思いもよらぬ再会
リザがでていってからしばらくして、どたばたと音がした。
なんだと思ったら、今度は姉のエリカが居間へと入ってきた。
「あのっ!ガイア様、あの方々の素性がわかりましたわ!疫病患者では断じてございません。
2ヶ月前からウェネフィー領に滞在している、サーカス一座の方々だそうです」
「サーカス一座!?」
ついこの間、ジナと見に行ったあのサーカスの?
「なんでサーカス団の人がガイアにあいにきたの?」
「それはわかりませんが・・・とにかく、疫病をもっているというわけではなく、ただ異形なだけで」
それも失礼だと思うぞ、エリカ。
「確かにミイラのような姿をなさっておいででしたが、ちゃんとわけがあるようなのです」
「・・・そうか」
あってみようかな。
あの道化師が燃えたトリックのこととかも聞いてみたいし。
俺は珍客の謁見を許可することにした。
「待たせてしまい申し訳ない」
俺がそういって応接間に入ると、2人の女性が頭を下げた。
1人は長い金髪の、ややきつい目をした美人だった。
長衣を纏っており、薬草師のようないでたちだ。
そして、疫病患者だの異形だのミイラだの騒がれていた、小柄な女性。
クリーム色の長袖の服を着ているが、肌は一切露出しておらず、すべてに痛々しい包帯が巻かれていた。
その女性の唯一出ている部分・・・瞳。
その翡翠色の瞳に、既視感を覚えた。
金髪の女性が、妖艶な笑みを浮かべて立ち上がる。
「初めまして、領主様。私はブリジット=ハートビックと申します。サーカス一座の演出家ですわ」
そして、また頭を下げる。
「この娘は私が数日前に拾ったのですが、声帯が焼けちゃっていまして、喋ることができません。
包帯もわけあってとれないんです。醜い姿を晒したくないそうなの」
声帯が・・・焼けてる?
「それって・・・」
ブリジットと名乗った女性は、妖しく笑う。
「本日は、この娘があなたに用があるそうなので参った次第です。この娘、領主様とお知り合いだそうですよ?」
声帯が、焼けている。
小屋の炎上。
体中に巻いた包帯。
翡翠色の瞳。
数日前。
小柄な背丈。
俺と知り合い。
・・・まさか。
いや、でも。
「・・・・・ジナ・・・なのか・・・・?」
おそるおそるやずねると、目の前の包帯少女は、こくりと頷いた。
行方不明になっていたジナが、俺の目の前にいる。
信じられない。
嬉しい。でも、
「その姿・・・一体」
「そのことを話しにきたんですよ、領主様」
ブリジットが、変わり果てた姿のジナの肩に手をおいて、そう言った。




