被害者は疑われない
目覚めたジナ視点です。
目が覚めると、そこに立っていたのは、
メアリーさんだった。
「目覚めたの!?よかった……」
温かみを感じる、優しい笑顔。
「皆、ジナさんのことを心配していたんだよ?あ、皆を呼ぶね」
でもあの時、頭をおさえつけたのは…。
「皆!ジナさんが起きたよ!!」
「何!?」
「本当か!!」
途端にどたばたと足音がして、ドアが開いた。
心配そうなガイアさん、涙ぐんでるレニーちゃん、ほっとした顔のシモーヌちゃん、
満面の笑みを浮かべたナルガさん、うすく微笑むミランダさん、飄々としたアンマリ―さん。
「大丈夫か!?」
「よかった、調子はどうなの?」
「目ぇ覚ましたのか!」
口々に、いろんな労いの言葉をかけてくれる。
ああ、皆優しいなぁ・・・。
そう思ったとき、メアリーさんが耳元で囁いた。
「運がいいね。―――――――お姉さんと違って」
その言葉に、私の心は凍りついた。
それは脅しなの?
それとも、善意からの言葉なの?
「ジナ?」
怖くて仕方がない。
「だ、大丈夫」
「そうか?具合が悪かったら、すぐに言えよ」
「うん、ありがとうね」
・・・誰かに話すべきだろうか?
ガイアさん?
駄目だ。2人は婚約者なんだ。
彼を傷つけてしまう。
レニーちゃん?
彼女も駄目だ…メアリーさんと仲がいいようにみえる。
アンマリーさんなんてもってのほか。
傭兵の2人だって、完全に信じられない。
残るは、1人。
誰もいなくなり、2人きいりになるのを見計らい、私はナルガさんにことの顛末を話し、相談した。
「……つまり、お前が落ちたのはメアリーちゃんの仕業だっての?でもメアリーちゃんも落ちたわけだろ」
「う・・・それは・・・・」
相談してみたはいいけれど、渋い顔になるナルガさん。
あんな優しそうで綺麗なメアリーさんが、そんなことをするなんて思えないんだろうな・・・。
こんこんこん。
扉がノックされた。
「は、はい。どうぞ」
頭をのぞかせたのはメアリーさんで。
ナルガさんは気まずそうにこっちをみた。
・・・・・やっぱり、信じてもらえていない。
メアリーさんは全てわかっているといった風に微笑んだ。
だから、か・・・?
私1人だけ落ちたら、メアリーさんが落としたんじゃないかと疑われる可能性がある。
シモーヌちゃんやミランダさんなら、確実にメアリーさんを疑うだろう。
今思えば、落ち方も不自然だったよね。あれは、落ちたんじゃない。落としたんだ。
わざわざ酔ったふりをして、バランスを崩したように見せかけたんだ。
自分もろとも落ちるなんて・・・・もしかして、泳げたとか?
いや、メアリーさんは公爵家の由緒正しいお嬢様だ。川なんかで泳ぐ機会なんてなかったはず。
きっと、ガイアさんが自分を絶対に助けてくれると信じていたんだ。
現にガイアさんはメアリーさんも、私のことも救助してくれた。
バーベキューをしていた時から、メアリーさんの視線は常に、ガイアさんの方にむけられていた。
ガイアさんを信頼し、愛しているのは明白だった。
・・・・・そこまでして私を落とした理由は、一体何なの・・・?




