処刑の時間
残酷描写入ります。苦手な方はとばしていただいても大丈夫です。
ガイアがブラックを抱きかかえてその場を後にした。なんだか顔が赤い気がしたけれど、気のせいだ。
従者が馬車に乗って戻ってくるのを確認。
なるほど、さっき去っていったのはそのせいだったんだ。
ガイアの姿はもうみえない。
悲鳴も微かに聞こえるか聞こえないかの距離があるはずだ。
『罪人』の前に、躍り出る。
「え、メアリーさ」
「喋らないで・・・・・・・耳障り」
目を見開くジルの言葉にかぶせる。
「も、もしかして、見てた・・・?」
「喋るなってば」
真っ青になったその顔も、その甲高い声も、ガイアに触れた唇も、何もかもが気持ち悪い。
私は黒い笑みを浮かべると、一歩踏み出す。
「人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られて死んじまえって言葉、知ってる?
でもお前は馬に蹴られるより、もっと残酷な方法で殺してあげる。
だって反省してなさそうなんだもん。せっかく忠告してやったのに」
「こ、殺す⁉」
母の形見でもある銀のナイフ。護身用にいつも身に着けている。
私がナイフを取り出したのに気付いたらしい従者が、慌てて腰の剣を抜き立ちはだかる。ナイト気取りも程々にしてほしい。だって、悪いのはジル、あの女で私こそ被害者じゃない?
大罪をおかしたあの女。
神があの女を裁かないのなら、私が裁く。
命よりも大事な、大事な、大事な大事な私だけのガイアに、
厚かましくも恋をして。奪おうと悪足掻きして、さぁ。
従者が剣を振り下ろす。
なぜか私には、それがとても遅くみえた。
ああ、鈍間な剣。みたところ、実戦経験がないに乏しいみたい。
躊躇いがみえるよ?
懐に入り、ナイフを滑らせ脇を切り裂く。
「ぐぁ」
「はい、おしまいです」
私ってこんなにすばやかったっけ?
まぁ、いいや。そんなことはどうでもいいよね。
剣を落としちゃうなんて、馬鹿としかいいようがない。
私は躊躇わずに、従者の心臓部にナイフを突き立てた。
ぐさり、と。
倒れこんできた従者の胸に触れると、ぬちゃっとしてて生あたたかかった。
「いやあぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁ‼」
「じゃあ、お前のばん」
耳をつんざくような、うるさい悲鳴。否、絶叫。
腰を抜かしたジルに素早く馬乗りになると、指についた血をぺろりとなめる。鉄の味がした。
そうだね、最初はどこがいいかな?
首筋にぴたりとナイフの刃をあてる。たらり、とさっき死んだ馬鹿な騎士の血がジルの肌についた。
身をすくませ、涙を流すジル。
「いきなり首を刺しちゃうわけないでしょ?あはは」
ナイフをひくと、つー、と血がにじむ。
そのまま右腕の付け根に、ぶすり。
ナイフをつきさし、ジルの絶叫を無視してそのまま、ナイフを手首までおろす。ざくっ・・・・・・
「あああぁあぁぁあぁああああぁぁああぁあああああぁああ!!!!!!」
うん、ウルサイ。
甲高い声を黙らせたくて、声帯に手をかけた。そして、腕から引き抜いたナイフをゆっくりさしこんだ。
ぶしゅっと音がして、喉から血があふれ出す。モロに血をあびて、口に鉄の味が広がった。
ルビーのピアスのついた右耳のみみたぶにナイフをあてて、ゆっくりゆぅっくりとけずる。それから両耳をそぎ、5本の指を一本ずつ切り落とす。
ざくり。ぼとっ。ざくっ。ぐじゅり。ぼとり。ぼき。ぐじょ。
「・・・・ぁ、」
「気絶なんかしないでよ?」
使い物にならなくなった声帯のおかげで、叫び声もあげられないみたいだ。つい、笑みがこぼれる。
「あはははははははっあははっ!!人間ってこんなもん?脆い、結構脆いよ!?ねぇ、聞いてる?あ、耳そいじゃったからわかんないか!!あはははははは!!!!」
笑みがとまらない。腹部を裂いて赤黒く新鮮な内臓を引きずり出し、めっためたにする。刺して刺して刺しまくる。めった刺し。
血しぶきがかかって顔が赤くなっていくけど気にしない。
辺りは鮮血で紅色に染まり、その血だまりの真ん中には、『人だったもの』が存在していた。
原型をとどめず肉塊と化したそれはもう、どこの誰かも、性別も年齢層さえ識別できない。
思い出したらまた笑えてきた。あの絶望した顔。
これ、どうしようかな?ガイアがみたら驚いてしまう。
庭にでも埋めておこっと。
・