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1分程度で読める、掌編小説集です。「こちら」から、他の掌編小説を読みにいけます。

どうしても渡したい

作者: 行世長旅

今日は男の人気が露になる日。などと言われているが、俺には関係無い。


新作ケーキを開発するために、最近は毎日チョコを口にしている。


従業員の女の子達も同様なので、さすがに食べ過ぎて飽きたのだろう。

今年はバレンタインのやりとり自体が自然消滅していた。


仕事が終わり、1人の女の子に家に誘われた。


夕飯にカレーを食べ、雑談をし、帰り際に玄関まで見送られる。


先輩、気付きましたか?


女の子が俺に、何かを求めて質問してきた。


何のことだ?


何について訊かれているのかすら分からない。


もう、やっぱり気付いてなかったんですね。でも、分からないように工夫した甲斐があったとも言えます。ちゃんと渡せて良かったです。


女の子の言葉には主語が無い。

何について言っているんだ? 渡せた……? 分からないように工夫した……?


…………あぁ、なるほど。


そこまで考えて俺は理解した。

なので、女の子が求めているであろうセリフを言う。


お返しは期待してくれてもいいぞ。


分かりました!


明るい笑顔で返事をされた。

どうやら当たりだったらしい。


俺は自室に戻り、先ほどの食事を思い返した。


そのままでは食べ飽きているからと、カレーの隠し味にチョコを入れたのだろう。


女の子の心遣いと強かさに感服し、カレンダーの3月14日に印を付けた。

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