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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
79/106

79 報酬

ウェンツが代表して、ギルドに討伐報告を話をする。

特に変わったことのない報告なのだが、真実の口の報告結果を確認すると、しばらくお待ちくださいといって、受付がハンターカードをもったまま奥の部屋にいってしまった。

何かまずいことでも起こったかと皆が顔を見合わせていると、再び受付がハンターカードをもって出てきた。



「おめでとうございます。」

フェルとクリスのハンターカードに返却しながら、受付の女性が話しかける。

ハンターカードの帯の色が変更されており、ランクがFに変更されていた。


「お!もしかしてランクアップか。まぁ・・・それだけの敵ではあったな・・。」

「おめでとう。」

「というか、あなたたちその実力でまだFなの?」

暁のカルテットの面々が次々に祝福する。

それを聞いて、ランクアップを聞きつけた顔馴染みの数人が次々に祝福の声をかけてきた。

「おいおい・・。もうランクアップかよ。あんまり無理せず、ちゃんと休めよ。」

「ちっとは強くなったか、今度手合わせしてやろう。」

とか、反応は様々だがフェルもクリスも一部のひねくれものを除けば、結構かわいがられているのだ。

エドガーとリュークのようなベテランや、ネールやフェスカのようなギルドのキーマンに気に入られていることも大きいのだが、二人の努力を見ている者も多いし、なんといもいえない初々しさが二人にはあるのだ。


ちょっとしたお祭り騒ぎになったが、ランクアップなどそんなに頻繁にあるわけではないので、ここでは、これが普通らしい。場所によっては知らない人も含めて「ランクアップおめでとうの歌」なるものが歌われる場所もあるとか・・・。

ひと段落をすると、皆で買取窓口に行く。

担当は、ネールだ。



「おう、フェルにクリス。おめでとう・・てぇかお前ら速いなぁ・・・

バーンのは、ちょっと特別だが、それでもちょっと速すぎるぞ。いいか・・・いくら速くランクアップしても死んだら意味ないからな。まぁ、今回は暁のメンバーが一緒だったみたいだから心配はしていないが・・・。」

暁のカルテットをフルネームで呼ぶことは少ない。大体は「暁」と略される。

まぁ、それはそうだろう。毎回そんな名前で呼んだりしていたら大変である。


「いや・・・。ネールさんすまん。今回は、俺たちも相当危なかった。フェルとクリスがいなかったら、逆に死んでたな。」

「なんだ・・慎重派のお前たちにしては珍しいな。何処に行ったんだ?」

「メリアだよ・・・。ちょっとだけ奥に行ったが、樹海ってほどのところじゃない。カティアのリハビリ兼ねてだからな。だけど、出てきたのがこいつらでよ・・・。防具も武器もボロボロさ・・・。

