PKを誘き寄せる。
組手代わりに実戦を行う事に。
さて、どこらあたりで絡まれればいいものやら。
想定する敵はデバフ・奇襲可能な後衛3にアタッカー3。
ジョブ的には森呪遣い・神祇官・妖術師・召喚師、
暗殺者、盗剣士、武闘家あたりか。
サブ的には罠師、毒使いに追跡者と狩人かな。
ミニ・マップが使えない=奇襲成功率が高い。
代わりに三手目さえ避けることが出来れば対処は可能。
初手の予想は移動阻害だ、ヒュプノ系かバインド系。
二手目が通常武器攻撃か盗剣士の移動阻害特技。
三手目も同じか。
最初は「ヒュプノはめ」してくるほど警戒はしてこないだろう。
「弄り」も動機の一つだろうから、
森呪遣いと妖術師と召喚師の大技は使ってこないと予測。
毒に関しては対麻痺だけ考えておけば、残りは薬品で解除可能。
装備としては腕にソード・ストッパー、各種毒を塗った投擲用のナイフ。
それからデバフ・マーカー対策に膝と太腿の革鎧。
MP回復は重要としない、基本は体術だけでしのぐ。
相手のヒールワーク次第では撃破可能。
第一殲滅目標はヒーラーおよび後衛陣。
油断して固まっているだろうから2撃目後に仕留める。
後は相手の武器の特性を早く見極める事。
つらつら考えながら古宮廷の森をヨコハマ方面に歩く。
狩衣に差袴というぱっと見は神祇官の格好だ。
この下には先ほどの装備を身につけている。
狩衣のおかげでソード・ストッパーが目立たない。
突如、火の手が上がる。
敵襲、妖術師の技だ。
甘く見られたものだがラッキーだ。
移動阻害されなかった分だけ、早く動ける。
森呪遣い、妖術師に向かって跳躍しながら視認する。
森呪遣い、妖術師、暗殺者*2、盗剣士、武闘家。
6人なら想定の範囲内だ、ラッキーな事に毒使いが居ないし、
他の面倒そうなサブ職も居ない。
暗殺者がボウガンを構えて居ない、
ナイフと小刀だ、エクスターミネーションはこない。
袖からナイフを抜き、森呪遣い、妖術師の首を掻き切ると泡になって消えた。
「甘く見られたものですね」
やはり連携練度が高くない。
まぁソロだと甘く思い、口上でも述べてドヤ顔でもしたかったのだろう。
だが、そんな暇は与えない。
第一目標を落とした事で継続戦闘能力は削いだ、
残りは武闘家のレジリアンスのみ。
まだ4対1油断は出来ない。
「貴様、暗殺者か?」
次の跳躍をしながら次の殲滅目標、盗剣士の背後に。
「タグ見えてませんかね?」
「何、守護戦士だと
ナイフなんて持たないだろう?」
「さてさて、そんな無駄話してる暇はないですよ?
それにジョブイメージの思い込みが激しすぎますね。
守護戦士は武器側で装備不可設定されなければ
どんな白兵武器でも扱えるんですよ?
今の私の得物としてはこれで十分ですから」
あっけに取られている盗剣士膝を落とし、首を落とす。
これで残るデバフ特技は
暗殺者の
パラライジング・ブロウ【麻痺】とデッドリー・ポイズン【邪毒】、
ヴェノム・ストライク【猛毒】、ペイン・ニードル【衰弱】、
デス・スティンガー【毒】、アフィトル・ブレイク【麻痺】、
武闘家の
ターニング・スワロー【放心】、ドラゴンテイル・スウィング【萎縮】。
少し面倒なのは隠密のまま攻撃できるペイン・ニードル。
しかし、ゲーム時代と違って呼気と熱源があるから完全隠密はありえないか。
他は当たらなければどうって事無い。
ワイバーン・キックで武闘家が詰め寄ってくる。
「ろくな戦闘訓練してませんね~
見立てが甘いですよ?
モンスターが怖くってプレイヤー襲うくらいだから甘いんですかね?
ほらほらもう半分ですよ?」
距離を取りながら挑発する。
既に弄る余裕は無くなったと思って良いだろう。
目の前の武闘家は茹であがっているようだ。
何時の間にか暗殺者二人がシェイクオフしている。
視認と気配確認は不可能になったが特に気もとめない。
どうせペイン・ニードル以外の特技発動するときには姿を表すのだ。
そのときの気配だけで十分。
武闘家を見
「次はあなたですかねって
おっと着ましたか」
腰を落としまわし蹴をする。
背後に現れた暗殺者が転んだ隙に指で目をつぶす。
「あなたたち、戦闘を舐めてますね
本気で掛かって来てますか?
