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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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86 外壁

「よう帰ってきたの。ウェンツ、ギル、ニースにカティア」

村の中心にある屋敷で初老の男性がメンバーを迎える。

屋敷といっても、大きいだけで普通の村人の家とさほど変わりがない。

村長も言われなければ村を歩いていても誰も気づかいないような普通の人だ。

だが、この人こそ、村全体で孤児院を支援していくようにしてた暁のカルテットの恩人の一人なのだ。


「ご無沙汰しています。本当に・・・。

件の襲撃以降どうしても足が遠のいてしまって・・・。」

「まぁ、無理もないがな。だが、お前さん達が悪いわけではない。

それは、皆わかっとる。亡くなったもんには悪いがな。あの程度ですんだのはお前さん達のおかげでもある。」

「ありがとうございます。そう言っていただけると救われます。」

「ところで、今日はどうした?それとその二人は?」


「この二人は、新しいメンバーでフェルとクリスといいます。

そして、今回は前回のことを踏まえてある提案に来たんです。」

「提案とな。」

「はい。」

暁のカルテットの4人が一斉に頷く。


「実は、このフェルは特別な魔法を使えます。

その力で、街に土塁・・・外壁をつくることを提案したいのです。」

「外壁とな。」

「ええ、現在は町のところどころに木の柵はありますが、盗賊はおろか野生動物の襲来があっても阻むことは出来ません。そこで、村全体を土塁で囲うことを提案したいのです。

前回の盗賊襲撃の際も、外壁などがあれば、あのようなことにはなりませんでした。」

「それはわかるが・・・。村全体を覆うとなるとかなりの規模になる。

この村には、そこまで人も金もそこまで余裕はないぞ。それに、農作業などに影響が出る可能性はどうなんだ?」

「はい。まず、人は我々だけで大丈夫ですし、費用も私達で持ちますので不要です。

これまでの御恩をお返ししたいと。そして、農作業への影響ですが、四方に開口部を設ければ問題はないはずです。」

「うむ。それならば・・・。」

「村長にお願いしたいのは、その許可と外壁および門の位置の指定でしょうか・・・。」


概ねフェルと事前に打ち合わせていた通りの話が進んでいく。

溝を掘り、その内側に土を盛る。あとは、暁のメンバーとクリスで土を固めていく。

溝と土塁で、外壁ができるという寸法だ。

流石に数日かかるだろうが、普通に土木工事をするのと比べれば圧倒的に簡単だ。

ウェンツ達は、フェルに報酬を払うといっていたが、これはフェルが断った。

もう、自分も暁のカルテットのメンバーであり、メンバーのために働くのに報酬はおかしいと言いはったのだ。


クリスなどからは、馬鹿にされたが、かといって反対もされなかった。

孤児院をおとずれたからかもしれない。

そこは、確かに屋根も壁もあるし、食事もでる。勉強も教えてもらえるのだが、それだけのところだった。服も寝具も粗末なものだし、子供達には農作業の手伝いが義務付けられている。

虐待とか労働力の確保とかのためではない。

自活のためである。孤児院は15歳になれば出なければいけないのだ。

その時に、働いたり生活ができるように。年齢に応じて、労働をしなければならないのだ。

クリスはその環境に自分達を被せたのかもしれない。

そして、この孤児院を維持するためには、村がある程度豊かでなければならない。

天災にしろ人災にしろ、何かがあった時に一番に犠牲になるのは弱い者達である。

だから、外壁づくりも何も文句を言わなかった。




・・・


「3日ほど時間を貰えるか。皆の理解を得るための根回しも必要じゃしな。」

「わかりました。その間に、何かお手伝いできることはありますか?」

「いや、特にはな。」


そういわれたフェル達の活動を決めたのもクリスの一言だった。

「孤児院に、差し入れをしましょう。前に行っていた森で、狩りをして。」

この村では、肉は御馳走である。もちろん孤児院などでは、とてつもなく。

「ちょっとばかし、遠いがいいのか?」

暁のカルテットの皆としても、その申し出はありがたい。

自分達の後輩はもちろん、施設の人も喜んでくれるだろう。

「じゃぁ、明日出発ね。」




・・・・



ガティコの村から約2時間 名もない森である。

「結構、遠かったわね。」

「ああ、あのあたりは、平原が続くからな。だが、野生動物が村に出ることはまれにある。

群れからはぐれた野牛とかな。だが、そんなのを探すのは流石に難しいし、群れを相手にするのはとてつもなく危険だからな。メリアのような場所もないしな。だから、あそこでは肉は高級品なのさ。」

「ここは、ほとんど誰もわけ入ったりしないから、獣道を行くことになるから気をつけて。

魔物もそれなりに出る可能性があるわ。この獣道をつくってるのは魔物なのだから。」

「猪や鹿あたりだといいんだが」

「俺達は、盾が今ないからな。フェルもいざとなったら”岩石落とし”を躊躇なく使ってくれよ。」

「わかりました。」

ここは、ドリュアデスの力が強く、フェルにもはっきりと姿が見えている。

精霊を感じる訓練にもなるかもしれない。


「フェルがいるからね。何が出ても大丈夫なように頑張りましょ。」

すっかり、クリスには疫病神のような扱いで言われるようになったフェルであった。





読んでいただきありがとうございます!

今週は、更新が危うかったのですが、なんとかクリアしました。


励みになりますので、下のブクマ、評価など、よろしくお願いします!



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