で、いくらで買い取れる?」

ネールも勝手知ったるというか、何が出てもいいようにスペースの広いところをあける。

フェルは頷くと、一番小さい跳龍を1体取り出した。


どさっと取り出されるその巨体を見て、ネールだけではなく他のハンターも集ってくる。

「おいおい・・・またフェル達か・・・。

レベルアップするのも暁の連中が死にそうになるのもわかるな・・。跳龍・・・だな。

魔石は・・・まだ抜いていないか。わるいが、こいつは直ぐに換金できんぞ。」

「どういうことだ?」

「まず、こいつらの解体をして魔石を確認する。魔石は大きさや純度で値段がものすごく違うからな。

まぁ、肉も量があるから買い取るが、筋肉質で硬そうだから値段はあまり期待しないでくれ。

ただ、それはいい。問題は、素材の値段だ。

戦ったなら解ると思うが、跳龍の鱗は結構強力だし、爪は軽い上に硬い。

討伐も簡単ではないから、高値で取引されるんだが、その分取引量が少ないんだ。

貴重な素材を使った武器屋防具は高級品だからな。買える奴も限られるし、加工できるやつも少ないのさ。場合によったらギルモアか王都までいかないと売れないかもしれん。

こういうやつは、固定価格での取引ではなくて、ギルドは仲介をするのさ。

ハンターの希望価格に仲介量と移送コストを上乗せして、近隣の街でも業者を募るのさ。

急ぐなら、価格を安くして即決価格を決めればいいが、急がないなら入札形式がいいぞ。」

魔物の素材に関らず、珍しい物などはこういう広域売買システムをギルドは持っている。

もっとも輸送に制限があるのでそこまで広くはないのだが、隣接する5~6のギルドのある大きさの街で入札が行なわれるのだ。


「一応、確認しておくが・・1頭か」

「いえ、3頭・・・・。」

「ふぅ・・・。相変わらずだな・・・。しかし、よく無事だったな・・・。」

「いや・・・、死にそうでしたってば。

僕らは後ろのほうだったのでいいですが、暁の皆さんの装備は買換え・・・ですね。」

「いや・・・。高ランクパーティーならともかく、その程度で済んでいるのがラッキーなのさ。

まぁ、さらに訓練に励まないといかんな・・・。」

ネールが、最後のほうは嬉しそうにいうのだが、このあたりで、素直に頷くあたりが、フェルが好かれる要因なのだろう。クリスなどは、最初の地獄の訓練を思い出してゲンナリしてしまったのだが。


「ネールさん。悪いんだが、相場が全くわからんのだが。」

「だったら、過去の取引データはあるから、こちらに任せてくれればわるいようにはせんさ。

どんな武器・防具を買うかは知らんが、肉の分だけなら先に払ってやれる。単価は最低だが、量があるからな・・・ざっと金貨で30枚ぐらいにはなるだろう。急いで装備がいるなら、ギルドで借りるか中古品を買っていってくれると、助かる。」

「ああ、あとで見させてもらうよ。掘り出し物があるかもしれないからな。」




・・・・




ギルドには、大抵大きな倉庫がある。

そこには、各種の買い取った素材なども搬入されるのだが、一角に武器や防具を扱う場所がある。

ギルドメンバーがギルド証を見せてしか入れない場所だが、そこには中古の武器屋防具が所狭しと並べられている。これらは、いわゆる戦利品でまだ使えそうなものを集めた場所なのだ。

年に数回は、武器屋などに販売をされるのだが、逐一その手間をかけるのはギルドにとって負荷であることや、武器などを壊したりなくしたハンターに一時的にレンタルをすることでハンターが失職しないようにするための場所なのだ。

基本有料なのだが、無料で手に入る粗悪品もある。それでも、何もないよりは随分ましといえる。


「まぁ、めぼしいものはあまりないか・・・」

市価の6~8割程度で入手できるのだが、中古であるから新品と比べれば何らかの我慢ポイントがある。

そして、ここはネールの目利きがいいので、掘り出し物というほどの価格と性能の乖離が出にくいのだ。


「この槍なんかどうかしら・・・安いけど。」

「軸が、ちょっとずれてるな。やめといたほうがいい。」

「ニースも、予備の武器はちゃんと用意しとけよ。このあたりの短刀がいいんじゃないか?」

「盾は、いいのがないなぁ・・。軽いやつはやっぱり消耗品だしな。」

「あの盾は?」

「あんな重いの持って移動できるか!。あれは馬に乗って動く騎士用だ。」


ただ、ここはなぜか楽しい。

弓を借りに来た時もそうだったが、宝探しをしているような感覚になるのだ。


「とりあえず、ニースの槍と短刀はこれを買うかな。あと、ちょっと値は張るが盾とギルの鎧は新品にさせてもらうぞ。これは中古ではこころもとないからな。」

「あとは、明日にしよう。流石に疲れた・・・。」

「明日は買い物と少し休むか・・・。フェルとクリスもそれでいいか?」


頷く二人。

そして、ウェンツは、フェルとクリスに金貨7枚と銀貨を5枚づつ渡す。

「とりあえず、肉の分だ。あとは、現金化されてからだな。」

「え、でもこれだと装備の分で手出しになっちゃうんじゃ?」

「ん?いや、最初の約束がパーティで半々だしな。あとは各パーティでなんとかするさ。

逆に治療薬も出してもらったしな。あれは助かった。それに、魔石とかの換金があれば大丈夫だろ。」


通常、前衛職は装備などの消耗が激しい。

なので、パーティではそれらは共通の費用として処理する。

なので、今回も全体の収入から失った装備を引いてから按分でもおかしくはない。

クリスですら、それは当然と思っていた。それぐらいに今回の暁のカルテットの消耗は激しい。

知ってはいたが、実際に行動してみてわかったのは、彼らも『良い人たち』なのである。


「早死にしなきゃいいけど・・・」

そんな不吉なことをぼそりと言ってしまうクリスであった。


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