もう4人沈みましたよ?
もう一人の暗殺者は本隊にでも連絡中ですかね?
あなたを相手しているうちに増援が着ますかね?
ここはそれほどアキバに近くないですが」
「アサシネイト」の音声入力と共に暗殺者が現れる。
「甘いよ、体重が乗ってない特技の威力だけじゃ私は潰せないよ?」
と左手のソード・ストッパーで威力相殺する。
失敗したとわかると再度シェイクオフした。
武闘家が詰め寄ってタイガーエコーフィストを打ってくる。
「技が軽いね、体重が乗りきってないよ?
音声入力だと避けられるからメニューで入力ですか?
甘いですよ?」
こちらは右手のソード・ストッパーで受け流し、左手で腹に一撃。
「動きも遅いね
守護戦士よりも動きが悪い暗殺者と武闘家ってどんだけよ?
所詮MMOゲーマーってところなんですかね?
3D格闘ゲームとかやった事あります?」
と挑発する。
「お前、なにもんだよ?」
「こんな二つ名を聞いた事は無いですか? ダブル12クラウン」
「知らねぇな」
「では覚えておくと良いですよ、
5年も隠居して箱庭遊びしてるゲーマーに
負ける程度に自分たちが弱いという事も含めてね」
「だから、動きが遅いって」
背後にたった暗殺者を引き倒し、指で目潰しする。
「学習してないな~、背後に立つほど自分の身が危険なんだって
背後には目が無いんだからその分、背後の気配には過敏なんだよ?
シェイクオフに頼りすぎ、呼気と熱源感知されれば終わりでしょうに。
さて武闘家の君はどうする?
まだやる?」
「HPじゃ負けてないからな」
「そういう問題じゃないと思うんだけど?
そちらは私を殺すのが目的なんだろうけど
こちらは戦闘継続不可能にすれば良いだけなんだから。
終わりにしようかね」
「終われるか・・・」
言い終える前に麻痺毒を塗ったナイフを突き立てる。
「だから甘いんだって
ゲーム時代と違ってレベルに見合った自動回避はしてくれないよ?
それ強麻痺だから、ヒーラーが戻ってきたら治してもらって
神殿送りにしてあげるほど優しくないからさ
君らの手持ち資産にも興味ないしね。
ジョブに頼って、特技に頼って、力押しって情けなくないか?」
「あぁついでに言っておくと、私『スイス民兵』だから
普通の兵隊並みの事はできますよ?」
「お前、日本人じゃないのか?」
目を潰された暗殺者が聞いてくる。
「れっきとした日本人ですよ
それから襲ってくださいって言わんばかりの見た目後衛職のソロに
自分たちの方が有利だと甘い判断で襲ってくる程度ではまだまだですね。
初手から舐めきってましたよね。
タグのチェックもしてませんでしたよね?
一斉攻撃に切り替えるのも遅すぎ。
回復職を潰された時点で切り替えるべきでしょ?
特技を使わざるを得ないところまで追い込んでくるかと思いましたが
その辺でもがっかりです。
10分も持ちませんでしたし。
こちらの目的も達成できたし帰らせてもらいますね
あぁ特注の狩衣の袖がボロボロだわ」
「罠かよ。」
「そう言う事です。
噂のPK団体がどんなものかと思いまして。
これに懲りて、PKなんて割の合わないことは止めた方がいいと思いますが?
ではね。」
グリフォンを呼び出す。
「う~ん、歯ごたえが無かったな
やっぱり、現実世界で素養のある人との模擬戦を考えた方がいいのかな?
つまらん相手だった」
トレーニングとしては砂上マラソンと
どこかソロでいけそうなダンジョンかフィールド
経験値ならシンジュク駅ビル廃墟かシンジュク御苑の森か
単なる訓練ならドヴァーチャーのバードランドあたりか。
夜間だとクラスティ君あたりに会う可能性が高いな。
昼間は昼間で黒剣か銀剣が居そうだしな~。
ま、昼間に訓練に出る事は出来無さそうだし、夜だな。
ちょっとグロい表現があるのでレーティング変更します。