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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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46 再会

「やぁあ!」

「おっと、今のは危なかった。だが・・・胴ががら空きだぞ・・・・。」

「ネールさんに鍛えられただけあって、基本はいいが、攻撃のあとがいかんな。

一番危ないのが、攻撃の後だからな。」


ギルドの裏庭でフェルとクリスがベテランハンター相手に訓練をしている。

ゴルダの丘まで馬車に同行したハンターが、フェル達の特訓を聞いて相手をかって出てくれたのだ。


1週間の訓練で、二人ともかなり腕をあげたが、さすがにベテランハンターから一本とることはできなかった。いくら伸びしろがあるからと言って、そんなに短期間で一気に強くなるわけがない。

それでも、何度かはオシイ場面があったことからも、二人の訓練の成果は出ていた。

ネールの指導はかなりキツイのだが、確実に実になっていた。


フェルも訓練用の弓を難なく引けるようになってきており、それにともなってこころなしか筋力もついてきた気がする。

通常であれば、筋肉痛がすごいはずだが、バーンの疲労回復薬と湿布があるためそこまで後を引かないのが特訓を続けることができた秘密かもしれない。


「お、やってるねぇ。」

そういって、裏庭に現れたのは、護衛依頼を終えて帰ってきたエドガーとリュークだった。


「あ、エドガーさんにリュークさん。帰ってきたんですね。」

「おぅ。後でミンツさんから話があると思うけど、フェルのおかげでいい商談がまとまったらしいぞ。」

「そうですか!それは良かった。」


「どうだ?ちょっとは腕が上がったか?」

「よかったら変わりましょうか。ちょうど我々も休憩しようかと思ってたところです。

ただ、こいつらぶっ続けですからね。あまり無理させないようにしてやってくださいよ。」

今まで相手をしてくれていたハンターがエドガー達に交代を申し出た。


「じゃぁ、ちょっとみてやるか」

エドガーはフェル、リュークはクリスの前に木剣をもって構える。

「いつでもいいぞ。」


フェル達は慎重に間合いを縮めると、鋭い斬撃を繰り出す。

エドガー達は、予想以上の攻撃に驚きながらも、しっかりと斬撃をかわす。

続けての突きや斬撃も、なかなかの太刀筋なのだが、流石にそれをくらうエドガー達ではない。

3分ほど打ち合うと、流石にフェル達の剣に切れが無くなってくる。


「ここまでだな。」

そういうと、エドガーがフェルの剣を叩き落とす。

それをみて、リュークもクリスの剣をからめとった。


「正直、おどろいたな。かなりの進歩じゃないか。」

リュークの方が先に褒める。

「確かにな。テクニックの未熟さとスタミナ不足は否めないが、基本はかなりできてきているな。

ちゃんと訓練を受けたようだな。」

「ええ、かなり頑張りましたよ・・・。」

「そうだな・・。ところで、バーンはどうした?」

「ええ、実は・・・・」




・・・・




「そうだ。素材の乾燥の仕方で品質はかなり変わってくる。

魔法薬がもてはやされとるが、あれも基本は、薬の即効性と効果を倍増させるものだから、そもそもの薬の調合というのは重要なんじゃ。それを最近は魔法の方に重点を置くもんじゃから、あんなに高級品になるわりに、応用の効かん似たようなもんばっかりになっちまうんじゃ・・・・」

ゼペット老は、そういいながら、素材の扱い方を教える。


この1週間で、二人の関係は完全に師弟関係になっていた。

最初から、手伝いと言いながらも岩蜥蜴の薬については教えてやるつもりであったが、バーンの真剣さとその吸収の速さから、ゼペットは自分の知る知識をどんどん教えて行っていた。

本来、人は本能的に教えることが好きといわれている。

教える立場にあるという優越感もあるし、教えることが人の役に立つということがやりがいにつながるからだとか言われている。

ゼペットは、数年前に妻に先立たれてから一人で店を営んできた。

ゼペットに子はいなかったが、その子供よりもさらに若いバーンに請われて、悪い気はしなかった・・・というよりは、喜びすら感じていた。


「さて、約束の1週間じゃな。大体おしえてやれることは教えたつもりじゃて。

おかげで、予定していなかった薬もえらく在庫を用意できたよ。

困ったことがあれば、いつでも来てくれれば良いからな。」


ゼペットは少し名残惜しくも思ったが、バーンには待っている仲間がいるし、彼はまだ若く様々な可能性を秘めていることを十分にわかった。

それに、この街を中心に活動していれば、別に会えなくなるわけではない。


「あとは、これは持っていくといい。」

そういって、小さな筒が連なったベルトを渡す。

「今回作った薬を少量づつ入れてある。今回の薬も、倒れた人を見つけてから作っていては間に合わん。

常に薬を持ち歩いておけば、いざというときに対応できる。いくらすごい薬を作れても、必要な時に用意できなければ意味がないからな。」


バーンは、これまでの教えと思いがけない贈り物に感謝をする。

最初は、薬材の使い方を教わるつもりが、薬師として必要なことをほとんど一から教わった。

無理にでも声をかけて本当によかったと思った。




・・・・


翌日、ギルドでは久しぶりに5人のメンバーがそろっていた。

フェル達のパーティーにエドガーとリュークである。

お互いの経過を互いに報告し合う。

エドガー達はミンツの護衛を続けるそうだが、依頼した商品がそろうまで時間があるそうなので、研修の延長という感じで合同の依頼をうけようかという話になった。


エドガーとリュークがいれば、かなりのランクの高い依頼でも受けることができるのだが、研修の延長なので、そこまで無理をする必要はない。

エドガーは、ざっと依頼を見ていくと1枚の依頼をとる。


『ニムロ廃坑に出没するゴブリンの掃討』依頼のランクはFだ。


ゴブリンは、醜く邪悪な人間型の魔物である。過去にフェル達が討伐したコボルトよりもより人間に近く独自の言葉をしゃべるし中には魔法を使える者もいる。また、廃鉱や遺跡などで粗野な部族社会を形成し、粗末ながらも武器や防具などを自ら作るなどの低レベルの文化生活を行う。

オーガやオークほどの力はないものの、その最大の脅威は圧倒的な繁殖力であった。

妊娠から出産までが4ヵ月程度しか駆らないらしく、爆発的に増えるのだ。

雑食だが、農耕をする文化がないため、頻繁に村などを襲うことから、みかけたら討伐対象になることが多い。


普通の人間には脅威となるゴブリンだが、武装しある程度経験を積んだハンターにとってみればさほど強い相手ではない。

そのため、駆け出しハンターの次のステップとしてはうってつけの存在なのだ。


フェル達だけでは危険だが、今回はエドガー達もいる。

フェルと手合わせした感じであれば十分対応可能だろう。そう判断をしたのだった。









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