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爽やかな風
爽やかな風が透き通ってゆく9月の頃。
私はまだなにも知らなかった。
先輩の存在も、優しさも、笑うことすらも。
夏休みがあけ、みんなが笑顔で手を振り合う
・・・バカらしい。
私は、高校1年の高橋 愛佳。表では可愛くて、みんなの妹的存在で、いつもニコニコしている、、、いわゆる、モテモテな女子よ。
私からアピールしなくても男は寄ってくる。ま、言っちゃえば、モテ体質なの。
そう、それはあくまでも、
表の顔
裏では、人間なんて信じないし、モテモテな性格でもない、笑わないし、妹的な存在でもない。だからもちろん、、、モテ体質じゃないの。
でも、、、でも、先輩に出会って、初めて人を信じてみてもいいって、初めて心の底から笑ってみてもいいって、そう、思えたんだ。
あの時、先輩に出会えなかったら、一生、人を信じないで、一生、心の底から笑わないで過ごすことになってたんだ。
ありがとう。先輩。