26 新米ハンター フェル誕生2
フェルは、約束の双子亭に帰ってお湯を頼むと部屋に戻って革鎧と服を脱ぐ。
傷口は、少しまだ赤くなっているが綺麗にふさがっている。
「よく助かったなぁ・・・・」
届いた湯で身体を拭きながらフェルはティルクに話しかける。
「焦ったわぁ・・・。どうしようかと思った。
ドリュアデスも、そんなに力の強い精霊じゃないから今のままではあれが精いっぱいだろうし・・・
やっぱりハンターって危険なんだね。」
フェルは無言でうなずく。
幸い身体へのダメージはほとんどないのだが、今回の件は精神的にも金銭的にもダメージを受けた。
裂けた革鎧は、買い替えるか前面を貼りかえないといけないだろう。
手痛い出費になる。
合格というのだけが、救いだ。
「ふぅ・・」
とため息をつくとベットに倒れこんだ。
・・・・
3時間ぐらいは眠ったようだ。1階から食事をする客の声が聞こえる。
そういえば・・・と背負い袋から弁当として持って行っていた握り飯を取り出して頬張る。
ひと眠りして、緊張の糸がとけると、急に腹が減ってきたようだ。
「もう少し、食べたいな」
部屋を出て階段を降りていくと、聞きなれた声が呼びかけてくる。エドガーとリュークだ。
「おう、聞いたぞ。赤毛熊がでたらしいな。大丈夫か?」
フェルはテーブルにつくと、今日あったことを話し出す。
フェルと二人はかなり歳の差のあるが、すでに二人は頼れる兄貴のような存在になっていた。
「まぁ、その話を聞くと良く生き残っていたという感じだな。ネールさんがいなかったらと思うとぞっとする。」
「メリアでそんなもんに会うなんて、ほんとに運がないな。
あそこは、近場の薬草などの採取場所としてだから定期的に上級ハンターが魔物討伐に出ていってるから魔石を持つような魔物は普通は出ないんだ。」
「えっ、あの剣壊れちまったの・・?まぁ・・命には代えられんが惜しいことをしたなぁ・・・」
そんな話をしていると少し元気が出てくる。
「あ、そういえば革鎧が壊れちゃったんですが、どこか修理するのによいところありますかね・・・。」
新しく買うには、少々手持ちが心もとない。
いや、実際にはまだ資金に余裕はあるのだが、ハンターになったからすぐに稼げるわけではないし、なによりまだ気持ちが小さくなっていた。
「そうだなぁ・・・ウルズのおっさんの店かなぁ・・・。
明日暇だったら連れて行ってやるけど。」
「ありがとうございます。ただ、明日は朝ギルドに行かなくちゃいけないんで・・・・」
「あぁ、そらそうだな。そういえばまだ言ってなかったな。合格おめでとう。」
「あ、ありがとうございます。まだ正式な発表じゃないですが・・・」
「いや、大丈夫だと思うぞ。ネールさんが合格と言ったんなら間違いないさ。
じゃぁ、午後からいくか。明日は多分午前には解散だろうから、ギルドで待っといてくれ。」
その後もエドガーとリュークに森や採取での心得やコツを熱く語る。
時折、自慢話がはいるが、それもフェルにとっては新鮮で楽しい時間であった。
ティルクは、フェルが少し元気を取り戻したのをみて、ほっとした。
・・・
翌朝、フェルがギルドにいくと他の二人はもう来ていた。
フェルは、今日は剣こそ佩いているが、いつもの革鎧をつけていないのでかなりの軽装だ。
「来たわね。では1番の部屋へ」
フェスカが部屋に促す。
「これが、みんなのハンターカードよ。絶対に無くさないようにね。」
そういうと、銀色のやや厚めのプレートを皆に配る。
プレートには、名前やランクの他、顔までプリントされている。
「す・・すごいですね。」
顔のプリントをみてフェルが驚く
「まぁ、偉大なる魔術師のレオナルドの最大の発明が、このギルドカードとその管理システムっていわれてるからねぇ・・・。原理はよくわからないけどすごい物よ。」
カードの裏をみると、ハンターランクや評価ポイント・貢献ポイントなどがうっすら光る機械的な文字で書かれている。
フェルのランクは”G”すなわち最下級ランクで評価ポイントは0、貢献ポイントには100と書かれている。
「あぁ、フェルは昨日の赤毛熊の売り上げの一部を貢献ポイントで特別支給してあるわ。
まぁ、大半はネールの手柄なのでギルドでいただくけど、装備もこわれちゃっただろうしということのようよ。あとで、ネールにお礼を言っておくといいわ。」
「え・・。ありがとうございます。」
貢献ポイント100Pは金貨10枚分。これはありがたい。
「貢献ポイントについては、昨日説明があったと思うけど、これはハンターの資産を守ってくれる優れた機能なので、ぜひ活用して頂戴。ただし、万が一ハンターが死んだり場合にはほとんどはギルドのものになる仕組みになっているから注意して。パーティを組む時も、手持ち以外はちゃんと分配をしておくこと」
貢献ポイントは、大金を持ち歩くことなくすみ安全な預先という面で、優れた制度であるが、ハンターが亡くなった場合は、ギルドにその所有権を移すという仕組みになっている。
ギルドの最大の収入源といわれているが、これにはハンターへの強盗や仲間内での金目当ての殺人などを減らす目的がある。
そのため、葬儀などの最低源の対応はギルドが手配するし、妻子などがいる場合には、上限はあるが見舞金という名目で貢献ポイントを渡す対応をギルドが行う。
その後も、Fランクに必要な評価ポイントと評価ポイントの目安、依頼掲示板の見方と受注方法、ギルドの設備と使用方法などの講習を受けた。
フェスカはギルドの救護・医療班担当なのだが、常に忙しいわけではないので、受付としていることも多いので、わからなかったら聞くようにとのことであった。
「あと、今依頼を出しているけど、明後日から「新米ハンター教育」として、先輩ハンターと一緒に1週
間程度行動をしてもらう。それまでは自由行動になるから。集合時間は朝8時。遅れないでね。」
フェスカはそういうと、解散と短く告げて部屋を出て行った。
フェル達はすぐさまネールのところに挨拶と礼を言いに行く。
そのあと、フェルはクリスやバーンと昨日のことやこの後のことを話をしながら、エドガーたちが来るのを待つのだった。
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(まだまだ、ランキングとかとは、次元が違いますが・・・いつかは!!)




