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3. 目を開ければ・・・ここどこ?

最終改訂9/18。



「は?」

 目を開くと、そこには長閑な風景が広がっていた。




 目の前に広がる状況に、はっきり言って戸惑いが隠せない。

 先ほどまで、というか目を閉じる前まで薄暗い城の最上階にいたはずだ。なのに何故こんな場所にいるのか、それ以上に、ここがどこなのかも分からなかった。

 

 ゆっくりと視線を周囲にめぐらせる。


 楽しそうにおしゃべりをしていた村人達は、「おつかれ」と言い合い別れを告げる。

 辺りを先ほどまで駆け回っていた子供たちの楽しそうな声は、その子たちを迎える親の声で別れの言葉を告げる。

 近くを流れているのだろう、川のせせらぎの音が聞こえる。

 空を見上げれば、どうやら夕暮れ前だろうか。赤く染まったまばゆい世界。

 やさしく頬をなでる風に、なびく木々のさざめき。


 どこにでもあるような長閑で平和な村の、夕暮れ時の風景が目の前に広がっていた。



   ―――――― ※ ――――――



 よし、落ち着いて現状を把握しよう。

 私はかつて魔王と恐れられた存在だ。死んだという自覚はあるから『かつて』で正解……のはず。

 死んだ場所はたぶん間違いなく魔王城の最上階。光の聖剣と言われたエクス〇リバーなんて目じゃないゼ、ぐらいの強大な力を持った剣で心臓を一突きにされたのだから、あの後あっさり消滅したはずだ。

 ちなみに、そんな出鱈目な剣を作ったのは勇者だったりする。暇な時期になんとなくで作る物では無いと思ったのはここだけの話である。

 享年1000歳オーバー。正確な年齢を覚えていないからたぶんこのぐらい(でいい)だろう。細かい事は言いっこなしだ。

 私の感覚的にはついさっきの事のように感じるが、確実に私が死んでからそれなりの時間が経っているはず。そうでなければ、人々がこれほどまでに平和を満喫している状況が説明出来るはずがない。

 なぜなら私が魔王としてあの場所にいた当時、それは目も当てられないほど世界は荒廃していたからだ。そんな荒んだ状況が1年や2年程度で改善され、これほどまでに変化するとは思えない。



 で、現在の私は?と、じっと手を見る。


 小さい。

 記憶にある自分の手と比べて見ると、はるかに小さい手だった。

 けれど確かに生きている。

 ぬくもりがある。

 地に足をつけている感覚がある。

 頬をなでる風が感じられる。

 耳もしっかりと音を捉えている。

 瞬きを何度繰り返しても、目の前の光景は幻のように消えはしない。



 一体この状況をどう説明するべきかと頭を悩ませながら立ち尽くしていると、遠くからこちらに近づいてくる人影に気がついた。

 その姿を見た瞬間、先ほどまで抱いていた驚きや戸惑いと同じくらいの嬉しさを感じていた。


 今の状況で、一番見知った者。

 私に最後をくれた存在。


 勇者。


 今の状況を打破してくれるに違いない存在に、私は縋るような視線を向けた。



誤字脱字ございましたら報告よろしくお願いします。

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