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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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41 依頼受注

2日の休息を取った後、再び3人はギルドに集まっていた。

クリスの背中には、罠の入った袋の代わりに小ぶりのクロスボウと矢筒が背負われていた。

罠は、移動中は邪魔になるためフェルが預かることにしたのだ。


新しい武器のクロスボウは、木の台座に弓が固定されており、あらかじめ弦を引いてセットしたものに専用のクォレルと呼ばれる太く短い矢を設置して使う。

通常の弓に比べて、威力が強力で、素人でも扱いやすく、的へ当てるのも難しくないのだが、強力な弦を引くために、弓を発射できる状態にするまでに1分近く時間がかかるのが弱点である。

ゴーツフットというレバーで弦の掛け金を梃子の原理で引くのだが、クリスが引くには弓を地面に押し付けて、体重をかけなければできない。

そのため、威力は抜群なのだが、狩りなどでの先制攻撃には有効だが、接近戦では使えない。

だが、戦術の選択肢は間違いなく広がる。


「あと、フェル。これも持っておいてくれ」

バーンがフェルに渡したのは、いくつかの薬と木筒であった。

木筒には、それぞれ青と赤の色が付けられている。

「赤は、クリスに言われて作った痺れ薬だ。吹き矢に塗ってあったやつとほとんど一緒だと思う。

即効性はないが、相手の痛覚を奪い痺れさせることが出来る。この綿に含ませて矢筒の底に仕込んでおくといい。あと、薬師としては本来はこちらの使い方が正しいんだが、少量なら痛み止めとして有効だ。

毒性はほとんどないが、量を間違えると面倒なことになるから、注意してくれ。

それで、青が傷薬だ。魔法付与がうまくいかなくって、不十分な効果だし、量もこれだけしかできなかったが、ちょっとした擦り傷や切り傷ならこれだけで治るはずだ。」


魔法薬<ポーション>である。

治癒魔法などの効果を込めた薬で、種類によってはかなり高価な品になる。

傷薬はその中でも売れ筋で、回復魔法を使える者がいないパーティーでは、特に重宝される。

擦り傷、切り傷程度というと、かなり効能は薄いが、それでもそれを作れるというのはすごい。


「後の薬は、こないだからの疲労回復薬と筋肉痛の貼り薬、そしてさっきの傷薬の失敗作だ。即効性はないんだけれど、何もしないよりはまし程度の効果はあると思う。」

傷薬の失敗作と言われた粉薬は、木筒1つ分・・・・かなりの量である。

「本当に、なかなかうまくいかなくってね・・・。」


「フェルは、何か考えたの?」

「まぁ。ちょっと説明するのは難しいし、みんなが考えたの程、使い勝手がいいものじゃないんだ。」

「いや、収納魔法だけで、大助かりだけどね。罠も薬もロープも持たずに出かけられるんだから。」

「でも、僕が倒れちゃったらこまるから、最低限の物や貴重品は各自で持っててね。」

「わかった。まぁ、そうならないように頑張るが、この中ではフェルが前衛にならざるを得ないから。」


実は、前回の話合いの中では、新たなパーティメンバーの勧誘やパーティーへの参加という案も出た。

収納魔法<ストッカー>を欲しがるパーティー山ほどあるし、高い戦力のベテランハンターのスカウトだって可能かもしれない。

だが結論としては、それを見送ることにした。

まず、収納魔法を目当てに来るものと、バーンの店を持つという目標を共有することは難しいだろうこと。経験の少ない自分たちでは都合よく利用だけされる可能性が高いこと。などがその理由だった。

エドガーやリュークのような人ばかりではないのである。

エドガー達も言っていたが、パーティー内のいざこざやトラブルというのは結構あるらしい。

なので彼らも気の合う2人だけで組んでいると話していた。


・・・・




とりあえず、ある程度の戦力アップの目途が確認できたので依頼掲示板を一通り確認する。

相変わらず、フェル達に受けることができそうな依頼はほとんどなかったが、その中に一つだけ面白い依頼を見つけることが出来た。


『急募 岩蜥蜴の肝臓 金貨10枚 Gランク』


そう書かれた依頼だ。ランクのところは一度Fと書かれていたものがGに修正されている。

「岩蜥蜴?」

3人は互いに知っている者がいないか確認したが、知っている者がいなかったため、受付で確認をすることにした。ランク的にFランクということは、さほど難しくない依頼の可能性が高い。しかも報酬も悪くない。


「ああ、あの依頼ね。岩蜥蜴っていうのは、ゴルダの丘の近辺の岩場に生息する全長2mぐらいの大蜥蜴ね。肉や鱗は結構いい値段で売れるのわ。

今回の”肝”っていうのは珍しいのだけれど、何かの薬に使うようね。

ただ、ゴルダの丘ってここからだと2時間ちょっとかかるからね。荷車とかがないと効率が悪いわね。

それと、あのあたりって近くのエリー湖からリザードマンとかが来てることがあってね。

彼らは、知性もあるし、武装もしてるし、全身鱗鎧を着ているみたいなものだから、鉢合わせるとかなり危険なのよ。最近目撃例が何回かあったのよ。

そういうわけで、朝一番ではFランク指定だったんだけど、たまたま依頼が残っちゃてて。

さっき、依頼主がGランクに引き下げたのよ。」


「リザードマンかぁ・・・。それは・・・ちょっとしんどいなぁ・・。」

「まぁ、そんなに頻繁に出会うわけではないし、今回の報酬は結構急いでいるみたいで高いから悪くはないとは思うわ。あなた達はGランクだけど魔猪を狩れてるし、討伐自体は大丈夫な気がするわ。ただ、違約金もちょっと高くなっちゃうから注意してね。」

違約金は金貨2枚。まぁ、急ぎのようだから、依頼を受けて失敗すればそれだけ依頼主も困るのだから当然だ。


「どうする?メリアの次のステップとしては、悪くないと思うけど?」

クリスは、どうやらやる気のようだ。

「私も、いいと思います。岩蜥蜴の肝の使い途も気になりますし。」

バーンは、薬師として、知らない素材とその調合が気になるようだ。

「みんなが、いいなら。距離も悪くないし、報酬も悪くない。

ただ、こないだの確認した通り、無理はしないようにしよう。たとえ違約金を払うことになっても」


『すみません!この依頼。受けます。』


そういうと、掲示板から依頼をとって受付に向かった。


評価&ブックマーク、そしてコメント(誤字報告が多くて申し訳ない。)ありがとうございます。

PVも結構気にしてみてます。

その一つひとつが、原動力になってます。


恥作ですが、よろしくお願いいたします。

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