主人公とは鈍感なものである
投稿しわすれていました・・・(汗
申し訳ないですm(__)m
「今日は楽しかった。あ、昨日と今日は、か」
「どっちでもいいんじゃない?」
ジルがくすりと笑う。
夕暮れになって、ナルガとレニーは帰っていった。
ジルも従者がむかえにきたのだが、1人だけだった。それもナルガと違って小柄な青年だったので、ジルを馬車まで送り届けることにしたのだ。
「・・・メアリーさんも楽しんでくれてたよね?」
「ああ、楽しんでたよ」
ジルやナルガやレニーのことを、メアリーに認めてもらえてほっとしている。メアリーはもしかしたら、彼らのせいで俺の帰りが遅くなっていることに腹をたててるんじゃないかって思ったから。
自意識過剰かもしれないが、メアリーは結構独占欲が強い気がするんだ。女性の使用人を雇う時も、『この中で一番恋愛感情を抱きそうにない女は?』と質問してくるし、雇った女性もあまり俺とあうことのないようにしているらしい(これはアンマリーから聞いたことだ)。
俺の部屋を掃除している使用人は、同性愛者の女性だったりする。
「お嬢様、馬車をご用意しておりますが」
俺達から数歩離れてついてきていた従者の青年(俺達と同年代だと思う)が、ジルに話しかけた。
ここから少し離れた場所に馬車をとめているらしい。
「ありがと、じゃあここまで持ってきて。ガイアと2人で話したいし」
「承知しました」
従者は胸に手をあてて礼をすると、やや早歩きで去っていった。
「それにしても・・・、メアリーさん綺麗だったなぁ~」
ジルは俯きながらそう言ったので、その表情は読み取れなかった。
「同じ『お嬢サマ』でも、あっちのが断然男受けするんだろーね」
「どの口がそれ言うんだよ。自分だって求婚されまくってるくせに」
ジルは奔放でやや自由すぎるところがあるが、美人だし非常識ってわけじゃ・・・・非常識か?そういや王子の成人式だったか何かの時に貴族院のズグル男爵に迫られて、『このエロハゲ親父!』と叫んでいたっけな・・・・大衆の前で。
「・・・好きな人に告られなかったら意味ないじゃない」
遠い目になっていた俺の意識が戻る。
ジルらしくなく真剣な声だった。
「私ね、好きな人がいんの」
「そうなのか?」
「その人はね、カッコ良くて動物が好きで、見かけはちょっと怖いけど、本当は優しいの」
「う、うん」
「鈍感なとこがキズなんだけどね・・・誰だと思う?」
ジルの顔が赤い。
はて、カッコ良くて動物が好きで見かけがちょっと怖いけど優しくて鈍感な人?
俺が知っててジルと親交のある人で?そんな人いたっけか。
「・・・・・・ナルガ?」
犬を可愛がってたし、がたいがよくて怖くみえるが優しいやつだ。鈍感かどうかは知らないが。
ジルがぽかーんとしている。
あ、違うっぽい。じゃあ誰だ?
「こ・・・・この、鈍感っ!」
顔を真っ赤にして怒鳴られた。え、なぜに。
「私が好きなのは、あんたよっ!」
はい?
ぽかんとしている俺の胸倉をつかんだジルは・・・・・・。
俺に、キスをした。