第17話 魔石
「そんなことしてていいのか? 父親に怒られないのかよ」
「大丈夫だよ。かなり力入れたから、転移しない限り帰ってこないはずだよ?」
「まさかと思うが、世界一周してないよな?」
「してるんじゃない?」
「お前なぁ…」
「えへへっ」
照れるメルもかわいいのだが、頬辺りが砂で汚れているのが気になって仕方ない。
ポケットからハンカチを取りだしメルの頬に触れ綺麗に拭き取った。
「あれ、何かついてた?」
「砂がちょっとな、多分さっきの時にでも付いたんだろ」
「そっかぁ、もう一回殴らないと…」
おいおい、もう一回殴ったら親父さん死ぬんじゃねぇの…
「さすがにだめだろ…」
「え〜。いつもこうしてるのに、」
「やめてくれ、マジで」
「ルースが言うならやめる、その代わり…」
いつの間にか戻ってきたメルの父、魔王を庭で怒鳴りつけているのを俺は部屋で見ていた。
さすが魔王。生きて帰ってきた…。しかも腹にはメルの渾身の右ストレートのアザが残っているが、それ以外は何も怪我をおっていない。
「ふふふ、すみませんね。うちの人が」
「いえいえ、とんでもないです。フェルルさん」
「あら、分かってたの? さすがてことかしら」
「ええ、お陰様で記憶も戻りましたから」
「記憶? なんの事かしら、それに貴方とは初対面ですよ? ルース君」
あれ? 前にあったフェルルとは全く雰囲気が違う。しかし、このオーラは紛れもなくフェルルなのだが…。
「そうそう、これ以前忘れていったものでしょ? メルが大切そうに持ってましたので、お返ししますわ」
フェルルが手渡してきたのは、何かの宝石だった。見た目は水晶に近いのだが、魔石だ。
しかし、何故か割れ目があるどういうことだ?
「あ、いえ。すみません、これ俺のじゃ…というか俺がここに来たことなんてないはずじゃ…」
「いいえ、一度メルが貴方を背負ってここまで運び込んできましたわ。多分その時に落としたものでしょ」
「すみません。全く身に覚えが…」
すると、さっき庭で父親に説教していたメルが部屋に入ってきた。
目の前にいる母親を見た途端彼女の表情が変わった。
「なんのつもり? お母さんに化けても無駄よ」
「あら、やはり。姉さんすごいです」
口調が突然変わると、みるみると姿が変わり、メルと全く同じ姿をした一人の少女に成り代わっていた。
「お母さんにでも何か頼まれたのでしょ? 」
「そうです。兄さんの身体検査と姉さんの身体検査、それとこちらを渡すようにと」
今身体検査て言ったよな。てか兄さんて誰だよ…
妹が何か変な空間から出してきたのは、宝箱のような箱だった。その箱には、御札が何枚も貼られておりいかにも怪しいものだった。
「身体検査は受けるとして、この箱多分だけど、ルースの持ち物よね」
「はい。姉さんが解呪して兄さんに渡した方がよろしいかと、ただ問題が…」
「問題?…………あーそれね。ルースこれ開けて」
メルが笑顔で俺に御札が何枚も貼られている箱を俺に渡してきた。
得体の知れないのに…
一瞬嫌な顔をしたせいかメルの瞳にキラキラと星が見えてきたのだが、これは幻覚か? てか、どんだけ開けて欲しいんだよ。
「分かったから、そんなに見つめないでくれ」
「やーだ。ルースのことはいつ見ても飽きないから」
「はいはい。じゃ、この札取っていいのか?」
「そのまま開けていいよ?」
「ういうい」
メルが箱に触れると、さっきまでの怪しいオーラがなくなり、すんなり開けることが出来た。
ん? なにこれ…。これは魔石か?
入っていたのはさっきフェルルの姿をした妹に渡された魔石と全くもって一緒のサイズで、割れ目があるものだ。
「あのさ、メルこの魔石持っててくれ」
「いいよ。これでいいの?」
「ああ、あとはこの箱にある魔石をそっとくっつければ…」
カチャ
ん? 何か鍵が掛かったような音がすると、くっ付いた魔石が急に光り始めたんだが…
『プログラムの復帰を確認。マスターの生体認証及び魔力の検出を確認。プログラム実行します』
機械ぽい声ともに意味わからんことを言い出す魔石が、いつの間にか、黒い剣に変わっていた。
( ˇωˇ )




