地獄の業火
新章スタートです。
急展開&鬱展開になってます。
この話を占ツクに投稿したのって、2013年のクリスマスだったんですよね・・・。クリスマスにこんなもんを・・・。
ごうごうと燃え盛る室内で、私をみおろしているのは、見知らぬ人。
今にも消え入りそうな、微かで浅い呼吸音だけが響いている・・・この呼吸音は、倒れる私から発せられていた。
私はまだ、生きていた。
肌も喉も、髪もすべて、焼けただれていた。
真っ黒で、きっと醜くて見るに耐えない姿。
それでもなんとか私の心臓は動き、脳も正常だった。
私をみおろす人は、私を優しく抱き起こしてくれた。
「ここにいると、危ない」
その人はそう告げた。
そうだ・・・彼女がこの小屋に火を点けたんだ。
憎むべき殺人鬼。彼女を野放しにしていては、私の大切な人たちは皆々、彼女の手にかけられてしまう。
けど、私の体は満足に動かせない。
瀕死の状態だった。
今もかろうじて呼吸をしていた。
もって数分の命・・・そう感じていた。
「あなたは、今ここで死ぬべきじゃあない」
その人はぼそりと言った。
私はもうしゃべれないから、何も返事できない。
私は見知らぬその人に抱きかかえられ、炎上する小屋の外にでた。
この人が連れ出してくれなければ、今頃。
私はあの小屋の中で、逃げることも出来ずに、彼女の所業を誰かに伝えることも出来ずに、無力に焼死していただろう。
小屋を覆い、ますます燃えたぎる炎を、腕の中から。
呆然と、眺めていた。
12時半くらいの昼下がり。
1人書斎で仕事をしていた俺は、報告書の中に驚くものをみつけた。
「グリー家所有の小屋が、昨晩炎上・・・?」
小屋ときいて思い浮かべるのは、一昨日バーベキューの時利用した小屋だ。
2日前に利用したばかりのあの小屋が?
「おっお客様困ります!」
そんな声とともに、ぱたぱたと足音が聞こえた。
急ぎ足・・・足音からして、女性だろう。
男性の急ぎ足ならもっと大きな音がする。
足音はだんだんこっちに近づいてきて、
「ガイアさん!!」
レニーが息をはずませ、書斎にとびこんできた。
俺はその勢いに少したじろいだ。
「どうした?そんなにあわてて」
幾分か冷静だった俺にレニーが告げたのは、驚愕な内容だった。
「ジナが昨日の夕方から帰ってないって・・・!
しかも昨晩バーベキューの時に使った小屋が燃えたって!!」
高熱で寝ていたはずのジナの行方不明。
一昨日利用した小屋の炎上。
ジルに続いて、ジナが?
不可解な、ふたつの事件。
まさかつながってたり、しないよな・・・?
偶然だといいが。
嫌な予感しかしなかった。
「レニー・・・小屋へ、行くぞ」
小屋の焼け跡には、川付近の住人が群がっていた。
俺をみて慌てて跪く者、好奇の目でみる者、場を離れる者をかきわけ、焼け焦げたその場所に目をむける。
一昨日にみた小屋のかげは跡形もなく。
黒い煤だらけの焦げた木材が、ぐちゃぐちゃになっているような。
「誰かが放火したんじゃないかってレウスが・・・。
火がまわるのが早かったらしいんです。それに、マッチの残骸がみつかったって」
レウス・・・ナルガの兄貴だっけか。
「ほら、レウスって半年前王宮の騎士団に入団したでしょ?
だから消火活動に参加したみたい」
「そうか」
その時なにかがきらりと光るのを俺は見逃さなかった。
すぐさま焦げ目のついた柱にかけより、柱をどける。
「・・・・・・なん・・・で・・・」
それは、あの日俺がジナをみつけることのできた道しるべ。
ジナの、ルビーの髪飾りだった。




