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逆襲

「えーっ知ってるも何も、うんよーく知ってます。」

久し振りに我が家に訪れた叔母さんは、女社長という肩書きがある。

私にとったら、母さんの妹で気のいいおばさんってのだけど。

年はいってるけど、若作りしてるんだよね。

きっと物凄く高い化粧品を使ってるに違いない。


そんな叔母さんから、馴染みの名前を聞いたのは今から数分前。

世の中偶然ってのがあるもんだね。


叔母さんの話しはこうだ。

そうそう3ヶ月前くらいにね、本社勤務になりましたって挨拶来たのよ。

ちょっとクールな顔立ちが良くて。

挨拶そこそこに世間話をしてたら、美佐ちゃんと同じ中学だって聞いて尚更興味持っちゃのよね。あっ私は美佐ちゃんの名前なんて出してないから安心してね。


ここまで聞いて、自分の息子と年のさほど変わらぬ男に興味を持つってと半ば感心した。


あーそんな顔しないの、私は美佐ちゃんの中学時代の話しを聞きたくて、でもいきなりじゃなんでしょ。一度食事に招待したのよ、そう接待みたいなものね。違った打ち合わせだったかな?

まあいいや。そしたら、彼、私に取って食われると思ったのか、妙に笑顔がぎこちなくて。

笑いを堪えるのに必死だったわよ。

あんまり可愛いから、帰り際にお尻を撫でちゃった。


なんですと!

あまりの衝撃に鈍引きだ。

俊平のお尻を撫でただって!

いつもは子憎たらしい俊平にちょっとばかし同情した。


で、お詫びを兼ねてというか、一緒にゴルフに行こうかと思って。

うんと高いコースとってあげるから。美佐ちゃんも行くでしょ?

とニコニコ顔だ。

叔母さん、お詫びじゃないでしょ、からかうのを面白がってるみたいだよ。


彼と美佐ちゃんと後、洋人連れてく?それとも美佐ちゃんのお友達がいい?


私がOKすると思ったのか、どんどん話しが進んでいく。

こうでなくちゃ社長は務まらないかもしれないけれど。


いやまて、今友達って言った?従兄弟の洋人のことは完全にすっ飛ばして。

私の頭に浮かんだのは2人。

でも香也はまだ早いか――


そうとなれば、あいつだよな。

休みの日に朝から一緒にいられるなんて、嬉しすぎることだけど。

妙に気にしてしまう私がいる。

それは、私が付き合っていた彼と別れてしまったからだろう。

大地のことを封印しようと付き合った彼。

彼がいなくなってしまってからは私の蓋は外されたまま。


これ以上好きにはなりたくないって思うのに。

ちょっとの不安より俊平に一泡吹かせたい気持ちが交差して、結局私は行くことにしてしまった。

気のいい返事を貰った叔母さんは嬉しそうに帰っていった。


ゴルフか、最近やってないから練習でもしようかな。

きっと負けず嫌いの大地のことだ。

気合入るだろうな、それも無料だし。


太っ腹な叔母さん、ついでに私にゴルフクラブ買ってはくれないだろうか?

一旦行くと決めたら、ずうずうしい考えがめぐるとは、私って。


今週の土曜日は打ちっぱなし決定だな。

さてと大地にでも連絡しときますか……


いつだって、大地に連絡する時は緊張する。

もしそこに彼女がいたら?

マイナスな考え、それは自分に彼がいたって思ってしまう事だった。

ある意味俊平が羨ましいよ。


携帯を睨みながらそう呟いた。


あーでもさ、でもよ、ちょっとウキウキしちゃうじゃない。

いつもは言いように言われている俊平に逆襲できるなんて!

きっとスッゴイ顔して来るに違いない。

ばれた後の仕打ちを考えると少しだけ怖いけれど。

だけど大地も来る……と思うし。

こんなチャンスは滅多にないからね。


一先ず大地に連絡だ。

改めて携帯を開いたのだった。




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