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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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90 パーティー

ガティコの村の村長の家の前には、広場がある。

特に何があるというわけではないのだが、子供たちの安全な遊び場のような形になっている。

今日は、朝から何人かの男性や女性が朝からテーブルを並べたり炭をおこしたりの準備であわただしくなっている。

村長は老齢なので、声をかけられた村の若い者と、特に孤児院出身の農家などが手伝ってくれている。

もちろん中心は、暁のカルテットのメンバーだ。


ニースはもちろん、子供の頃から家で料理を手伝っていたクリス、そして最近ニースを手伝っていたフェルは、主戦力だ。

肉屋のサムが大量の肉を持ってくる。

通常売られることのあまりない部位まで綺麗に皮がはぎとられており、言われなければとてもオークの肉には見えず、上等の猪肉とおまわれるだろう。

まぁ、実際、肉質には大差がないと言われているが、見た目の問題か猪肉とオーク肉ではやはり猪肉のほうがグラム単価は高いのだ。


「この辺は、そのまま食べるには、ちょっとなんだが野菜と一緒に煮てスープのダシにするといい。

あと、この辺は、堅いからスープの底に沈めといてスープにいれてくれ」

骨周りや腱のあたりの肉まであますことなく料理に使うようだ。

そして、とてつもない量の肉塊を村長の家に運び込む


「とりあえず、絶対足りるとは思うが2頭分まるっと持ってきた。

ここじゃぁ収穫感謝祭でも肉が主役になるなんて贅沢はないからな。

皆がどれだけ食うかわからん。」

「とりあえず、焼けばいいのかしら。」

「上等な肉の扱いは、基本俺と食堂のグラコに任せてくれ。一応プロだからな。

ただ、手が足りんから、焼くのを手伝ってくれ。生焼けと焼きすぎにだけ注意してくれればいい。」


食堂の店主のグラコが入れ物に入った肉を村長の家に運びながら豪快に笑う。

「いやぁ、お前さん達ののおかげで今日は商売あがったりだよ。

しょうがないから、おれも混ぜてもらうぞ。」

「す、すみません。」

ウェンツもさすがに少し恐縮するが

「ばか、もちろん冗談だ。こんなことはなかなかないからな。

それに、肉が余ったら、サムが分けてくれるっていうしな。まぁ、余るかどうかわからんが。」

「これだけあれば、多分足りるだろうよ。だけど、孤児院が先って約束だぞ。」

「わかってるって。」


まぁ、足りなくなればもう1頭ぐらい渡せばいいだけなので、そこは問題ないだろう。

ウェンツは周りを見ながら、「予想以上に・・・大事になっちゃったな」と思ったのだが、皆が喜んでくれているので、それはそれでいいだろう。


昼前になると、村のあちこちから村人が集まってきた。

中には、朝どれの野菜を差し入れしてくれるものもいて、食材がどんどん増えていく。

それを素早くニース達が調理し、サラダなどをつくっていく。

「肉しかなかったから、これは助かるわ。栄養のバランスが偏るものね。」

あっという間に、広場が人で埋め尽くされる。

子供も含めれば100人はゆうに超える。村人の半分以上が集まっているのではないだろうか。

シスターに連れられて、十数名の孤児院の子供達も連れられてくる。

すでに、調理場のほうは、かなりの修羅場になっている。


「収穫感謝祭の時よりも集まりがいいんじゃないか」

「まぁ、肉が食べ放題なんてそうそうないからな。もうはじまるから、焼いていくぞ」

まわりに肉を焼く良い匂いがする。

飲み物は、グラコさんの奥さんがお酒を中心に有料販売をしている。

どうも、それでも十分利益は出るらしい


水はタダだ。これにはクリスが一役買っている。昨日のうちに、綺麗な水を大量に出しておいたのだ。

それを見ている時の村長の驚きようはなかった。

ここは水自身は豊富だが、それでもそのままはできるだけ飲めまずに煮沸したほうがいいらしい。

それが不要な水が大量に用意できるとは・・・。




「今日は、皆も知っているかもしれないが孤児院の卒業生である ウェンツ、ギル、ニース、カティアの4人が帰ってきてくれた。それも、大量の肉をもってだ。ぜひ皆で味わってほしいとのことなので、皆盛大に楽しんでほしい。

