厄介モノと主人公①
「はぁ…」
普段であればため息ななどは人前ではつかない
むしろ今の場面では本来ならば信じられないものでぶっ倒れてもおかしくないかもしれない
しかし、そんな気力はもう俺にはなかった
…いや、最初はそりゃ目を疑ったぞ
だがタイミングの問題もあるだろ⁉︎
それが唯一もてる感想である
俺は今一番厄介ごとに絡まれている
しかももうかれこれ一週間だ、、
ふと部屋の中にある鏡に目をやる
数々の書類や本、さらにはアンティークな家具やどこぞやの国が使いそうなティーセットまである
そんな中に不釣り合いなほどやつれた人物、つまり俺がいた
鏡に映る俺は普段と変わらない茶色の整える暇もなくボサボサになった髪…このくせっ毛は元からだと言われるが整えれば直るんだ…の下にのぞかせる黄色い目の下にはいかにも寝てませんというようなクマがくっきりと刻みこまれていた
ぐちゃぐちゃに着崩された制服からもはたからみれば俺が疲れ切ったブラックな企業に勤めるサラリーマンかなんかと勘違いするだろう
まぁ、実際そこまで老けてはいない…と信じたいが…
恐る恐る鏡から目を離しこの部屋で唯一俺が使用する机に目をやる
…とさらに現状は悪化していた、
「…もういい加減にやめてくれ…」
さすがに限界が俺にもきていた
蚊のようにかすれきった声で発した声に気付いたのか、厄介なモノはこちらを見、動きを止めた
そいつはなぜ俺がそんなことを言ったのか理解できないというきょとんとした顔で俺を見つめた
今回の苦悩の原因は全てこいつにあると言ってもいいのだが…分かってないのか?
俺が次に口を開きかけたとき
そいつは銀の髪を揺らしながらやれやれといった動作で長い銀の髪を揺らした
その整った顔の中に鋭く赤く反射する目に不満げに見つめられるのも俺は何故だかはわからんが嫌だったのでもうどうにでもなれと口を開いた
「…もう何か言いたいならいえよ」
「…そんな顔しちゃモテないぞっ!☆」
「いやお前のせいだからなっ!?」
ビクッと体を強ばらせこちらの顔を伺うそいつに俺は再びため息を大きくついた
「やっぱり分かってなかったのか…」