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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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08 前略・・・街道の上から

「エドガー。お客さんみたいだ」

リュークがそう言って、右斜め前の方角を顎で指す。


数百メートル先にから、フェル達が乗っているような6人乗りぐらいの馬車がこちらに向かってくる。

御者の席に2名、荷台に5人ぐらいだろうか人が乗っているのが見える。


「ミンツさん、フェル。」

エドガーが声をかける。ミンツさんは、前を向いたまま

「盗賊・・・・でしょうね・・・。」

と答える。


通常、馬車というのはまとまって移動する。

そのほうが、安全だし護衛なども考えると効率的だからだ。

魔物にしても、盗賊にしても大人数の者には襲い掛かってきづらい。

たとえ戦闘訓練を積んでいないとしても、魔法を使える者はいるし、大した武器でなくとも相手に数がいれば襲った側も被害が出るからだ。


今回は馬車1台だけであり、その荷台には荷物らしきものもなく、人だけが7人ほど。

まず、盗賊もしくは強盗の類とみるのが自然である。


「相手は、ざっと7人ぐらいか・・・。甘く見られたなぁ。」

腰に佩いているショートソード・・・といっても刃渡りは1m近いと反対の腰のナイフを確認しながらエドガーがリュークに声をかける。


盗賊というのは元来あまり強くはない。

日頃から訓練をする盗賊というのはほとんどいないし、何か技能に光るものがあるなら何かしら職についていたり、ハンターや傭兵になっている。

だから、ある程度のキャリアや実力のあるハンターなら盗賊の2~3人を相手でも十分に戦える。

「ハンター3倍段」というよくわからない言葉もあるぐらいだ。

もちろん敗残兵や犯罪を犯した元ハンターなどの手練れなどの場合もあるので一概には言えないが・・・。


この商隊は小規模ながら商人本人も含めて6人の人数がおり、明らかにハンターである格好をしたエドガーとリュークが乗っている。

ハンターの護衛の仕事の本来の意味は、戦闘をすることというよりも、襲われにくくすることにある。

なので、商隊というのは 「ハンター×2+戦闘可能な男性≧8」という暗黙の人数を満たすようにするのは基本中の基本なのだ。

ちなみに8という数字は、分け前や統率、移動手段などを考えると平均的な盗賊や強盗の人数らしい。


「ミンツさん、どうするよ」

エドガーは、ミンツに尋ねる。

この商隊のリーダーも商品の所有者ミンツであり、雇われている以上ハンターたちに決定権はない。

おそらく、荷馬車がいるため振り切ることは困難であるため「戦闘」か「降伏」の二者択一の判断をする必要があるのだ。


ミンツも逃げ切れないとわかっているようで、商隊を止める。

盗賊も100mほど離れた街道の上で馬車を止めると荷台から男たちが商隊を包囲するように取り囲む


「困りました・・・。私盗賊に襲われた経験がないんですよ・・・。どうしたらいいんでしょうか?」

ミンツは、腰の短剣をぎゅっと握りしめながら、恐怖を顔に浮かべながら答える。


「選択肢は、「降伏」か「戦闘」のどちらかだ。俺たちはそれに従う。」

そういって、エドガーは短く説明を続ける。


「降伏」の場合、後ろの荷馬車は馬車毎強奪される。

もちろん武装解除をしなければいけないから、我々の装備も奪われるのは間違いない。

そのうえで、おそらく命だけは助かる。

まぁ、多少いたぶられることもあるし、五体満足かどうかは相手次第だ。

ただ、商隊皆殺しなどを続けるとギルドの精鋭や正規兵などが出てきて盗賊にとっても都合が悪いからそこまでひどいことにはならない場合が多い。

ただし、商品価値の高い女子供は別だが・・・(といってフェルの方をちらりとみる。)


「戦闘」の場合、エドガーとリュークで4~5名は相手をできるが、2〜3名はミンツやフェルで相手をしてもらう必要がある。

ケガをする可能性もあるし、最悪死ぬ可能性もある。

しかも、相手はこちらの人数をわかって襲ってきているから、もしかしたら腕に自信があるのかもしれない。

まぁ、伏兵はいそうにないから、そこは安心していい。


そういうと、商人とフェル、そして後続の御者に馬車から降りる指示をだして、ゆっくりと馬車の前の方へいくように促す。




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