厄介者と主人公②
中途はんティー
「やっぱり分かってなかったのか…」
「なっ、何がだ!?僕に分からないことなんてないぞ!?」
そう言ってふくれっ面をしているが、整った顔は崩れる事がない…じゃなくてだなぁ…
「…とりあえず手を止めろ」
「ふぁっておいひいんだから…あぁッ…!」
俺はこいつの手に抱えている大量のポテトフライを問答無し奪い取った。先程までのふくれっ面はこれが原因だ。
未だにモグモグと口の中で噛んでいるのか頬の膨らみは小さくなることは無かった。
そんな俺の目に映るのは食べ散らかしたポテトの入れ物の山、つまりはゴミの山だった。
俺は眉間に手を寄せ、再び心の中でため息を吐いた。
目の前にいるこいつの名前はランというらしい。一週間ほど前から俺についてまわるストーカーの様なものだ。もちろん俺ははこいつのことなんか知りもしないし、一週間前に初めてあったのだ。
今でも出会ったことを後悔している。
あの時俺はただ廊下を歩いているだけだった。それだけだったのだ。
もうそろそろ日が暮れる。辺りが静まりかえっている中自分の足音だけが響き渡る。
無駄に綺麗な大理石で作られた床に目をやる。半分鏡の役割も果たしているのではないかと思えるほど綺麗なそれはいくつも並ぶ大きな窓から夕焼けの光を反射させてオレンジ色に輝いていた。
その輝きに魅せられたかのようにぼおっとなり、ひたすら目的の場所まで歩いていたがふと足を止める。
一つの黒い影が見えたからだ。
顔を上げると全く気づかなかったが人がいたようだ。いつもなら挨拶ぐらいしたのだがその異常さに意識が向いた。
その人はグレーがかった薄手のロングコートを羽織り下は黒いシャツに黒いズボンだった。
格好としてはどこにでもいそうだ、しかし、それが異常だったのだ。
なぜならココは学校だというのに。
教師…では無いよな、もしかしたら誰かの知りあいか?
そんなことを考えているといつの間にやらその人がこちらを向いていた。恐る恐る声をかける。
「関係者の方ですか?部外者はここには立ち入り禁止なんですが…」
「…やっと見つけた、胡桃…だね?」
「えっ?」
俺が言い終わる前に口を開いたその人の言葉に意識がいく。
同時に眩暈が起こり、俺はその場に倒れてしまった。
…どうして俺の名前を?