緋色の大鬼
「こんな感じかしら。ずいぶんステータスが上がったわね」
「早く帰って幽々子様のお食事を作らないと…」
「でもどうやって帰るのかしら。来る方法もよくわかってないのに」
「そういうのは聞き込みをしてみればいいんだよ!この辺を探索しよう!」
「そうね、そうしま…」
「ウォオオオァァァアア!!」
「「⁉︎」」
遠くで緋色の獣が叫ぶ
「あっちの方から聞こえる!見に行こう!」
「大丈夫かしら。とても嫌な予感がするわ…」
「それでも誰かがいたら大変だよ!それにいきなり襲われるかも知れないから見に行かなきゃ!」
「わかったわ。でもこんな世界だもの。危なくなったらすぐ逃げる。いいわね?」
「うん。剣も置いてきちゃったし、戦う方法がないもん」
「それならいいわ。さあ行くわよ!」
ダダダダダッ
(体が軽い…それに全力で走っても全く疲れない。ステータスが上がった影響かしら)
「居た!大きくて赤いアイツ!」
「近くに人もいるみたい!戦っているみたいだし一度様子を見ましょうか」
「なんで⁉︎助けられるかも知れないよ!」
「私たちはまだレベル1。今鑑定で見たけどあの人たちはレベル12。そんなところに入って行っても邪魔になるだけよ」
「そこまで言うならまだ様子を見るよ」
(いざとなったら妖夢を連れて逃げないとね…この子は正義感が強いから)
(男の人が2人、女の人が1人居る。レベルは11〜13くらい。武器は鉈や鉄パイプ、バールなんかを持っているわね。対してあの赤い方は…名前しか見えない?)
「あっちのビルに近い方の人はかなり怪我をしているわね。アイツにやられたのか…それとも他のモンスターにやられてここに来てアイツに出会ったのかしら」
緋色の大鬼 ハイ•オーガ LV??
????????
スキル:??
「あの赤いのは『緋色の大鬼』っていう名前で種族はハイ•オーガみたいね。ステータスやスキルは見えないわ」
「来る!なにかヤバいのが!」
「伏せて!」
「オオオォォォァァアアア!」
その瞬間アイツの、『緋色の大鬼』の咆哮が響き渡る
一瞬。一秒にも満たない程度の時間。その間に全てが「終わって」いた。
「も、もう大丈夫か…!」
「どうしたのよ。こ、これは…」
咆哮によって物理的な破壊が生じていた。3人は体中から血を吹き出して倒れていた。
「逃げるよ!鈴仙!」
「急ぐわよ!」
しかし声を出したことにより「緋色の大鬼」に居場所がバレる。少女たちは油断していたかも知れない。スキルやステータスなど不思議な力を手に入れて舞い上がっていたかも知れない。
「ガァ?」
「こっちを向いた!逃げるよ!」
それまで隠れていた太陽の光が目に刺さる
「⁉︎なにこの光!アイツの攻撃⁉︎」
「落ち着いて。ただの太陽だから」
そんな私たちを哀れに思ったのか鼻で笑って壊れかけのビルの中へ入って行った。
ヤバい。あれはヤバい。
逃げた。後ろを振り向く余裕もなくみっともなく逃げた。
「ハァッ…ハァッ…」
「なんなのよ…あれ…」
「鈴仙…逃げよう。この町から…」
「…逃げてどうするの?あんな奴がいるのはこの町だけじゃないかも知れない。もしかしたらもっと強い奴がいるかも知れない」
「じゃあどうするの?このまま殺されるの?」
「私は殺されない。妖夢と一緒に強くなってアイツを…『緋色の大鬼』を倒す」
「うん。強くなって…生きて私たちの家に帰ろう」