奇妙な魚
「うわぁ・・・結構ゆれてますね・・・」
「怖いのか?落ちないように気をつけろよ」
レニーに手を貸し、ボートに乗るのを手伝う。
水面に陰が映りこんだ。
レニーは逆方向にオールを漕ぎ始めた。
初めてだから無理もないか。
「そっち漕いだら逆行くから。ほら、こうやってこぐんだ」
「うぇー?」
「テンポあわせて。1、2のテンポで漕げばいい」
レニーに教えながら深部へとボートを漕ぎ進める。
中々筋がいい(筋も何も簡易だが)。
「ひゃ、思ったよりぐらぐらする・・・ひっくり返ったらどうしよう」
それが一番心配なところだ。
大抵の貴族は泳げない。泳ぐ必要などないからな。
あのメンバーでも、泳げるのは俺とアンマリーのみ。
ミランダは犬掻きならできるらしい・・・ある意味すごいと思う。
「あ、みて!ガイアさん。ハゼみたいな魚が」
「・・・ハゼにしては大きすぎないか」
ハゼの4、5倍はあるであろうまだら模様の魚が水中を遊泳していた。
唇は厚ぼったく、鱗の一枚一枚が大きい。 川魚にしては巨大な魚だった。
普通に考えて、こんなハゼいないだろう。
「食べられる魚でしょうか?」
「さっきバーベキューで鱈腹食べたばっかだろ?」
「まあそうだけど・・・おいしいですかね、あれ」
「美味ではないと思う」
tkまずいと思う。
そもそも、ハゼって食べられる魚だっけか?
「意外と美味しいかもしれませんよ?」
「いや・・・どうだろうな。毒があるかもしれないし」
「川魚ですよ~?毒がある川魚なんて滅多にいないでしょう」
「そうかもしれないが、美味しいとは思えないな」
「珍味かもしれません」
「食い意地はりすぎだろう」
「そんなことありませんよっ!ただ、美味しそうにみえたので」
「あんなまだら模様の魚がか?」
絶対美味しくないと思う。
目は落ち窪んでるし、ぬらぬらとしてるし。
「大きいですし、美味しいんじゃないですか?」
「大きかったら美味しいってわけでもないだろう」
「むー。そうですかね・・・」
じとーっと奇妙な川魚を見つめるレニー。
魚がビクッとした気がした。いや、気のせいじゃないかもしれない。
レニーの目は捕獲者の目だった。
「はぁ・・・とにかく、見た目的にも美味しそうだとは思えないし、万が一のこともある。やめとけ。
第一レニーじゃ捕まえられないだろう」
「あ、そうですね・・・私泳げないんだった」
「だろう?あきらめろ」
「あ、そうだ。ガイアさん」
「どうした?」
「レウスのことなんですけどね」
「レウス・・・ああ、ナルガの兄の」
「はい、そのレウスなんですけど・・・」
そんな何気ない会話は、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ばしゃーんっ!!!
という激しい水音にかきけされた。




