姉妹の好物
ジナ視点です。
「ジナさん、セロリとアスパラガス焼いたの食べますか?」
「はい!」
メアリーさんが皿を運んできてくれた。
私は姉と同じでセロリとアスパラガスが大好物だったりする。皆には理解してもらえないんだけど、あの苦いところが好き。ベーコンで巻いて焼くとより美味しいと思う。
「横、座らせていただいても?」
「勿論ですよ~!」
「ありがとう」
メアリーさんは、本当に綺麗な人だ。女の私ですら見惚れてしまう。そりゃあ、ガイアさんだって好きになるはずだよね。
仕草とか立ち振る舞いとか言葉遣い、全部がお嬢様って感じ。
今ウィンナーを口に運んでる、その動作とかも。
見た目だって、艶のある長い髪に、黄金色の瞳が綺麗。羨ましいなぁ・・・。
声も鈴みたいだし、見た目もいいし、富もあるし。
メアリーさんを悪く言う人なんて、誰も居ないんだろうなぁ。
「? どうしました?」
メアリーさんが小首を傾げてきいてきた。
年上にこんなことを思うのは失礼かもしれないけど、すごい可愛い。
「あ、なんでもないです」
貴方に見惚れてました、なんていえませんよ。
冷たい目でみられるかもしれないし・・・そんなところ想像もつかないんだけど。
「ジナ~、カルビ食べる?」
「食べる食べる~」
ナルガさんがカルビを山盛りにしてくれた。
流石に入れすぎ!お皿からこぼれそうだよ。
満腹になってきた頃、メアリーさんとガイアさんが目配せした。
アンマリーさんも頷いた。一体どうしたんだろう?
ガイアさんが立ち上がった。
「もう満腹って人、手、あげてくれるか?」
全員が手をあげた。
ナルガさんがよそいすぎたせいではないだろうか。
「あのですねぇ~、私達、ボートを手配したんですよ」
アンマリーさんが言った。
ボート。
幼い頃、乳母と一緒に乗ったことがある。
楽しくてはしゃいだのを思い出す。
「四艘あるのですけど、よかったら乗りません?」
「面白そうじゃねぇか!乗ろうぜ!」
「私ボートなんて初めてだよ~!」
ナルガさんやレニーさんは乗り気のよう。
私も乗りたいな。
「2人乗りですので、くじで決めましょうか」
アンマリーさんがどこからか割り箸くじをもってきた。
「同じ色の人とペアですよ?」
くじの結果、こうなった。
ガイアさんとレニーさんペア。
私とメアリーさんとブラックのペア。
アンマリーさんとシモーヌのペア。
ナルガさんとミランダのペア。
「ガイアぁ、メアリーちゃんという可愛い婚約者がありながら、レニーと一緒にボートに乗るなんてよぉ~。ラッキーボーイめ!」
ナルガさんがガイアさんに文句を言っている。ガイアさんは苦笑していた。
「楽しみですね~♪」
メアリーさんはにこやかだ。
「そうですね!」
私もすごく楽しみ。ブラックも尻尾をふっている。
この時の私は浮かれていた。
自分に起こる悲劇もしらないで。




