第3章:新しい家族
第3章
それから…2年と言う月日が流れて行った。「ランド!起きろランド!」と頭の中で響く。
「あれ?おはようロクサス兄さん」まだ寝たり無いと言った顔で目を覚ます。
ここは、薄暗い洞窟の中。クルシスとロクサスは、洞窟の中で生活をしていた。
ランドの服は、ボロボロになりクルシスがどっかから拾ってきたマントをはおっていた。
「馬鹿っ!俺の事は、"父さん"と呼べよ!人間に"兄さん"なんて呼ばれたら、周りの連中から馬鹿にされるんだよ!」
まぁ、父さんと呼ばれても馬鹿にされる気がするが…。
「ロクサス兄…父さん。今日は、こんな朝早くから何をすんの?」とランドは聞く。
「今日は"狩り"をするんだ!今、ゴブリンが湖に集結してるんだ!2〜3匹捕まえて、今日はご馳走にしようぜ!」
最近のご飯は、鼠や兎ばっかりだった。
ゴブリンは見た目は気持ち悪い生き物だが、脂が乗っており、生で食べるともの凄い美味しかった。
しかし、ゴブリンを好んで食べるのは肉食の動物だけで、人間は気持ち悪くて好き好んで食べなかった。「ロクサス兄さん…父さん!ゴブリンなんて久々だね!」とランド。
「あぁ!一杯捕ったら、母さんも喜ぶぜ!」とロクサスは語る。
一方その頃…人間の町では…
「今日は、ゴブリンが湖に集結している!ゴブリンは作物を荒し、私達の家を壊す迷惑な生き物だ!」
と猟師風の男が叫ぶ。
周りには、まだ若い猟師が居る。
「この機会に、ゴブリンを絶滅させてやろう!そして、城から報奨金を沢山貰うぞ!」と叫ぶ。
すると、若い衆を押し退けて一人の老婆がやって来た。
「あの森には、聖なる狼がおる。ゴブリンは、狼の好物じゃ…無闇に殺してはイカン!」と話し出した。
「おいおいっ!婆さんよ。"聖なる狼"って何百年前の話だよ。そんなの、もう絶滅しちまってるよ(笑)」と苦笑していた。
「聖なる狼様は、死なんのぢゃ…舐めてたら痛い目に合うぞ…。」と言い残し、その場を去って行く。
猟師は
「気味の悪い婆さんだぜ…」と毒つき若い衆に向かって叫ぶ。
「怖じけ付いた奴はいるなら着いてくるな!ゴブリンを倒しに行くぞ!」と言い、湖のある森へと入って行った。
「ほらっ見ろランド!」
頭の中でキンキン響くロクサスの声。
「ゴブリンが1、2、3…数十匹は居るぞ!」
ランドは木陰から顔をだした。
湖には沢山のゴブリン達がウジャウジャと居た。
赤・紫・黄色…色もカラフルだった。
「いいかランド。赤いゴブリンは捕ったら駄目だ!紫か黄色を狙え!赤いのは毒を持っているからな。」
ロクサスの声がする。
ランドは息を潜め首を縦に振る。
「よし!それと絶対に声を出すなよ。奴らは耳が良い…声を出したら気付かれる。」
分かった。と言いそうになったが、慌てて両手で口を塞ぎ首を振る。
ロクサスの声は、直接ランドの頭に入ってくるので、相手には聞こえないようだ。「よし。手順は簡単だ。まず俺が奴らの群れに突っ込む!お前は、こっちに来たのを仕留めろ!」
ランドは再度首を振った。
「行くぞ…3…2…1…ゴー!!」
と同時にロクサスがゴブリンの群れに突っ込む!ゴブリンは驚き群れは散々となった。
ロクサスは1匹2匹と仕留めていく。
ランドも負けるかと意地を張り出した。
すると、3匹ほどこっちに逃げてくるゴブリンを発見した。
赤・黄・黄…黄色だけ仕留める!そして、茂みから飛び出す。
いきなり人間が飛び出して来たのでビックリしたゴブリンは転んでしまったが最後。
ランドは口を開け、黄ゴブリンの喉に噛みついた。ゴブリンが苦しそうにバタバタするが、力尽きたのか動かなくなる。
振り向くと、赤ゴブリンが襲いかかって来た。
ランドは体当たりしてきた赤ゴブリンを軽く避け赤ゴブリンのこめかみを、渾身の力で殴り倒す。
赤ゴブリンは脳震盪を起こしたのか、ピクピクと動かなくなった。
振り向くと、黄ゴブリンが脅えながらコチラを見ていたが、気にせず襲いかかり喉に噛みついた。
結果、ランドは2匹の黄ゴブリンを倒して居た。そして、ロクサスが居る湖にゴブリンを担ぎ戻って行った。
湖に着くと、ロクサスがゴブリンを品定めしていた。ロクサスは、6匹の黄ゴブリンと2匹の紫ゴブリンを倒していた。
ランドの匂いに気が付き振り返ると、2匹の黄ゴブリンを担いで歩いてくる弟の姿があった。
「おぉっ!?2匹も仕留めたのか!凄いぞ!ランド!」とロクサスは叫ぶ。
「へへへ…でも、兄…父さんには叶わないなぁ〜8匹も仕留めるなんて。」
とランドは感激していた。
ロクサスは10匹のゴブリンを見てこう言った。
「そう言えば、俺たち朝飯を食ってなかったよな…10匹も持ってかえれないし、少し食っちゃうか!」
ランドは急に空腹を覚えた。そして、ランドは黄ゴブリンをロクサスは紫ゴブリンの腹を食いちぎり、頭を突っ込み食べ始めた。
ランドは久々の大物で、ガツガツと意気良いよく食べ始める。
食べ始めて数分が経った所で、聞き覚えのある音が聞こえた。
何かが弾ける音。
ランドは頭を上げた。
ランドの前には紫ゴブリンが腹をかっさかれて横たわり、その横にも横たわっている物があった。
ランドは、一瞬気付かなかったが
それは、ロクサスであった。




