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病的依存デスガール  作者: レーゼ
異常な嫉妬
23/75

グリー家へ

もう2週間もたっていますが、あけましておめでとうございます。

レニー→ガイア視点です。

早朝、私とナルガはグリー家のジルのお父さん…グリー卿を訪問した。

前日いつあいているかと問うたところ今日ならばいいと返答されたわけだが、いてもたってもいられなくなり、そんな時刻に押し掛ける形となった。


「早朝にごめんなさい。あの、ジルのことで何か掴めました?」


革の椅子に腰かける中年男性はため息をついた。

彼が他でもない、グリー卿だ。


「残念だが、初日に見つかった肉片以外は何も」

「その肉片とやらがジルのもんだって言うんすか」

顔をしかめ、慣れない敬語を話すナルガを、グリー卿は軽く睨んだ。

「そうと言ったつもりはないのだがね」


彼にとってみれば自分より低身分の次男坊、それにお世辞にも品がいいとはいえないナルガは、娘にとって悪影響でしかないのだろう。無論、その従妹の私だって例外ではない。


「ジルを真面目に探す気があるんすか?彼奴はあんたの娘でしょう」

くってかかりそうなナルガを小突く。敬語が乱れてきている。

「ナルガってば・・・すみません、お気を悪くさせたでしょう?でも、ナルガも私も、ジルのことが心配なだけなんです。私達にとってジルは大切な友人ですから」

私の言葉に、グリー卿は目を細めた。


「娘の心配をしてくれるのは嬉しいことだ。だがね、ジルは幼少期から護衛術を習っていますし、男性に引けをとらない力も持っている。あの子のことだ、その辺の宿屋にでも隠れているさ。みつかった肉片も、賊にでも遭遇した哀れな女人のものだろう」

「ジルは実際に危険な目にはあったことがない。殺意をむけられて動けなくなって、ってこともありうるんじゃないすか!ジルは強いかもしれないすけど、女なんだから」


グリー卿が口を開いた時、ドアがノックされた。


「すみません」


ジルそっくりな声が、ドアの向こうから聞こえてきた。

あの声は・・・。


「あの、先程お父様を訪ねてこられた方がいて」

グリー卿は頬杖をつきながら返答する。

「今は取り込み中だから、引き取ってもらいなさい」

「…本当にいいんですか?」


彼の眉が動いた。

「引き取ってもらえと言っただろう」

「それがウェネフィー領の領主でもですか?昨日使いの方が来たそうですし、大変な不敬にあたると思いますけど」


その声に、彼の目が見開かれた。

あわてて、訂正する。


「待ってもらいなさい。その間、退屈せぬように話し相手になってさしあげろ」

「…ガイアが」


ナルガの目もまた、見開かれた。

つりあがっていた眉は元の高さに下がる。


昨日までひきこもっていたガイアが、しかもグリー家に来訪とは予想だにしないことだ。

人間の肉片なんてものを見たら、私だって閉じこもってしまうだろう。

肉片に大量の血なんて見てしまえば、トラウマになる。

しかもそれが仲のいい友達のものかもしれないときたら。

想像しただけで、気持ちが悪くなってくる。


そういう点では私も少し驚いた。

やっぱり、ガイアさんは強い人だ。














グリー家の門から少し離れたところで下車して歩き出す。

30手前くらいの門番は俺を見ると、

「ガイア様、お久しぶりです」

と敬礼してきた。

・・・正直なところ、この門番に全く見覚えはないんだが、どうやら一度(もしかしたらそれ以上)あったらしい(恐らくは会話もしたっぽい)。この前ここに来た時だったか?・・・・あまり記憶力はよくないんだよなぁ、俺。


「えーと・・・・・・」

「旦那様に何かご用で?それともフィドさんですか?」

「グリー卿に話があってね。昨日、使いをやってはおいたんだけど」

「そうでしたか。先程も客人が来られましたので、旦那様は応接室の方におられるかと。とりあえず、玄関の方へどうぞ」


門から玄関までは徒歩2分だったか…。

貴族や豪族の家はたいていが門から玄関までが離れている。庭が広いのだ。


玄関前に、人影がみえた。

翡翠色の髪を肩までのばしてあり、やや低めの背丈…。



「…ジル…?」



それは、行方不明になっていたはずのジルだった。


え!?

いつ、発見されたんだ!?じゃあ、じゃああれは!?あの小指はやっぱり見知らぬ他人のもの!?


いや。そんなことはもう、どうでもいいじゃないか!!

ジルは、無事だったんだ!


困惑と期待が同時にわきあがる。

しかし、ジルのもとにかけより、声をかけようとして、気付いた。





―――――――――――――――――――――――あれはジルじゃない。


「…え!?ガイアさん!?」


俺に気付いたジル瓜二つの彼女は、ジル瓜二つの声をあげる。

でも、呼称が違った。ジルは俺のことをガイアと呼び捨てにする。


決定的なのは、彼女の髪に赤い光を放つ、ルビーの髪飾りがつけられていたことだった。

彼女は、


「…ジナ」


ジルの妹、ジナだ。


ここでようやくジナが登場です。

占いツクールの方では一番人気だったキャラクターです。リアル読者の友人のオシキャラだったりします。ジナの活躍にこうご期待。

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