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閑話1. ある朝の憂鬱

今回は短いです!


最終改訂7/2




 風にたなびく洗濯物。

 ぼんやりとそれを眺めながら、勇者は先日起こった予想外の出来事に思いを馳せた。



 ………………。



 あいつの事は何とも思っていないんだ。

 娘としては大切に思っているが、それ以上の感情とかは無いんだよ。

 あのことは、ただ娘からキスしてもらっただけなんだ。世のお父さん一同は、一生に一度は絶対きっとしてもらった事なんだよ。たぶん。

 それにあれはお父さんの憧れなんだぞ。それが思いもかけず叶えられただけじゃないか。それだけなんだよ。それ以上の意味なんてまったく無いんだよ。

 今の時期だけなんだ、こんな風に接してもらえるのは。

 やましい気持ちなんて一欠けらもなく、純粋に今は嬉しいとは思っているんだ。うん。純粋に喜ぶべき事なんだよ。喜ぶべき事だ。そうだよな……だよ、な…………。



 ハァ~~~。



 なんだろうな。

 言い訳をすればするほど、自分の首を絞めてる感がすごいするのは何故だ?

 それに俺、一体誰に言い訳してるんだろう……。



 それにしても今回の一件、あの神にだけは絶対ばれて欲しくないなぁ。

 これ知ったら絶対、問答無用で暴走するに決まっているからなぁ……。


 ホント俺、ただ平凡な平穏が欲しかっただけなのに、何処で道を誤ったんだろうな。

 『人生平穏、まっすぐ平凡な平和を愛す』ってありふれた生涯目標掲げて生きてただけなのに、何故か旅の最中では『日常の基本は波乱万丈、危険要素はしっかりキープ』って道を歩いていたからなぁ。

 なんで最終的に『平和な人生さようなら、非凡な生活いらっしゃい』な結果になってたんだろうな。


 今なら怪しい勧誘に縋ってでもいいかなぁ……とか思ってる時点で色々終わってるな。ハァ~。

 旅の途中でその中のいくつかに会った事があるんだが、あれほどまでに傾倒出来るのが本気で不思議だったのが懐かしい思い出だよなぁ。

 まあ確かに、中には崇める対象も崇める人もバラエティに富んで面白かったのもあったけどな。明らかに詐欺師と思しき人を拝んでいたり、ただの木片を拝んでいたり。中には本物も混じっていたけど、人格に問題があったのが多かったなぁ。

 あとは後先考えずに絡んでくるのもいたよな。何故か潰したはずの教団がまた復活してたり、その教主に一番弟子が名乗りを上げてたのを繰り返すこと5回。最終的には原型を止めない教団になってたんだよな。ま、当然だが。

 おまけにその過程の最中ちょっとした茶々入れといたら、次に会ったときにはそれが教義に盛り込まれてるんだものな。正直驚くより何処で聞いてたんだよ、って突っ込みたかったよな。俺、その話を先代の教祖としかしてないはずだったんだけどな。

 俺は実物の神様、それも至高神を見てるからそいつらにとっては羨ましがられる要素いっぱいなのに、まったく嬉しくないのが現状だもんなぁ。それにあの神様を純粋に崇める事なんて出来ないから、何も知らないやつらが本気で羨ましいよ。

 でも本当にご利益あるんなら縋ってもいいなぁ。拝んで1日で……いや、とりあえず執行猶予3日ぐらいで効果が出たら潰さずに置いとくんだけどなぁ。


 いっそどっかで気晴らしに盗賊退治でもやってこようかな。有名どころを2つか3つぐらい……。

 あー、いかん。それは前にやったな。それも盛大かつ徹底的に。

 悪党の巣にこっそりもぐりこんで、そいつらを隠れ蓑にして色々と……も、やったな。

 今まで色々とやってきたけど、最後はほとんど怒られたんだよな。

 世間一般の常識をあわせてみて、そこから俺の判断基準値を含めて色々考慮しつつこれぐらいなら、というギリギリの数値で実行したんだけど、何故か全部ダメだったんだよな~。


 人が平和に暮らせるようになったじゃないか、って言ったら、人が得体の知れない恐怖に息を潜めながら生きてく世界を平和と呼ぶかっ!!って。


 最終的には、散々罵られながら殴られたよな。

 今度そのことがばれたら、次は確実に俺が討伐対象にされるな。

 そういや俺が一切関わってなかった事も、何故か最終的に俺が悪い事にされたこともあったなぁ。いくら違うと言っても一切信じてもらえなかったんだよな。

 確かに、その前に色々とやらかした自覚はあったけど、あの一件だけは一切関わっていないにも関わらず俺が悪いって事で話がまとまったんだよな。

 いくら言っても信じてもらえなかったから、切なかった思い出だな。何故か目から汗が出てきたもんなぁ。

 仕方ないから後で犯人捕まえたんだけど、仲間達からはごめんの一言も無く、逆に日頃の行いが悪いからだって責められたんだよな~。


 あ、なんか思い出してたら目からしょっぱいものが……。




 俺の心の平和とか平穏とか平凡、もしくはそれに相当する何か。

 どっかに転がってないかなぁ……。



 ………………。



 最後には現実逃避を決めた勇者は、心の中で深い深いため息を吐いた。

 空を見上げると、雲ひとつ無い空が広がっている。




 ………………嗚呼、空が青いなぁ。



続きを書いてましたが、どうも分けたほうが良いように思いましたので今回はここまでです。


改訂したら文字数がえらく増えた。あれ?

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