表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
99/106

99 撤退1

「おい、気付いているか?」

ウェンツがフェルに話しかける。

「はい。囲まれてます・・・ね。」



・・・・


湖畔へ向かう途中の森の中で、フェル達は、一台の壊れた荷車を見つけていた。

荷車の上には、木箱の中に乾いた黒い海草らしきものや鰐の骨と見られるものが散乱している。

人間の骨は見当たらないから、おそらくはハンターが何者かに襲われて逃げた後であろう。


「流石に、これは使い物にはならんか・・」

「まぁ、でも使えるものはあるかもしれないですし、これ・・多分黒昆布じゃないですかね。

このまま置いておいても邪魔ですし、とりあえず、持って帰りましょう。」

そういうと、フェルは荷車ごと転送をした。

「まぁ・・・いまさらだが、馬鹿でかい収納だな・・・・。」

ウェンツが半ばあきれた顔をして笑っていた矢先であった。



「あっちに4・・・いや少なくとも5人はいるか・・。でそっちにも同じぐらい・・。で、後にも4人・・・。」

「リザードマンですね・・・。しかし数が多い。」

「ああ。奴らは群れで行動するとはいえ、せいぜい4~5人単位だ。

少なくとも、それが3セットはいやがる。ちょっとヤバいな。」


「これは・・・、不利だな。いいか走って逃げるぞ」

一種の判断が命取りになるウェンツは、すばやく撤退を判断する。


湿地帯の森では、足場が悪いうえ、剣を振り回しにくいし、フェルとクリスの弓なども使いにくい。

丘陵まででれば、足場もよくなるし、こちらが高台を確保することができる。

「念のため祝福<ブレス>は温存。先頭は、フェルとクリス。殿は俺とギルが受け持つ。」

ウェンツの指示に、他のメンバーは頷くと、一気に方向転換をしてもと来た道を駆け出した。


あまりにも、急に全員が走り出したので、リザードマンも対応ができなかったのか、なにやら後方でギャアギャアと声を立てながら、リザードマンの群れが現れ追いかけ始める。

後から、矢を射掛ける者もいたが、全く届かずに逆に追いかけだした味方に刺さったようで、抗議とも思える大きな叫び声が聞こえた。


リザードマンは、俊敏性はあるが余り持久力のある方ではないため、ある程度引き離せば、フェル達なら逃げれるだろう。

しかし、フェル達の荷物がいかに軽いとはいえ、装備を持ったまま走るのはキツイ。


「えい。」

掛け声だけで、時折クリスが後方に杖を振る。

先ほどの痺れの魔法だ。

詠唱をせずに掛け声だけなので、弱弱しい殺傷能力の低い術であるが、リザードマンにもなかなかどうして良く効いていた。

急な感覚の変化に対応できず、足を挫いたり転倒するものが多く発生していた。


リザードマン同士は、あまり助けるという風習がないようだが、転倒した者がいると追いかけるのには邪魔になっていた。

フェルは、ティルクに命じてリザードマンの進路の途中に落とし穴を掘り、土でバリケードを残していく。こちらも、殺傷力はなくとも追いかけるスピードを落とすことには成功していた。

突貫では、たいした穴は作れないが、それでも迂回をしなければならない。

時間稼ぎには最適である。


丘陵に差し掛かったときに追いかけてきていたリザードマンはおよそ8人にまで減っていた。

逃げることで半減はしているが、それでもフェル達よりも人数が多かった。

そして、、リザードマンのうち一番奥にいる1体については他のリザードマンよりも二周りほど大きかった。


「あれは・・・リザードマンの族長か何かか?」

「ボスといったところね・・・。」


そういわれた大型のリザードマンは、グレートソードという大型の剣を持ち、大きく吼えた。

まるで龍のごとくの太い叫びであった。その声を聞いた後、他のリザードマンも吼えるが、こちらは濁声で、さして威厳があるわけではない。。

ボスと見られるリザードマンは、鱗も若干緑色が濃く艶があり、筋肉量も多い。

他のリザードマンが細身なのに対し、赤毛熊のごとく剣を振り回しながら力強く前進をしだした。


「これでもちょっと多いが・・・。しょうがない後退しつつ戦うぞ。」

「わかった。」


フェルはすばやく弓に矢をつがえると、矢を3本も連続して放った。

最近できるようになった早撃ちである。

威力は当然落ちるが、牽制効果は高い。


実際に3本のうち2本はリザードマンに命中している。

致命傷には程遠いが、相手を激高させることには成功しており、1匹はフェルに飛びかかろうとしたところを至近距離で射抜かれて絶命した。


「腕を上げたんじゃないか。」

ギルは、横目でそれを見ながらリザードマンの相手をする。

クリスがすかさず痺れの魔法を当てると、それを逃さずに見事に一匹をたたききった。

「これで6対6。数は一緒だぜ」


「お前さんの相手は俺だよ!!」

そういうと、ウェンツは、ボスと思わしきリザードマンに剣をたたきつける。

しかし、鱗の上を滑っただけで、その攻撃は突き刺さらない。

一方で、お返しとばかりのグレートソードの一撃は、盾で受止めたものの、かなりの衝撃であった。

おそらく、以前の亀盾であれば、一撃で使い物にならなくなっていたかもしれない。


「やるねぇ・・・。」


人数上は同じでも、フェルとクリス、そしてカティアが後衛にまわっているため、ギルやニースは他対1での対応を余儀なくされる。

慣れてはいるが、だからといって安全なわけではない。

だが、後衛のサポートがあるからこそ、このパーティーは強い。

そして、その瞬間にカティアの祝福<ブレス>の魔法がかかった。


読んでいただき、ありがとうございます。

評価&ブックマーク、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