綺麗な花には棘がある
ナルガ視点です。
綺麗な花には棘がある。
「ジナが見つかったら、メアリーちゃんのことを聞く。
メアリーちゃんが犯人だとジナが言ったら、ガイアの婚約者だろうが、公爵令嬢だろうがなんだろうが俺がゆるさねぇ」
「・・・・・ぷっ。あはははははは!」
メアリーちゃんが突然笑い始めた。
俺が真面目に言っているってのに、なんなんだ?
「な、なんなんだ」
「あはは、バッカみたい!あの2人はもう、生きてないですよ?」
そして、そう告げた。
演技でもねぇことを言いやがる。
挑発か?俺をからかってんのか?
「2人の死に様、確かに私が見届けましたから」
はぁ?
メアリーちゃんは面白そうに俺の方をみた。
なんで、こんな時に笑ってられるんだよ?
さっき言われたことを言い返してみる。
「証拠はあんのか?」
その言葉に、メアリーちゃんは笑いながら頷いた。
そんな馬鹿な・・・メアリーちゃんは、虫も殺せなさそうなお嬢様育ちだ。
あのジルを打ち任せられるわけがねぇ。
メアリーちゃんは立ち上がり、何かをもってきた。
上質な絹の赤い布・・・に何かがくるまれていた。
メアリーちゃんが笑いながらそれを見せてきた。
中には、
「!!」
――――――――――――――――――指。
腐りかけた親指が中にくるまれていた。
なんだよこれ。
なんでこんなもん。
メアリーちゃんが笑いながら言った。
「あははっこれで信じてくれた?この指、ジルのだよ?
ジルは切り刻んで庭に埋めた。ジナは燃やして爆破してあげたの・・・まぁ、ジナは勝手に死んでくれたようなものだけどね」
ピキピキと音がした。
俺の額に青筋がたった音だった。
こいつ、なんで笑ってんだ?
ジルを切り刻んだ?
ジナを燃やして爆破した?
正気の沙汰じゃねぇ。
気がつくと俺は、彼女の細い首をしめあげていた。
「ぅ・・・ふふ、私を殺すの?」
まだ笑ってんのか。
この状況でよく笑えるな?
「私が死んだら・・・ガイアが、悲しむよ?」
その言葉で我に返る。
ジルとジナがいなくなって、ただでさえ辛い思いをしているガイアが、これ以上苦しむのは我慢ならない。
同時に眩暈と吐き気がした。
立ちくらみで、思わず座り込む。
いきなり、ここに来る前に食べていたものが喉を逆流してくる。
体が痺れたように動かなくなった。
「うゎ・・・吐かないでよ・・・気持ち悪」
「てめ、さ、酒に何か、いれた、ろ」
体が痙攣する。舌の呂律がまわらない。
吐き気もおさまらない。かろうじて会話をする。
「即効性の麻痺薬と毒薬だよ」
「っざっけんじゃ・・・ねぇ。てめぇなん、か、ガイアに捨てられんのがオチだ」
途端、笑い声がぴたりとやんだ。
「・・・あぁもう・・・どいつもこいつもクズ、クズ、クズばっか!!」
「は・・・」
激昂し、可愛い顔をゆがめている。
「お前なんか、あの人の横に並ぶことも存在する価値もないんだから!!
もうお払い箱なんだよ!!!そんなお前があの人を語るな!!」
・・・もって後何分だ?
わからねぇ。でも足掻かないと癪だろ。
俺は震える足をいなし、立ち上がった。




