異世界転生と俺とドラゴン
「デカッ」
目が覚めるとそこは森の中で、目の前には真っ黒なドラゴンがいた。俺は、瞬時にここが異世界であることを理解した。
いつものように仕事を終え、帰宅した俺は、日々の日課であるネトゲにログインしようと、パソコンを起動させた。
「ん、メール?」
画面には、「貴方を異世界へ転生させます」という文章と[YES・NO]の選択肢だけだった。
「ゲームの広告か?」
そう思った俺は、ブラウザを閉じようとしたが、いっこうに閉じれない。新手のイタズラか、とも思ったが、ゲーム好きな俺は、目の前の「異世界」という言葉に、内心ワクワクしていた。
俺は、好奇心のままに[YES]のボタンを押した。
そして、現在に至る
「異世界転生ということは、向こうの俺は死んだことになってるんだなー」
呑気にこんなことを言っているが、俺の心臓はバックバクだ。
何せ、ゲームによっては伝説の存在とされているドラゴンが、目の前にいるのだから。
ドラゴンの方に再び視線を向け、唖然としていると、
『おい』
え……
『お主、大丈夫か?』
しゃ、しゃべったあぁぁぁぁぁあああ!
「お、お前喋れるのか?」
『ん?お主、竜人だろう?』
……俺がなんだって?
「ちょっと待ってて」
俺はドラゴンにそう言うと、近くにあった池をのぞき込んだ。
綺麗な銀髪に翡翠色の目、明らかに転生する前よりイケメンだ。
そして何より驚いたのは、首筋にある鱗のようなもの、というか鱗だな。
俺はドラゴンのもとに戻ると、自分が違う世界から来たことを話し、竜人について教えてもらった。
まとめると、
・ドラゴンと会話できる唯一の種族であること
・他の種族より魔力が高いこと
・レベルが上がるにつれて、竜化ができるようになること
・竜化はドラゴンのような力が使え、見た目も近づくということ
・今では竜人もほぼ居ないらしく、ドラゴンも何百年かぶりに見たらしい
『とにかく、一度自分のステータスを見たまえ』
そうか、ステータスがあるんだな
「え、ええっと……メ、メニュー」
そう言うと、俺の前に青い画面が現れた。
そこの[ステータス]と書かれた部分を押してみると、
【名前】 ???
【種族】竜人
【年齢】26歳
【職業】 ???
【レベル】1
【体力】500
【魔力】1200
【攻撃力】300
【防御力】105
【スピード】85
【スキル】竜化(レベル1) 属性魔法 短剣術 鑑定
なかなか良いステータスなんじゃないか?
しかし、俺が気になったのは…
「なあ、名前がないんだが」
『向こうの世界でお主は一度死んでおる、だから、新しくこちらの世界での名前がいるのだろう』
そいういことか、そうだなぁ……
俺は頭の中で自分の新しい名前を思い浮かべた、すると、名前の欄の???が「ジェイド」という文字に変わっていた。
この目の色は印象的だしな、我ながらいい名前だと思う。
一通り確認が済んだあと、俺はドラゴンになぜここにいるのか、何で俺に話しかけてきたのかを尋ねた。
『ここは我らドラゴンが棲んでいる森だ、空から何か落ちてきたと思えば久々にみる竜人、お前だったのだ』
空から降ってきたんだ…俺……
『我はここでの生活に飽きてきていてな、お前はいずれどこか旅にでもでるだろう?』
今すぐではないけど、そのつもりだ
『それに我もついて行こうと思ってな』
……はい?
「いや、それは…」
『お主はまだこちらに来たばかり、我がいたほうが心強いだろう?我は強いぞ、そんな簡単には死なん』
言われてみればそうだ、まだレベルも1だし、アイテムもない。襲われでもしたら大変だ。
よくよく考えてみれば、ドラゴンと旅ができるなんて願ってもいなかったことじゃないか。
「そうだな、ついて来てもらってもいいか?」
『もちろんだ』
『そうだ、お主、我の額に手を当ててみろ』
「ん、こうか?」
俺は、ドラゴンの額に右手をのせた。
すると、キーンという耳鳴りとともに、まばゆい光が発せられた。
気がつくと、俺の人差し指には指輪がついていた。
少し古くさいデザインだがとても綺麗だ。
『それは契約の証だ』
「契約?それって従魔契約みたいなものか?」
『従魔ではないが、まぁ、そんなものだ』
『その指輪があれば、ある程度離れたところでも、お互いの声が聞こえる。その他にも色々あるが、それはおいおい話そう。』
「へぇ、スゴイものなんだな。ありがとう。」
俺は、しばらくその指輪を眺めていた。
『さて、契約も終わったことだ、お主、我に名前をつけてくれ』
「え?俺がか?」
『お主しかおらんだろ』
名前か、ドラゴン相手にふざけた名前はつけられないしな…
「んー、ノアなんてどうだ?」
『うむ、気に入った』
よかった、文句言われたらどうしようかと…
『お主、これからどうするつもりだ?』
まだこの世界にも慣れてないし、どういったものがあるのか確認したい。
「この森を見て回ってもいいか?」
『よし、それなら我が案内しよう』
俺は、ノアに尻尾でひょいと持ち上げられ、背中に乗せられた。
「え、えええぇぇえ!」
こうしてノアとの生活が始まった
皆様はじめまして、立花那由多です。
ちゃんと設定を考えた作品としては、これが初めてになります。
やっぱり、文章を考えるのは難しいですね。
これからも皆様に楽しんでいただけるような作品を作っていきたいと思います。
これからも、どうぞよろしくお願いします。