あと、主だった者には話したが、酒が入る前に知らせておく。

今回、4人が帰ってきたのは、村の周りに土の壁を作るためじゃ。

以前あったような盗賊や野生動物が村に入りこまんようにな。皆に迷惑はかけんつもりだが、特に子供たちは、工事には気をつけるようにしてくれ。

では、話が長いと嫌われるでな。乾杯」


村長の挨拶によって、村での祭りが始まる。

どうやら話からすると、壁の建設は問題なく承認されたようだ。

後から聞いた話によると、今回招待した孤児の半分は、例の盗賊の襲撃によって生まれたらしい。


結果から言えば祭りは大盛況だった。

それはつまり、運営側が大変だったという事である。

特に、サムさんとグラコさんはとてつもない働きっぷりだった。

まぁ、ものすごい満足そうな顔をしているので、問題なさそうだが次から次へと肉を捌き調理していく。

そして、それが勢いよくなくなっていく。

途中から腹いっぱいに食べたという孤児たちが、給仕や皿洗いなどを手伝ってくらたので何とか回ったが、フェルとクリスはもうふらふらの状態だった。

だが、どうもそれもよかったらしく、普段世話になっている孤児たちも村人にお礼を言って回ったり交流を持つことが出来ている。


「おい。おまえらも、ちょっと休憩して食えよ。」

グラコさんが、串に刺した肉をフェル達に渡す。

焼いてたれにつけただけのシンプルなものだが、たまらなく美味い。

「グラコさん達も大丈夫ですか?」

「おお。時々、食わしてもらってる。しかし、あれだけあった肉がいい具合に減っていくぜ。

皆、くってるな。」

「いやぁ、これだけの人が集まると。」


広場の一角では、陽気なおじさんたちが歌を歌い始めている。

特に、娯楽らしい娯楽のない村では、祭りでは歌を歌ったりダンスを踊るようなことが多い。

自然と、その一角がステージのようになり、次々に人が変わって歌っていったりする。


それとは別に新しい食物が登場すると、それはそれで列ができる。

今は、おそらく野菜にミンチ肉をつめたものが焼きあがったのだろう。

おなか一杯といっていた奥様方が、今は厨房を手伝ってくれている。

ニース達も、休憩という感じで食事をしながら懐かしい村の方々と団欒の時となっているようだ。


畑仕事から戻った男性やたまたま来た商人達も合流して祭りは日が落ちるまで続いた。

「全部使いきった・・・・」

サムが、満足そうに言い切った。

実際には、まだ焼かれてない肉や漬け込まれた肉、ミンチになったままの肉が結構あるのだが、サムの前の肉塊は綺麗になくなっていた。

昼から食べ続けた者、夜また食べに来た者などいたが、予定以上に長い時間の祭り状態になっていた。

すでに、ほとんどの者は酒がはいって陽気になっている。

だが、流石に外で夜更けまで宴会を行うわけにもいかないし、このままでは野生動物や魔物を寄せ付けてしまうので片付けなければいけない。


「今日は、ここまでにしよう。

あまった食べ物は、できるだけ手分けをして自宅に持ち帰ってくれ。

テーブルなどの後片付けは明日で構わんが、火と食事だけはかたずけてくれ。」

かなり酒の入った村長は、しどろもどろになりながらも、終了の宣言をした。


それなりの食料があまっていたのだが、1時間もしない間に綺麗に片付いた。

この辺は、勝手知ったるというやつだろう。フェル達の出番はほとんどなかった。


「あとは、任せといていいだろう。どうだ、うちでお疲れさん会といかないか?

まぁ、もうつまみ程度しかないけどな。」

グラコが主だった若い人を誘う。フェル達の他は、サムさんと朝から手伝ってくれていた孤児院の卒業生という人たちだ。


そして、その日は夜更けまで盛り上がることになった。






すみません。体調不良で更新が出来ませんでした。

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