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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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42 ゴルダの丘

ゴルダの丘への道は、メリアの森とは別の街道から向かうことが出来るらしい。

ほとんどの工程は街道沿いなので、顔見知りになったハンターの人たちの受けた護衛依頼の馬車に空きがあるとのことで格安で乗せてもらうことが出来た。

商隊の人にとっても、たとえGランクでも武装した人が乗っていれば盗賊などのけん制になるわけだから、タダ同然でもメリットはあるわけだ。


「ゴルダの丘だったら、このあそこだな。」

そう言って、先輩ハンターが指さした先には、丘というより小さな岩山が見えた。

道中、この先輩ハンターにも、ハンターの心得や注意点という名の武勇伝を聞かされることになった。

半分以上、どうでもいい話なのだが、岩蜥蜴の特性の話は役立った。


岩蜥蜴は、巨大だが小さな蜥蜴同様に、危険な場合『尻尾切り』をするらしい。

そのため、岩蜥蜴の採取はこの”尻尾”の皮と肉がメインらしい。

というのも、岩蜥蜴は咬筋力こそ大したことはないが、口内に強力ではないが毒を持っており、噛まれると出欠が止まらなくなり、最悪死に至る場合があるらしい。

そのため、あえて頭をキズつけずに、後方から追い立てて『尻尾切り』を狙うといいらしい。

その後の持ち帰りにもちょうどいいサイズになるから。


今まで、まともに話したことはなかったが、この人たちも基本的にいい人のようらしい。

3人は、ハンターや商隊の人たちに礼をいって馬車を降りるとゴルダの丘に向かって歩き出した。



・・・・・





「あ、多分あれだな。」

1m50㎝ぐらいの巨大な蜥蜴が岩山の上で腹ばいに寝そべって日向ぼっこをしているように見える。

蜥蜴の鱗は、かなりごつごつしたイメージで、頭部は小型で細長い。

吻はやや太くて短く、吻端は幅広く丸みを帯びている。

四肢は発達しており、かなり鋭い爪が生える。あくびをすると鋭いノコギリ状の歯が見える。


「結構・・・大きいね。」

これでもまだ小さいほうなのだが、実際に見てみると想像していたものよりも威圧感がある。

しかも、今回は『尻尾切り』ではなく討伐しなければならない。


3人は、岩蜥蜴を三方から囲むようにして、それぞれの武器を構える。

フェルは小弓、バーンは剣、そしてクリスはクロスボウに矢をつがえる。

攻撃の合図は、クリスの準備をみて、バーンが剣を振って行う。


クロスボウの一撃が、岩蜥蜴の尻尾に刺さる。

背中を狙ったのだが、少しずれてしまったようだ。

フェルの矢は背中に刺さっているが、鱗に阻まれて皮膚の奥まで届いていなさそうだ。


次の瞬間、岩蜥蜴は尻尾を切り離して岩場をジャンプしてフェル達の後方に逃げ出した。

かなり素早い。

フェルは、2射目を射るがあたらず、他の二人はまったく間に合わない。


「は・・早い。」

その大きさから想像もできない速さで逃げていく岩蜥蜴をみながら全員がつぶやく。

残されたのは、本体から切り離されながらもいまだのたうち回る「岩蜥蜴の尻尾」のみであった。



「まぁ、そう簡単にはいかないわね。でも、クロスボウの威力の確認はできたわ」

そういうと、岩蜥蜴の尻尾からクォレルと呼ばれる金属性の短い矢を抜き出す。

フェルの矢ではあまり傷つけられなかった堅い鱗を破って、しっかりと肉に突き刺さっていた。

「フェル。お願い。」

尻尾とはいえ、30㎏はある。荷車があったほうがいいというのもわかる。

3人は尻尾を転送すると、次の岩蜥蜴を探し始めた。



・・・・



岩蜥蜴自体は、比較的早く見つかるのだが、思ったよりも狩りはうまくいかなかった。

そもそも、『尻尾切り』をする以前に、攻撃する前に逃げられることの方が多いのだ。

どうしても、クロスボウを準備するのに少し時間がかかる。

準備したままの移動というのは、誤射の危険があり、足場の悪いこの丘では難しい。

そうすると、相手に気付かれて逃げられてしまうのだ。


それでも、もう1本尻尾を得ることは出来た。

だが、先ほど同様、討伐することはできない。

時間だけが過ぎていく。


「このままでは日が暮れてしまうな。

キャンプを張るには危険だし、もう少ししてダメなら、依頼主には悪いが依頼失敗でもやむを得ないか・・・。」

正直にいえば、金貨2枚の違約金なら、この尻尾の売却でおつりがくるだろう。

ただ、依頼失敗は評価ポイントが下がるし、なにより依頼主に申し訳がない。


「ちょっと、岩蜥蜴を次に見つけた時は、僕にやらしてくれないか?」

フェルが二人に提案する。

とりあえず、このままでは時間だけが過ぎて行ってしまうので、なにか策がありそうなフェルに任せてみることになった。


「ティルク・・・。例の奴をやってみよう。肝がつぶれないように頭を狙ってくれ。」

「えーっ。あの蜥蜴ぇ・・・。あんまり近づきたくないなぁ・・。」

「そういわずに頼むよ。このままじゃ帰れなくなっちゃう。」

そういわれて、まだブツブツいいながらも、とりあえずティルクは頷いた。




「いたわよ」

今度の岩蜥蜴は、尻尾が異様に小さかった。

最近、『尻尾切り』をしたのかもしれない。

フェルは、二人にこのまま動かないように指示をして、岩蜥蜴の背面に大きく迂回をした。

幸い、岩蜥蜴はフェル達に気付かずにいてくれたようで、大きなあくびをして岩の上に寝そべっている。


「ティルク!」

小声でフェルがいうと、ティルクは岩蜥蜴の方へ向かっていく。

フェルからあまり距離を離れることは出来ないが、このぐらいであれば問題ない。

「今だ!」

そうフェルが小声で言った瞬間、岩蜥蜴の頭上に1メートル近い大岩が突然現れる。


ブシュ。

大岩の下から、大量の血と頭部をつぶされた岩蜥蜴の死体が見える。

岩蜥蜴の頭上数十センチの位置に、ティルクが街の郊外で採取していた大岩を”転送”したのだ。

わずか数十センチでは、回避できるわけもなく岩蜥蜴は一瞬のうちにつぶされたのだ。

これが、フェルの必殺技である。

フェルは、再び大岩を”転送”で収納をすると、離れていた二人に合図を送った。







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