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転生!我らは勇者なり!  作者:
第一章『初めての転生』
7/18

初めての女子


──何故俺の名前を知っているのかを問ただそうと思ったが、よく見れば服がはだけてしまい、字が丸見えだった。


 「さて、次はキミが見せてくれるか?」


 「悪いが、それは出来ない」


 桐生と名乗る男は今度は俺にもステータスプレートを見せる様に言って来るが、当然答えはノーだ。


 だが、その答えに不満そうな桐生は一度街に戻る事を提案する。


 「リルちゃんに証明してもろうたら流石に信じるやろ?」


 「まぁ、それならいいだろう」


 ◇


 名前がバレた俺は、不本意ながらも桐生とサンミーの町へと戻って来た。


 それと、ザック達は桐生の持っていた大型のマジックポーチに詰めたことで、難なく運ぶことが出来た。


 桐生がポーチに入れるのを見て、俺も自分のポーチにザックの仲間を入れようとしたが──。


 流石にそれには入らんで…と桐生にツっこまれるまで気づかなかったのは内緒の話だ。



「ご協力ありがとうございます!」


 「毎度おおきに♪」


 桐生が本当に信用出来るのか……そして、亜人とはなんなのか…そんなことを考えている内にギルドについていたようだ。


 桐生はリルにザック達を引き渡し、本題に入る。


話を聞けば、ザック達が度々奴隷商人と会っている噂を耳にしたリルは、至急桐生に捕獲を頼んだらしい。


「聞いてやリルちゃん! この子ワシの事、全然信用してくれへんのよ」


 「確かに怪しいかもですけど、大丈夫ですよ」


 桐生の少し大げさな説明を聞いたリルは、膝を折り、俺に目線を合わせて笑顔で言う。


 「ギルドには信頼されているようだな」


 「これで少しはワシを信用する気になった?」


 その程度で信用出来るわけがないが──しかし、嘘を言っている様にも見えない。


 これからの事を考え、桐生と行動を共にするかを悩んでいると、リルが一枚の紙をこちらに見せてくる。


 「そういえばラトラさん? このクエスト受けてみませんか?」


 「どれどれ?」


 紙とはクエストの依頼書だった。


 依頼書に目を通した桐生はニヤリと、嫌な笑みを浮かべてこちらを見る。


 「それではまた明日」


 手を振り、宿屋に向おうとするが──やはり、桐生に止められてしまう。


 懇願するようにリルを見やるが──。


 「ラトラさんと一緒なら安心ですね」


 うおおぉぉい!と、思わず叫んでしまいそうになる程裏切られた気分だ。


 せめて、あと一人欲しい所だが──。


 ふと、視線を感じそちらを見ると、栗毛色の髪をマッシュルームの様な形に切りそろえ、白いローブを着た女性がこちらを見ていた。


 「なんや用か?」


 桐生も気づいたらしく、その女性に声を掛ける。130cm程の小柄な女性だ。



 「アタシも付いて行っていいか?」


 その突然の提案に、俺達三人は目を丸くする。


 常識的に考えれば、初対面の人間に命を預けると言っても過言ではないその行動に──。


 「どないする?」


 「うーん…冒険者なのは間違いないと思いますが…」


 小声で相談する桐生とリル──少女は金色の双眸を、こちらに向けたまま動かない。


 「まぁ、悩んでもしゃあないし…いこか」


 どうやら桐生は同行を許可したらしい──それにリルも同意の様だ。


 少女も満足げな笑顔を見せる──まぁ、宿に戻る俺には関係ないことなのだが──


 「どこ行くねーん」


 どうやらそれも叶わない様だ。


 こうして俺は新たな仲間と、二度目になるクエストへと向うこととなった。

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