はグリー姉妹と知り合った。
フレンドリーで明るいジルと、年齢にあわず落ち着いた雰囲気のジナ。
2人共、ガイアさんを好きになってしまったようだった。
ジナに至ってはこれが初恋だという。
ジルに恋愛相談なんかを受けてしまった時は困った。
面倒以外の何物でもなかった。きっと、私がガイアさんの恋人にでもなれば裏切りだとでも罵るんだろう。先に目をつけていたのが私だとしても。
面倒なことこの上なかったけれど、距離はおかなかった。
ジルといると楽しかったというのも事実だったから。
感情に率直で好き嫌いがはっきりしていてわかりやすい。嘘が下手で身分も関係なしで、我が道をいく。私を色眼鏡で見ることもなければ、損得勘定で動くこともない。
だから居心地がよかったのだと思う。
ジルの為に手をひくべきか?
そんなことを考える頃にはもう、とっくに手遅れだった。
いつの間にか私は、ガイアさんに本気になっていたのだった。
富や地位とか顔だとか、ステータスで選んだ人を好きになっちゃったわけだけど、それも好都合だ。
絶対にガイアさんの特別な人になってやるって、意思が強まった。
一夫多妻制なんだから、ジルと奪い合う必要もないよね?
そんなことを思っていた私だったけど。
まさか、自分があんなにガイアさんに夢中になっていたなんて思いもしなかった。




