彼女は砂の上で嗤う
あらすじを読んでから読んでいただきたいです。
よろしくお願いします。
大好きな大好きな恋人から
今日の夕方に会えないかと急なお誘いが入った。
大好きな恋人のために、
貴方の瞳の色をした薄いブルーのドレス
貴方は清楚な子が好きと言っていたから髪は下ろして、ドレスと合わせた髪飾りをつけて。
急なお誘いだったから、あまりお洒落ができないのは凄く残念だけど貴方に早く会いたいから我慢するの。
馬車に乗って貴方の家に着くまでが酷くもどかしい。
家の前でおろしてもらって、いつもは笑顔で出迎えてくれる執事やメイド達が何故かとても困った顔でいるの。
「私の愛しいあの人はどこ?」
「…」
「聞いてらして?私の愛しい人はどちらに?」
「坊ちゃんは私室にいらっしゃるかと。ですが、少しお待ちを!私共が呼んでまいります。」
「いいえ!彼が私を呼んだのよ?愛しいあの人が呼んだの!待ってなどいられないのよ。迎えにいくわ。」
いつもはすんなり入れてくれるのに何故か邪魔をしてくる彼等を横目に彼の部屋に少しはしたないけど、走っていくの。
きっと愛しい彼ならしょうがない人だと許してくれるもの。
バンッ!!!
「愛しい貴方!私参りましたわ」
「わっ⁈」
「キャァー⁈」
「…え?」
何故か愛しい彼は布団の上で、さらにその下にははだけた格好をした親友がいる。
一瞬昨日散々笑顔で惚気を聞いてくれた親友に昨日ぶりと声をかけそうになってしまった。
私は見えているものが何も信じられなく、
動くことすらできずにいた。処理が追いつかなくなったの。
「何故君がここにいる?」
「愛しい貴方が、私に会いたいと連絡をくれたのでしょう?」
彼の慌て具合から私は察してしまった。
ぁあ私は愛している貴方と親友、一度に失うのだなと。
その証拠に親友は笑っていた。こちらをみて嫌らしい笑みを浮かべている。
そして彼も私を見て覚悟の決まった顔をしている。
ぁあ嫌だ。今の決意が決まった顔なんて嫌だ。
「すまない。俺が愛したのは君ではなく彼女だ。」
ぁあ彼は私を愛していないのだ。
「私への愛は無くなったのですね。」
「私との約束も無くなったのですね。」
私は笑う。
彼の指先から砂になっていく。
叫ぶ親友、慌てる幼なじみの彼。
そう。
その瞬間から私の愛しい人はただの幼なじみになった。
そしてその幼なじみはただの砂になった。
それをみて彼女は嗤う。
私はただ貴方に愛されていたかった。
愛が壊れた彼女は壊れた彼の上で嗤う。