季節はずれのバーベキュー
冬にさしかかり、だいぶ冷え込んできているこの季節に。
何を思ったか、川辺でバーベキューをすることになった。
季節ガン無視じゃないか、川で泳ぐ季節じゃないぞと心の中で悪態をつく俺だったが、メアリーの頼みは断れないのだった。
「メアリーとアンマリーの2人が具材を切るっていうのが、不安でしかないんだが」
今現在、俺とナルガの男2人で川辺にて準備をしている真っ最中だ。
「やっぱりメアリーちゃんが心配かぁ~?可愛い婚約者だもんなぁ」
「そういう意味じゃなくて、メアリーが料理したことがないからだよ」
「照れてんなよ」
「照れてない」
「またまた~」
ナルガがニヤニヤしながらこっちをみてくる。
殴ってやろうか。
「そういえば、護衛としてフィドの部下が2人くるらしいぞ」
「は!?初耳だぜ、俺」
「俺も今朝アンマリーから聞いた」
あのいかつい傭兵団長の部下が2人、ジナの護衛についてくるらしいと俺が聞かされたのは、今朝の朝食時だった。グリー家のメイドの1人がアンマリーと親しく、それできいたらしい。
「2人共女性らしい。具材切るのも手伝ってくれるんじゃないか?」
「女か・・・筋肉ムッキムキの女子力皆無の軍人来たらどうするよ」
「あー。暑苦しい感じのな・・・意外にも美人来るかもよ?」
「だといいけどな。俺より筋肉ある女きたらどうしよう。腕相撲無敗記録が途絶える」
「そんな女性はいないだろ」
もし美人がくるとなると、俺のまわり美人だらけだな、マジで。
メアリーといい、レニーといい、ジナといい、アンマリーといい。
そんでもって美形の男はいないよな・・・ナルガを美形とは思わないし。
「炭よし、焚火よし、敷物よし。・・・女性陣を呼びに行くか」
「うぃ」
はたしてどんな人達なんだろうか。
小屋の女性陣を呼びに行くと、2人女性が加わっていた。
雪の様に白い肌の背の高いすらっとした人と、女性にしては大柄で勇ましい顔つきの武人だった。
「ガイア!お疲れ様♪」
俺をみたメアリーが微笑む。その目は潤んでいる。
俺がそんなに恋しかったのか?なんて思ったが、メアリーの手に握られていたのは玉ネギであった。おもわず手をみるが、怪我はしていないようである。
「メアリーちゃん、料理できんだ?」
ナルガがきくが、その答えにメアリーではなくレニーが答えた。
「メアリーさん、包丁の使い方手慣れてますよ!」
包丁・・・?メアリーが包丁を握る姿、初めて見たんだが。
「特に肉を捌くのが上手なんですよ」
肉ですか。
なんか怖いな。
「あ、紹介まだだよね?」
ジナがふっと顔をあげた。
新しく加わった女性の方をむく。
「黒髪の方がシモーヌちゃん、茶髪の方がミランダさんだよ」
なぜにちゃんとさん?・・・なんとなくわかるけども。
ちなみに肌が雪みたいに白い方がシモーヌ、大柄で勇ましい顔つきの方がミランダだ。
白い肌に肩までの黒髪がよく映えている。ミランダは茶髪のベリーショートだ。
「どうぞ、御見知り置きを」
「よろしく」
「もう知ってると思うけど、俺はガイア。こっちのでかくて武骨な方がナルガ」
「武骨って・・・ほめられてんのかそうなのかわかりづらいんだが?まあよろしく」
「では皆様。下準備はほぼ終わりましたので、バーベキューの場所へ参りましょうか」
「そうだな」
なんだか楽しくなりそうだ。
ナルガは腕相撲で負けたことがありません。
兄の方が腕相撲は強いので、兄には絶対に挑みません。




