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第2章:回想

第2章――回想――


狼 Before story


"魂"の鼓動

「ごめんね…ごめんねランド!」

まだ、若い感じの女が言う。その隣には、若い男もいる。

「ほら…いつまでも、ここに居ると俺達も危険だ。」

そう言い残すと、来た道を引き返す。

女は泣きながら、その男に付いていく。

ランドも付いていこうとしたが、両手を縄でグルグル巻きにされ、木に縛りつけてある。

必死にほどこうとするが、暴れれば暴れる程、縄はキツく絞まって行く。

そうしているうちに、2人の姿は見えなくなってしまった。


ようやく縄がほどけた時、辺りは暗闇に覆われ右も左も解らない状態だった。

今は、16年前の内戦時…

決して裕福では無かったランドの家庭では、2歳になったランドを育てる余裕が無くなってしまった。その為に、幼きランドを山に捨てようと決断し

彼をこの山に連れてきて、縄で縛り上げた。「お父さん…お母さん…どこに居るの?」

ランドの問いは、闇にかき消され辺りは静まるばかりだった。


すると、草がガサガサと騒ぎ出した。

ランドは何も思わず、音がなった方へと歩きだす。

そして、草に触ろうとした瞬間…


バンッ!


何か乾いた物が弾けるような音が聞こえた。

今まで寒かったのに、急に生温かい物が、体をおおる。

腕から大量の血が流れだしていた。

ランドは不意に殺されると思い。その場から、走りだした。

しかし、また…


バンッ!



次の音の後には、痛覚を覚えた。

左足に激痛を覚える。

それでも、ランドは走り続けた。

もう何時間と走ったであろう。

ランドは疲れと怪我の痛みで意識を失った。


「母ちゃん…この人間、食えるかな?」

ランドは気を失っていたが、何か言葉だけは聞こえていた。

「人間の子供ね…骨ばっかりで肉はついてないのよね。」

と女性の声が聞こえた。

「じゃあ…たべないの?久しぶりに人間が食べれると思ったのに…」

と若い感じの声も聞こえてくる。

「それより、この人間…どうしたんだい?怪我をしてるじゃないか」

と女性。

「昨日、猟師が山に来てたじゃん。多分、撃たれたんだと思うよ。

それに…、このままほっといても死ぬだけだし、食べちゃおうよ!」

と子供の声。「ふむ…、人間が人間を撃つとは…世も末だな。この人間に話を聞いて見ようじゃないか…」

と女性の声がした。

そして、近寄ってくる足音が聞こえて来た。

「まずは、怪我を治してやろう…」

と言うと、何か柔らかな感触が全身を覆う。痛みが段々と引いて来た。

ランドは、スッと目を開ける。

目の前には、"犬"が2匹座って見ている。

すると、その2匹の中で金色の犬が話しかけて来た。

いや…話しかけて来ると言うよりか頭の中で直接、脳に語りかけてくるようだった。

「人間よ…何故お前は、人間に撃たれていたのだ?」

ランドは少し間を開けた。傷が"治って"いた。

何故だか解らない。

と言うより、今の状況が飲み込めなかった。

"撃たれた"?何の事だか分からずとりあえず首を横に振った。

金色の犬がまた語りかけてくる。

「お前は、今の状況を分かってないようだな。お前は、何故ここにいる?」

ランドは全く分からなくなり、遂には泣き出した。

「うひゃぁ〜、人間の子供はウルサイね。母ちゃん…やっぱ食べちゃおうよ!」ともう1匹の犬が言い出した。

「ちょっと待ちな!まだ何も聞いていないんだ。」と金色の犬が言う。

「泣くのをオヤメ。人間の子供よ…。お前は、今の状況が分からない。今何故ここにいるのかも分からない。そうだろ?」ランドは泣くのを辞めた。この犬の言う通り、何が何だか分からない。ので、首を縦に振る。

すると、金色の犬が思わぬ事を言い出した。

「そうか…。よし決めたぞ。お前は、今日から私の息子になれ。」

えぇっ!?と言う顔で、もぅ1匹の犬が驚いてたが、金色の犬は構わずに続けた。

「ウチの旦那は、もう数年前に猟師に撃たれて死んだ。もう、私達に子供は出来ない。それに…」と言い、もう1匹の犬を見た。

「お前も兄弟が欲しいって言ってただろ?」

と聞く。

「そりゃあ…そうだけど…でも。」とモゴモゴと言う。

「母さんの言うことが聞けないのかい?」と牙を向く。

もう1匹の犬は肩を震わせ、しぶしぶ了解をした。

金色の犬はまた、ランドに視線を戻した。

「お前の名を決めてやろう…。お前は、"ランド"と名乗るが良い。このクルシスランドに捨てられた人間。ランドだ。ヨロシクな」

と語りかけてきた。

「ちっ…まぁ、俺の弟が人間の子供とはな…。ヨロシクなランド。俺は、ロクサス。んで、コッチは母ちゃんのクルシスだよ。」と語りかけてくる。

「さぁ、ランド…まだ、外見の傷は治っているが内臓は損傷している。今は休め…」

そうクルシスは、優しく語りかけてきた。


ランドは急に、睡魔に襲われ意識が遠のいて行った。

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