29 新人教育2
「いや・・・なんか、採取は講習いらなかったか・・・。」
エドガーがクリスの罠の設置をみながらつぶやく。
もちろん、バーンやフェルには目新しいことや勉強になることばかりで、講習の価値はあるのだがほとんどエドガーとリュークの出番がないのである。
ちゃんと、罠を仕掛けた時に目印の布をつけることや、布がない時に、木の枝で十字のしるしを作って見えるところにおくことまで、ちゃんと説明がされているのだから・・・。
「今回の新人は筋がいいとは聞いていたが・・・。これはならもっと奥で狩りでもいいな・・・。」
通常の新人研修で、こんなに知識と実践のできる者がいることはない。
ハンターの仕事というと剣や槍などで討伐や護衛をすることというイメージが多いため、これらの知識を前もって持っていることの方が少ないのだ。
しかし、実際は新米ハンターに護衛を依頼することなどよほどの場合以外はあり得ないし、討伐だってまともにできるわけがない。
なので、普通はここから採取の仕方を学び、苦労して実践経験をつんでランクアップをしてはじめてまともな依頼をこなせるようになるのだ。
その過程で、努力しない者や考えの浅い者は自然淘汰されていく。
そのため、ハンターと名乗って認められるのはEランクからと言われているのだ。
植物系の採取の他に罠を使った採取ができるなら、そう時間がかからずFランクには上がれるだろうが、冒険はちょっとのミスが命取りになるケースもある。
そう、試験中に赤毛熊に遭遇する事だってあるのだ。
可能な限り、色々な経験を積ませなければいけない。
「じゃぁ、もうちょっと奥まで行くぞ。先日の赤毛熊の件もあるから気を抜くなよ。
先頭は、フェル。お前やってみろ。」
エドガーはそういって、フェルに先頭を生かせる。
他の新人2人がすごかったので、ちょっとは華をもたせてやりたかったのだ。
フェルは慣れた様子で小弓に矢をつがえながら森の奥に入っていく。
「ほぅ・・・」
声を出したのはリュークの方だった。
フェルの歩みは驚くほど静かなのだが、進むスピードが尋常ではない。
そして、急にしゃがんで矢をつがえたかと思うと矢を放ち山鳩を射抜く。
山鳩は商品としての価値は銀貨1枚あるかどうかというものだが、野営の際の食事としてはご馳走だ。
フェルは素早く頭を落とすと首を下にして血を抜く。何気ない一連の動作だが、なかなかのものだ。
盗賊団との戦闘で、ある程度は戦えると思っていたが、鍛えればかなりいい線まで行くかもしれない。
「フェル!!」
ティルクが急に声をあげて警告をする。
フェルは皆にしゃがむように合図を送ると、小さな声でエドガーを呼びながら、茂みの奥を指さす。
「小鬼<コボルト>の巣です。」
小鬼<コボルト>
身長は大人でも150㎝程度の狼顔の全身毛皮に包まれた人型魔物である。
知性を持ち、5〜10匹程度の小さな集落を形成して生息している。
雑食性で、繁殖力が強く、時折畑や家畜や人間(特に女・子供)を襲う。
力は人間の子供並みで、武器なども時折人間から奪った剣などを使うが、木削った物などが中心である。
肉は食用に向かないが、一部の毛皮は安価ながら常時依頼で取引される。
「ざっと7〜8匹か・・。ちょっと数が多いがフォローしてやるからやってみるか。」
エドガーから言われてフェルは緊張しながら頷く。
初めてみるが、コボルトはさして強くない魔物だときいている。ましてや、エドガーがやってみろというということは、「倒せる」ということだろう。
事実、エドガーとリュークなら二人だけで充分殲滅できる数だ。
フェルは、自分が弓矢での攻撃を仕掛け、その後は前衛を務めることを告げる。
手早く残りの二人に対しては各自の戦闘力量がわからないため、詳細の指示はしないが、エドガーとリュークを両サイドしてやや後方Wの字になるように陣取ってもらう。
これなら、そう問題になることはないだろうし、魔法などが使えれば多少は援護してもらえる。
「では、行きます。」
フェルはそういうと、そっと”シルヴェストル-風の精霊-”に声をかける。
一陣の心地よい風が吹き、フェルの声にティルクよりも一回り小さな妖精がそれにこたえる。
「まかせて!だって」
ティルクが言い終わる前に、フェルは弓を引き絞ったまま巣に近づくと、一番近くにいるコボルトに射掛けた。
今回は、ちょっと短めです。
毎日、ちょっとづつでも読んでくれる人が増えるのって嬉しいです。
そして、PVみると深夜とかでも読んでくださる方が・・・・。
他の先生方に比べるとずいぶん稚拙ですが、頑張りますよ。
目指せ 瞬間最大でもいいのでランクイン!(笑)




