もう一度
「これがポップコーン?」
赤や青の装色のカラフルな巨大なテント。アンマリーいわくサーカステントというらしいそのテントの側の屋台で、目的のポップコーンとやらを購入した。
香ばしいにおいがする。
アンマリーのおススメは塩味らしいんだけど、私が気に入ったのはキャラメルとシナモン、それに焼き玉蜀黍だ。
しかも値段を聞いて驚きだ。
私の普段食べているおやつのブリオッシュやミルフィーユ、マカロンなんかよりも遥かに安値。なのに味はそれらに匹敵する。
アンマリーが得意げなのはちょっとむかつくけど。
ふいに、ブラックが物欲しげにこっちをみているのに気付く。
・・・・これって犬にあげてもいいものなのかなぁ?
チョコレートやレーズンとかはだめらしいし・・・有害かな?
ブラックは嘶いた。上目遣いでこっちを見上げてくる。
そ・・・・、その顔は、反則でしょう・・・・(´д`;)
「い・・・・1コくらいなら大丈夫・・・かな?」
ブラックの目線には耐えれないのです。
私は悪くない、うん。
「ご主人、どうしてもサーカス観ませんかー?」
「だって人体切断するんでしょ!?」
「すごいじゃないですか!切断されても死なないんですよ!?」
「それでも怖いよ・・・」
まあ、自分が切断する分にはいいんだけどね・・・?
ジルなんか、切断どころか肉塊にしちゃったんだけどw
「えー・・・あれ?ご主人、あれって・・・」
アンマリーが私の背後を指差した。
「何?」
くるり、と振り向いた。
そこには、―――――――――――――――――――愛しい愛しい彼の姿。
その傍にいるのは。
「「!?」」
「行方不明になってたはずじゃ」
そう、私が殺したはずの。
ジル。
なぜ?
この手で確かに葬ったはず。肉塊になるまでナイフで滅多刺しにして、惨殺した。喉を引き裂いて、耳を削いで、手足を切り刻んだ。今でも、感触が残ってる。
死人が生き返るなんて、ありえない。
絶句している私をみて、アンマリーがにやりと笑った。
「どうしたんですご主人?嫉妬ですかぁ~?」
その言葉も、気にならない程に。
困惑する私をおいて、ガイアとジルは、サーカステントの中に入っていった。
・・・そうだ。蘇ったならまた、殺せばいいだけのこと。
またガイアをそそのかして、醜女が。1度殺したのにまた蘇るなんて、なんてしぶとい奴なの。
「アンマリー。サーカス、観にいってもいいよ」
「え、いいんですか!やっぱり気になるんですねww」
・・・彼奴を殺す前に、アンマリーを一発殴っておこう。
ありったけの力をこめて。