53 ゴルダの丘・・・ふたたび
翌日もクリスは魔法講習のことを考えているようで上の空であった。
それを見て、話をしだしたのは、バーンであった。
「クリス。らしくないじゃないか。
よく考えてごらんよ。僕たちの目標は、『薬剤店の開店資金 金貨200枚を貯める』だろう?
そして、この資金は稼いだ金の10%分の貯蓄でするって決めたじゃないか。
ということは、このために稼ぐ必要のある金額は金貨2,000枚。
クリスの稼ぎはその30%だから600枚にもなるんだ。
モチロン生活費もあるけど、魔法講習なんてその目標の半分以下で敵う目標なんだよ。」
「そうだね。僕たちは、経験こそ浅いけど他のパーティよりも、稼ぐための武器はしっかりとあると思うよ。バーンの知識はすごいし、収納できるのもね。
無理は禁物だけど、夢のような話じゃぁないはずだよ。」
その『稼ぐための武器』に私が入っていないのが、クリスがあきらめの悪い原因なのだが、確かに悩んでいてもしょうがない。
「わかっているわよ。ええ。わかったから、仕事をしましょう。」
そういうと、依頼掲示板の確認と常時買取のファイルをめくりはじめた。
「依頼は・・・、Gランクで受けれるものにあまりいいのはないわね。」
「エドガーさん達と一緒ならともかく、僕たちだけでは、よほどのことがない限り、そう簡単には依頼は受けさせてもらえないよ。」
「あとは、常時買取の相場だな・・・。メリアの森の方は、少し回復してきてるけどあまりうま味はないかなぁ・・・。大型食用の肉は、良い値だけど獲れるかどうかだね・・・。」
「それなら、岩蜥蜴の尻尾の方が美味しいかな。評価ポイントは低めだけど。」
そういいながら、常時買取のファイルをめくっていると、ふとクリスの眼があるところで止まった。
「ねぇ・・・このガーアリゲーターっというの・・・どういう魔物?」
「さぁ・・・初めて聞くけど、どうしたの?」
「いや・・・買取金額が、全部合わせるといい値段なのよ。
皮も肉も牙も単価が高いの。常時買取ってことは希少な魔物じゃないと思うけど、聞いたことなくって。」
他の二人も知らないという事で、3人はネールのところに確認をしに行く。
ネールの担当は買取だから、当然知っているはずだ。
「ガーアリゲーターか? あいつらは、水辺にすむ鰐の仲間だな。
強力な顎を持っていて、咬まれれば腕1本持ってかれちまうぐらいの危ないやつさ。
ただ、味が美味でねぇ。皮も耐水性があって使いやすいうえに綺麗なので買取価格は高いんだ。
あと、牙は何に使うのかはしらんが、魔導学園が固定価格で買い取ってくれる。
1匹で金貨30枚は堅い美味しい採取なんだが、生息場所が問題なんだよ。
この辺だと、一番近いところで、エリー湖だ。街道から見ると、ゴルダの丘のさらに奥になる。
まぁ、お前達にもあまり関係ないが、道が悪路なのでな。回収依頼がかなり良い条件を出さないとほとんど受け手がいないんで、この値段になっちまうのさ。」
フェルがいるなら、回収依頼は不要だ。
しかもゴルダの丘を通るなら、途中で岩蜥蜴の尻尾も回収できるかもしれない。
「おまえら・・・ガーアリゲーターを行くつもりか?
まぁ、とめはしないが、2点注意しとくぞ。
1点目は、絶対に深追いしないこと。
やつらは、陸上ではそうでもないが、水中ではかなり素早い。水中に逃げられたらあきらめろ。
それから、絶対に咬まれないように、うかつに近づくな。
2点目は、ゴルダの時も言ったがリザードマンだな。エリー湖はやつらの生息地だからな。」
ガーアリゲーターの捕獲の仕方は、輪にしたロープを使って水中へ逃げられないように陸に引き上げる必要があるらしく、ネールからロープの結び方や輪のひっかけ方などを教わった。
・・・・
翌朝、街道沿いの道を馬車で3人は移動していた。
流石に、今回は格安料金というわけにはいかなかったが、そう長い時間乗るわけではないので、費用は知れている。始めていく場所なので、万が一に備えて、少しでも疲労を抑えておく方が重要だった。
道中、岩蜥蜴を発見し、尻尾を3つほど確保することに成功した。
相変わらず本体は素早く簡単に捕まえることは出来なかったが、尻尾狩りは2回目であったこともあり順調だった。
「ざっくり1個金貨8枚としても、もう24枚・・・。確かにフェルがいればかなり早く魔法訓練を受けれるかも・・・。」
通常のハンターは、尻尾を1つ持って帰るのがせいぜいであるが、フェルがいれば持ち運びで苦労はしない。すでに、帰還しても十分な稼ぎがであった。
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