死刑宣告
「ジナさん。調子はいかがですか?」
初めて足を踏み入れるグリー家。
私達の住んでいる、ウェネフィー領主の屋敷に比べると小さく感じるが、ガイアにいわせれば大きい方なんだという。
昨日の昼、ボートから転落したジナが、夜になって高熱をだしたというので、見舞いにきたというわけだ。
それは勿論、ただの口実に過ぎないけれど。
わざわざ見舞いになんていく程仲がいいわけじゃないし、仲良くなろうとも思わないしね。
私をみるジナの目に、不審と怯えの色がある。
やっぱり、昨日意識があったらしい・・・。
あの時くたばってれば良かったのに。
「ジナさんのお見舞いにきたんですよ」
「あ・・・。ありがとう、ございます」
「あ、林檎を持ってきたんですけど、食べますか?食欲はありますか?」
「ありがとうございます。後で食べますね」
若干とまどっているようだ。
しかし警戒は怠っていない・・・姉と違い聡明だ。
「ジナさん」
「はい」
一呼吸おいて、近くにあった椅子に座らせてもらう。
扉の外に、見張りのミランダがいるだけ。
部屋には私達2人の他には誰もいないのを確認してから、声を紡ぐ。
「高熱だとききました・・・私のせいですよね。私が川に落としたから」
ミランダに聞こえないように、控えめに。
でも、隣のジナには聞こえるくらいの大きさの声で私が放った言葉に、とろんとしていたジナの目が見開かれる。その頬は熱で火照っていた。
それに構わずに、話を続ける。
「・・・でも私、悪いとは思ってないよ?正しいことだから。
あのじゃじゃ馬を殺して、バラバラの肉片にして、遺棄したのだって、間違ってないって思ってる。
そもそも、あんな屑みたいな女に人権なんてないでしょ?いなくなっても困らない」
「・・・え・・・・?」
「婚約者がいることを知りながら、ガイアに色目を使った彼奴が悪い。あんなことになったのは、全面的に彼奴に責任があるの。因果応報って、このことだよね」
ジナは私のその言葉が理解できていないようだった。・・・というより、頭が追いついてないようだった。
もっと噛み砕いて話してあげないと、わからないらしい。
「え・・・と」
「つまりね?
私がジルを殺したんだ♪」
凍りつくジナに言葉を落とす。
「すごく叫んでね、うるさかったよ。でも、切れ味はよかったかな?」
ジナの目が、極限まで見開かれる。
ベッドの上のジナの耳元に顔をよせると、私はこう囁いた。
「今日の夕方、あの小屋にきて。
絶対1人で来ること、このことは誰にも言わないこと。さっき話したことも、小屋に行くことも口外しちゃダメだよ?
言ったらどうなるのか、頭のいいジナさんには勿論、わかってるよね?」
自分の言いたいことだけ言い切った私は、固まったジナを取り残してグリー家を去った。
「夕方が楽しみだなぁ~♪小屋で、待ってるからね」
あなたの大事なお姉ちゃんのもとへ、おくってあげるよ?




