ゼロフィリア×インセスト
少し残酷描写がはいります。
「一体何者なんだ、君は」
詐欺師なのか、頭の螺子が数本ゆるんでぬけてしまっているのか。
ありもしない話をでっちあげているようにしか聞こえない。
「だから、言ってるじゃないですか、私はサーカス一座の演出家ですって。
サーカスでみせた人体発火は、私が魔法でやったの。後、クマがでてきたでしょう?あの子を躾けたのも私よ。動物と一時的に話すことができる魔法を使って躾けた」
曲芸にはことごとく失敗してしまったんだけどね、と苦笑するブリジット。
なんにせよ、完全には信じられない話だ。
今まで俺は、世界は椀状で、魔法なんて空想上のものであると認識していた。
占い師なんかは存在しているが、俺はあまり占いを信じる方ではなかったし。
「世界は球状でありもうひとつ大陸があるとか、魔法だとか言われてもすぐには信じられないよ。あまりにも突拍子すぎる」
「聞いてもらうだけでも構わないの。
とにかく魔法は現実に存在して、私はそれを扱える。私は魔法でこの子を救った。私は高度な治癒魔法は使えないから、この大火傷を治すことはできなかったんだけど・・・精々、痛みを和らげて命を繋ぎとめることくらい」
ジナを引き寄せて、包帯にまかれた顔を痛ましそうに見る。
包帯でまかれていて、表情はわからなかった。
「・・・仮にその話が本当だとして。それで、あなたはどうして俺を訪ねたんです」
「・・・察しているとは思うけれど、この娘をこんな目にあわせた、嫉妬に狂った殺人鬼ちゃんの正体は誰なのかをお話に来たのよ」
ごくり、と唾をのみこんだ。
ジナをこんな目にあわせた、嫉妬に狂った殺人鬼。
なぜだろうか。
その正体を、聞いてはいけない気がした。
それでも俺には、聞かなければならなかった。
事件の起こった領の責任者としても、ジナやジルの友人としても。
そして告げられた殺人鬼の名前は。
「私は、犯人はあなたの婚約者だと思っている」
「メアリー=ウェネフィー」
「彼女以上に疑わしい人はいないわ」
うすうす気付いてはいたけれど、そうとは信じたくなかった。
「なぜ、メアリーが犯人だと思った?動機は?」
その声は、少し震えてしまっていた。
「動機?あるわよ」
得意げに笑うブリジット。
「大切な、愛しい婚約者の周りにいる彼らが邪魔だった、とかね」
「・・・メアリーが、人を殺せると思うのか?」
「・・・バッシュ=ウェネフィー公爵、行方不明事件」
その言葉をきいて、俺の心臓が、嫌な音をたてた。
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「やだ!なんでガイアにあっちゃいけないの!?ガイアにあいたい!」
「いい加減にしなさいメアリー。いくら婚約してるからって・・・。
あの子がくると、あの人が不機嫌になることくらい貴方だってわかるでしょう!?」
お母様が最近、怖い。
ずっと皺をよせていてすぐに怒る。
お父様の私を見る目も、なめまわすような視線で居心地が悪い。
ガイアにあいたい。
あってぎゅぅって抱きしめて欲しい。そしたら安心できるから。
「でもお母様!もうずっとガイアにあってないよ・・・」
「わがままを言わないで頂戴!貴方は走り回れるじゃないの・・・屋敷中を!これ以上望むのはただのわがままよ!?」
「奥様、落ち着いてください」
「私が落ち着いていないですって?至って冷静じゃないの!」
ギィと扉が開いてお父様が入ってきた。
「あなた!メアリーが私のいうことをきいてくれないわ!」
お母様がヒステリックに叫ぶ。
逃げるようにして部屋をでた。
「ガイア・・・あいたいよぉ・・・」
寝室の窓をあけて、かたまった。
「ガイア」
ガイアが遊んでた。
私じゃない子と遊んでた。
しらない女ノコと遊んでた。
私がいないところで、笑ってた。
私に飽きちゃったの?
私のこともう好きじゃないの?
目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
とんとん、とノック音。
お父様が入ってきていう。
「メアリー、ちょっとお話をしよう」
私の涙を拭ってお父様は笑顔になる。
「哀れなメアリー・・・あの子供はお前のことをただの友達としか思ってはいないよ」
そういって私を抱き寄せる。
本当にそうなの?ガイアにとって私は、ただの友達?
「だから婚約は破棄するつもりだ。メアリー、お前は私のものだからね」
「は、き?やだ!」
「なぜだい。メアリーはあの子供が好きなのか?」
不機嫌そうなお父様の問いに頷く。
そしたらいきなり、お父様は私の服に手をかけた。
「じゃあ、忘れてもらうしかないな」
下卑たその笑みが怖くて。
服が脱げかかって、必死で暴れる。
そしたら、口の中に舌を捩じ込まれた。
ぬるっとした舌が、私の舌を絡めとろうとする。
気持ち悪い。
お父様が怖くて気持ちが悪くて、吐き気がしそう。
涙がとめどなく溢れてくる。
「っ」
お父様の舌を、必死で、前歯で噛んだ。
怯んだ隙に口を離して、棚の上においてあった物を掴む。
「メアリー!言うことをききなさい」
嫌だ。
お父様が私を捕まえようとした時、私は手に掴んだそれを突き刺した。
「ぐはぁっ!?」
嫌で、嫌でたまらなくて。
口に残った感触がたまらなく気持ち悪くて。
何度も何度もふりおろした。
ぐちゃぐちゃになってもまだ、その手をとめなかった。
20回近くふりあげた。
顎の下辺りや胸、腎臓付近・・・とにかく急所を滅多ざしにした。
生暖かい液体で手がぬれる。
手は、すっかりまっかっか。
我にかえると、隣にはガイアがいた。
呆然と、私をみつめていた。
血の生臭いにおいの満ちたその部屋は寝室じゃなかった。
お母様用の部屋。
ガイアはみてはいけないものをみたような目をしていた。
どうしてそんなに怯えているの?
どうしてそんな目で私をみるの?
「ガイア・・・」
こときれた、ぐちゃぐちゃのものを見下ろす。
あ、
「そっか・・・全部コイツが悪いんだね」
これみて気分が悪くなっちゃったんだ。
これが怖かったんだ。
なぁ~んだ。
ぐちゃぐちゃのそれは、お母様のネックレスをしていた。
放心状態のガイアをおいて寝室にむかうと、そこにも塊があった。
みてて不快感はない。
顔が潰れているから、不快な顔はみれないからね。
服が血まみれなのに気付く。
使用人達にばれたら怒られちゃう。
ぬれたタオルで体と顔を拭いて、服を着替える。
汚れた服はびりびりに引き裂いて捨てた。
ガイアのもとに戻ると、青ざめた顔をしていた。
「大丈夫?」
心配に思って顔をのぞきこむと、ガイアは涙を流した。
「ごめん」
ガイアはそういって私を抱き寄せた。
ああ、あいつとは全然違う。
さっき、あの男に抱き寄せられてあんなに嫌悪感を抱いたのに。
ガイアに抱き寄せられてかんじるのは、幸福感と愛情だ。
ガイアさえいれば、他は何もいらないや。
その後、ガイアは気を失ってしまった。
私は塊たちを袋に詰めた。
幸いにも目撃者はいなかった。
使用人は皆働いているものね。
でも皆気付いてしまうだろうから、空き巣とかのせいにしておこう。
寝室にあった装飾品や宝石も一緒に袋へと詰めた。
血まみれの服も脱いで袋に入れて、体中をしっかりと清めてから着替えなおした。
袋は丁重に処分した。
これで、私は疑われない。
空き巣が金目のものを盗んで、その際に2人は殺されたとか拉致されたんだって皆、思うよね?
これで、邪魔をする人はいなくなった。




