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17/3/19夢

作者: とみ

ホッチキス。壁に青い紙が止められている。一枚の紙に無数のホッチキスが刺さっている。

取ろうとすると、紙が破れる。上手く引き抜かないといけないのに。


いつの間にか、紙は少年の体に置き換わっている。少年の胸に無数の留め金が刺さっている。

けれど彼は痛みなど感じていない。姿は人でも、おそらく人以外の生き物であると分かる。


誰も彼の留め金を抜けない。彼自身は、そこに留め金があることを気にかけていない。気にせず動くたび、千切れた紙がホッチキスの針で壁に貼り付けられてしまうかのように、彼の大切な何が欠けてゆく。


思わず、私は彼を抑える。丁寧に彼の留め金を抜く。

幸い、抜くのにも痛みはないらしい。

彼は抵抗しないが、じっとしていられない子供のように、しばらくすると手をすり抜けて行ってしまう。

手のかかる子ではあるが、素直で元気で可愛い。自分の痛みに無自覚な様は、見ていて少し不安。留め金を抜く事を繰り返すうちに、少年に情が移ってしまった。


何度目か留め金を抜いた時、ふとあることに気づく。

留め金を抜いた分だけ、少年が急成長している。人外の力も外見の成長に比例して強大になっていく。

まだ3割も抜けていないのに、成長した彼は私を押し倒した。


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