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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
24/106

24 試験終了

「流石ね・・・。まだまだ現役でいけるんじゃない?」

フェルの治療を終えたフェスカが、ネールに近づきながら問う。

「ギリギリさ。今回は相手も手負いだったしな。それにしても、間に合ってよかった。」

手負いの獣ほど危険なものはないのだが・・・そう思いながら、フェスカは赤毛熊に近づく

血と皮のこげた匂いが鼻を刺激する。


「大丈夫か?」

「はい。死ぬかと思いましたが・・・。本当に助かりました。」

フェルは立ち上がろうとするが、安堵のためか、一瞬生まれたての小鹿のように力が入らずよろける。

だが、すぐに体制を整えて立ち上がると、ネールとフェスカのほうに向かう。


「フェル。悪いけどちょっと手伝って。」

フェスカはそう声をかけると、うつぶせに倒れる赤毛熊の腕を掴んで、ネールとともにひっくり返す。

200kgはある巨体をひっくり返すのは大変だが、3人いればなんとかなる。


理由はいくつかあるのだが、まず1つは、剣の回収である。

赤毛熊を貫通したネールの剣も、筋肉に阻まれ、思う深さまで刺さらなかったフェルの剣もうつぶせのままでは引き抜けない。

良い剣は高価だし、帰りにまた魔物が出る可能性もゼロではない。

武器も持たず歩き回るのは危険だ。


そして、もう一つは“魔石”の回収である。

大型の魔物や獣の中には、体内に魔石という魔力や生命力の結晶を宿すものがいる。

これらの魔石は、高度な魔道具の動力源や増幅器となる。

真実の口なども、すべてこの魔石の力が使われており、小さい魔石でも金貨10枚近い値段で取引されている。まず、今回の赤毛熊のようなサイズであれば最低でも金貨10~15枚のサイズの魔石は取れるはずだ。


「せーの。」

三人は、赤毛熊のずっしりと重い腕をひっぱって、仰向けにひっくり返す。


「セイッ。」

ネールは胸に突き刺さった2本の剣を一気に引き抜くと、一本をフェルにそしてもう一本は自身の腰に戻す。

その後は、手馴れた手つきで、赤毛熊の腹を裂き、さらに心臓のあたりにナイフを入れた。

そして、躊躇なく右手を心臓の辺りに突っ込むと直径5cmぐらいの赤い球を握ってきて、周りの肉から引きちぎる。これが魔石である。


「なかなかのサイズだな。これなら、金貨15枚ぐらいで納品してもいいだろう。

あと、フェスカ。帰ったら肉とか皮とかは、回収依頼を出しといてくれ。」

そういうと、魔石を皮袋にいれて、ベルト部分に縛り付けた。


回収依頼というのは、ハンターや猟師が獲った獲物や見つけた財宝が大きすぎて運べないときなどに出す依頼である。

戦闘などになるリスクが少なく、確実に報酬が得られることが多いため初級ハンターなどを中心に意外と需要のある依頼である。

一輪車や荷馬車などを引いていくような者が多いが、収納魔法“ストッカー”の所持者などはこの仕事だけで、かなりの稼ぎを出せる。


回収依頼の依頼書は、いわゆる“横取り”“ネコババ”を防止するために、報酬と大きさや重量、そして所要時間などの概略と特定の条件などだけが記載されるようになっている。

何処の森などの詳細は、依頼受注を持って受付に確認してからしか明かされない。

今回のような場合は、

「赤毛熊1匹 約200kg、片道約5キロ、森中につき馬車不可 金貨5枚+素材成果報酬2割」

という形で出されるのだ。

もちろん、依頼受注前には詳細が示されるが、その状態で断って横取りすれば、足がつくというものだ。

そのため、回収依頼での回収率は8割近く、食用肉などの安定供給に繋がっている。



「しかし、こんなところで赤毛熊がでるとはな・・・。まぁ、無事で何よりだ。」

ネールがフェルの肩を軽くたたく。


正直、フェルがこの程度で済んだのは、幸運以外のなにものでもない。

だが、その幸運はフェルの積重ねた行動の積み重ねによって掴んだものであると、ネールは気付いていた。


まず、笛を3回も鳴らしたこと。

これは、事前に指示をされていても、実際には取り乱して吹くことさえ出来ないものが多い。

しかも、笛の音が安定してしっかりと鳴り響いていた。

これは、かなりのベテランハンターでない限り、あそこまで落ち着いて鳴らし続けることはできないものだ。


そして、フェルの傷が前にしかないうえ、かなり浅いということも褒めるべきだ。

獣に襲われて重傷を負うものは、大抵背中に深い傷を追う。

慌てて逃げる姿を見せるのは、襲ってくれと言っているようなものでかえって危険なのだ。

実力不足で赤毛熊に立ち向かうことは、褒められたことではないが、ネールたちが到着するまで、時間稼ぎをしていたとすれば、登録前のハンターとしては驚愕すべきセンスといってよい。


ただ・・・ちょっと無理をしすぎである。

勇気はすばらしいし、結果としては赤毛熊の視力を奪うなどは功を奏しているが、赤毛熊相手に攻撃をしかけるには、フェルは体力・実力共に不足しすぎである。

これが、研修ではなく、ネールたちが同行していなければフェルはただではすまなかったはずだ。

実際に、かなり憔悴しているように見える。


「他の二人の“視察“はもう終わっているか?」

 生体探知魔法で危険を確認しておるフェスカにネールが問う。


「ええ。十分見させてもらったわ。今回の新人は確かに毛色が違ったわね。面白いほど」

その返事を聞いて、ネールは告げた。


「少々早いが、試験を終了する。二人を回収しながら撤収するぞ。」



なんか・・・ サブタイトルとか作品にマッチしていないですねぇ・・・。

もうちょっと進めたら変更しましょうか。


メインは流石に変えないとして・・・


というわけで、サブタイトル案をコメントいただけると嬉しいです。

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