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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
25/106

25 新米ハンター フェル誕生1

まだ正午にさしかかるかどうかという時刻だが、クリスもバーンも麻袋はいっぱいになっている。


「あのー。まだ角ウサギが獲れていないんですが・・・」

おそるおそるクリスがフェスカに尋ねる。

まさかこんな早い時間に帰還指示がでるとは思っていなかったのだが、革鎧を大きく裂かれたフェルや返り血を浴びたネールを見ると、何かあったのかはわかるのだが・・・。

フェスカの麻袋の中身は小猪の肉で、まだ角ウサギは獲れていないのだ。


「あー、大丈夫。小猪をあの時間で採取できるのなら、合格は間違いないから。」

その言葉を聞いて。クリスは喜ぶ。

バーンは、エドク茸を10本近く採取できているし、その他の食材や薬材もかなり集めているので、早く終わることに異論はない。


フェルも、角ウサギを2匹であるがら十分な成果なのだが、かなり憔悴している。

ティルクも心配そうの顔を覗き込むが、フェルは力なく笑うだけだ。


「悪いが、予定外の魔物が現れた。フェルも治療をしたが無理をさせたくないし、どうやら他の二人も今回の試験は十分合格のようなので撤収をするぞ。」

「まぁ、大丈夫と思うけど帰るまでも試験だからね。」


・・・

ガランゴロン

ギルドの扉が開くと、いつものように視線が集まる。


「ネ・ネールさん。どうしたんですか!」

依頼を貼ろうとしていた若い受付嬢が、あわてて駆け寄る。

通常は夕暮れ時、ひどければ日が落ちてから帰ってくるはずのネール達が、昼過ぎに戻ってきた。

しかも革鎧は血に濡れている。

何かあった可能性が高い。


「部屋は空いているか?」

「あ、はい。1番と2番が空いています。」

そう確認をしていると、ギルドに受験生とフェスカが入ってくる。

そして、フェルの裂けた革鎧に視線が集中する。


ネールが装備をつけて見知らぬ者・・・しかもかなり年齢が若い・・・を連れているとすれば、それは試験関連だろう。今日は週末だし。

そして、フェルの革鎧を見て大体のハンターは、イレギュラーの魔物に襲われたのだということを把握する。


「フェスカ。依頼の手配と結果の報告を頼む。あとのものは1番の部屋へ入ってくれ」

ネールがそう言うのを聞くと、ハンターに緊張が走る。

新しい依頼がある。討伐なのか場合によっては遺品回収などという場合も・・・

フェスカは受付嬢に手早く依頼作成を指示する。

ほどなく依頼書が作成され、掲示板に貼られる。


 「赤毛熊1匹 約200kg、片道約5キロ、森中につき馬車不可 金貨5枚+素材成果報酬2割」


「おいおい。ハンター試験で赤毛熊がでたのかよ。よく無事だったな・・・。」

「流石・・・ネールさん。赤毛熊倒しちまってるよ。」

「5キロならすぐじゃねえか。受けるか?」

など反応はさまざまであったが、5分もしないうちに受注された。


「場所はメリアの森で大体この辺。まわりの索敵は一応して他の個体が近くにいないのは確認済よ。

 結構豪快にさばいちゃってるから、できれば早めに回収をお願い。

 素材報酬は2割だけど魔石はもうとっちゃっているから。OK?」

依頼を受けた2人組は頷くとすぐに現地に向かう。たしか片方の娘は”ストッカー”持ちだったはずだ。


・・・・


「今回は、ちょっとイレギュラーだったが、一応採取結果を確認するぞ。

 ああ、さっきも言ったが、心配しなくても全員『野外活動試験』は合格だから安心してくれ。

 ただ、結果は書類作成に必要だし、買取の仕方も一緒に教えんといかんのでな。」

ネールはそういうと、クリスから順に採取したものを確認していく。


「これは・・・、小猪の肉と牙か。」

クリスが麻袋から出したものを見てネールは驚く。買取が高い部位を厳選して綺麗にさばいている。

これはかなりの経験がないとできない。

ハンターの暗黙のルールで、詳しい過去や経歴は聞いてはいけないので、自ら話さない限り詳細は聞けないが、不正がないかだけは確認しなければならない。


「こいつは、どうやって仕留めた?」

その質問を聞いて、ネールは背負い袋から”虎挟”と吹き矢をだして

「これで罠をはっておいて、引っかかったところにパラライズベノムを塗った吹き矢を使いました。あとは、これで」

そういってククリナイフを抜く。

確かに血の跡がべったりとついている。・・・大半は捌いたときのものだが

ネールはそれを確認すると頷いた。


「バーンはどうだ。ずいぶんと袋に入っているが・・・」

バーンは、袋から大小はあるが11本ものエドク茸を次々と出していく。

偽エドク茸は一本も混じっていない。これはなかなかの記録だ。

だが、エドク茸を全部出したあとも袋にはまだまだ何か入っている。

「まだ何か入っているようだが?」

バーンは、袋から様々な草や葉っぱ、実を取り出す。しかも丁寧に麻ひもでくくったり、紙に包まれているものもある。

「カレー草、ツダ草、フィロルの葉、チコリの実ですね。」

どれも、食材や薬材としてギルドで常時買取をしているものである。

単価は高くないが、これだけあればざっと金貨2枚にはなるはずだ。

植物系の採取は、リスクは低いがある程度知識がいることと地味な作業になるので、あまり人気がない。

仕事としては、悪くないはずなのだが、どうもハンターになる人の気質とマッチしにくいらしい。

そのため、初心者や兼業ハンターに頼りがちで、買取商品に偏りが出やすかったり品質が低い物が多くなりがちだった。そのため、バーンはギルドにとってありがたい人材になるかもしれない。


「最後に、フェルだが・・・・」

フェルは角ウサギを2匹麻袋から出す。

一匹はちょっと汚れているが、綺麗に血抜きされていて、鮮度が保たれている。

ネールはそれを確認すると頷く。既にフェルに対するネールの評価は終わっているので、驚きもしない。


今回の受験生達は、まれにみる「大当たり」だ。

講習も受けていない段階で、この成果はなかなかのものである。

魔法力検定は全員反応なしだし、フェル以外は戦闘試験は及第点ギリギリのようだが、一番重要な能力がしっかりそろっている。


「ああ、大体わかった。

 一応正式な発表は明日の朝なんだが、ランクはわからんが、まちがいなく全員合格だろう。

 とりあえずは、おめでとう。」

ネールはそういうと、拍手をする。

受験生3人の顔が明るくなり、拍手をする。


「では、今から買い取りの仕方を教えるからついて来てくれ。」


そういうと、ネールは買取カウンターの方へ行き、素材の買取の仕方とギルドポイントについて説明をしていく。

フェルは角うさぎを2匹納入すると銀貨を4枚受け取る。

ちなみに、クリスは金貨1枚、バーンは金貨2枚と銀貨3枚を受け取った。


「お疲れ様。明日の集合は10時になる。忘れないで来てくれ。」


また台風ですね。

皆さんお気をつけて

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